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紙の本
マタハラの具体的な状況が表されている。
2016/01/15 00:19
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投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マタハラを世に広めた功績から、アメリカ国務省「世界の勇気ある女性賞」受賞しています。
帯の裏を見たらですね、こんなのが書いています。“産ませない大国・日本”「堕ろす覚悟で働け」「相談なしに妊娠するな」「だから女性は雇いたくなかった」「お前が流産するから悪いんだろ?」「堕ろすのは簡単、10数えたら終わっているから」「妊娠するとわかっていたら、君なんか雇わなかった」
上記のとおり、マタハラは妊娠を期に退職を迫る考えでして、女性の身体を思ってこその退職要請という価値観の隔たりがあります。
2006年に開始された労働裁判というのがあって、民事訴訟にワンクッション置いたものがあります。録音をしておいた証拠を用いたり、事例研究としても、自衛手段のハウツーとしても読めますね。だから企業としては労働裁判にならないように立ち回らないといけないわけです。
マタハラを受けやすい女性の状況として職場の産休・育休第1号者のフロンティアが挙げられています。会社って部活のノリみたいなところがあって、違った働き方について不寛容です。
マタハラをする人はセクハラなど複数のハラスメントを行ったり、時に女性も一緒になってマタハラに加わる特徴があるようです。
1章が筆者ご自身のマタハラ体験、2章が実例紹介です。これで本書の半分くらいが占められます。
だけど、冗長。褒めるのはここまでです。心理学に、人の悪口を言っている映像を見せて悪口を言われた人の印象が下がったかどうかの実験がありまして、悪口を言われた人の印象はそこまで下がらず、逆に悪口を言った人の印象が下がる結果となりました。
個人的な問題の一部表現を見ると「相手の言い分もあるでしょうに」という欠席裁判の印象を与えるデメリットがあります。堕胎の思い、ご主人の考えなどウエットな精神論の配分がホントに適切だった?かえって「マタハラ問題は、個人の問題」に矮小化されかねない恐れがあります。
で、マタハラの分析が後半に出てくるんですが、「年功序列という悪しき日本の制度」「日本は長時間労働な割に生産性が低い」「ワークライフバランスが重要」「仕事の与える量と質は、大きすぎても小さすぎてもいけない。できるかぎりジャストフィットが理想」「マタハラ問題を解決すれば、日本のあらゆる問題が解決するという認識を広めていかなくてはならない。」「マタハラ問題の解決は“日本のあらゆる問題解決の源=母”」「今回の国務省からの受賞が、一つの黒船になってくれたらと思う」等々。
うーん。素朴な設計主義ですね。世論が生涯政策の優先順位に子育てを置いていないのは、子育ては自己責任主義、家族責任主義であり、社会責任主義ではなく、では企業の社会貢献にかけるの?ってトコなんですが、もともと日本は後進国でマスで工業化の教育をしてきており、オリジナルを改善・工夫するのに長けた国民性です。仕事にもよりますが、ジャストフィットな仕事の分配がホントにできますか?
本の中で関西の2人の子持ちの女性が勤務時間変更を上司に依頼します。「あなたの家庭のことなんか知らない。働きたいなら自分でなんとかしなさい。辞めなしゃあないのとちゃう」と言われ、大多数の人の感覚がこれじゃないかしら?
例えば、マタニティーマークを常時つける事を義務化してCSRをアピールするやり方はあっても、現場レベルではマミートラック化が進むと思われます。
マタハラ問題って、価値観の隔たりの背景と分析の方が重要だと思うんです。敵味方の二分法が目立つ記載でホントにいいのかしら?評価が分かれる本ですね。
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