紙の本
しっかり推理の手掛かりを示しながら、二転三転のどんでん返しの展開が魅力。
2018/11/14 10:05
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
しっかり推理の手掛かりを示しながら、二転三転のどんでん返しの展開が魅力。最終的に、巨大な人身売買、それも子供の過去を完全に消し去ってしまうという恐るべき手口の犯罪に辿り着くという展開に痺れました。まだ著者の作風は不明乍ら、構成・展開はしっかりしており、著者の経験(様々な国で探偵として働いたという)もしっかり活かされてる感じ。注目作家となりました。
<蛇足>
本作品の一つ前の作品、『報復/Vengeance』(2014年ドイツで出版、邦訳2015年12月、角川文庫)から何故かドイツでの出版だという。不思議。
紙の本
ノンシリーズ故のあっさり感の中にも、ウィンズロウ節炸裂
2016/01/18 02:54
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
430ページ強という、ほどよい量とシンプルなプロット故、思いのほか早く読み終われました。
舞台はアメリカ中西部のネブラスカ州リンカーン市。 ある日突然、5歳の少女ヘイリー・ハンセンが行方不明になる。 担当刑事のフランク・デッカーはヘイリーの母親に彼女を必ず見つけ出すと約束するが、捜査関係者をあざ笑うようにもう一人の少女がいなくなる。
ヘイリーを見つけ出せないまま事件の幕引きをすることにどうしても折り合えないデッカーは職を辞し、わずかな手掛かりを頼りにヘイリーを探して国内を探しまわり、ついにNYに辿り着いたが・・・という話。
デッカーの一人称なので余計読みやすかったということもあるかも。
テンポのよい、反復と省略を効果的に使った文体も心地よく、デッカーの皮肉過ぎず、乾ききっていない穏やかなユーモア精神と相まって、次第に暴かれていく事件の内容はひどいものなのだけれど、読者としてそこまで陰惨な気分にならずにいられた。
そう、たとえるならばデッカーは『ストリート・キッズ』のニール・ケアリーがもしコメディ路線に行かず、最愛の彼女とも出会わず、“おやじさん”とも仮に別れることになったらこんな人になったのではないだろうか、というような<面影>を読みとってしまったので、余計にそう思ったのかもしれない。
デッカーを主役にシリーズ化してほしい気もするけど、そうすると彼がまたつらい目に遭うのか・・・と思うと躊躇する。
イタリアン・マフィアのボスが登場しても昔堅気の仁義を大事にする人だったりと、善悪を白黒で分けないのもまたウィンズロウ的であり、そこに救われてしまうという複雑な心境もありで、あっさりテイストでありながらも(それでもツイスト要素もちゃんとあります)十分に満足できました。
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2冊同時刊行の2冊目は「失踪」。職を辞してまで少女の連続失踪事件を追いかる孤高の刑事フランク・デッカー。これまたド直球のハードボイルド小説に仕上がっています。どうしちゃったんだドン・ウィンズロウ。今までは「紳士の盟約」など探偵ブーン・ダニエルズシリーズにしても、サーファー仲間の絆みたいな、キャラクターのユニークさや多彩さが、魅力的なサブストーリーを作っていたのだけれども、今回はなんか彼らしくなく、絵に描いたようなはぐれ刑事。その辺はちょっと物足りないけれども、スリリングなストーリーと乾いた文体は健在です。時間を忘れて一気に読んでしまいます。そういえば東海岸を舞台にするのはひさしぶりですね。
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消えた少女のために全てを捨ててアメリカ中を訪ね歩くというストーリーは、警察小説というよりハードボイルドに近い。ただ、なぜそこまでして捜索を続けるのかという取っ掛かり部分の心理描写が弱かったのか、あれよあれよという間に進んで若干混乱する序盤ではあった。
手掛かりを追って辿り着いた先はニューヨーク。この大都市に入ってから物語は大きく動き出す。華やかな世界に生きる人間の表の顔と裏の顔。ウィンズロウの「怒り」が主人公を通して伝わってくるシーンは読み応えあり。さらりと読み手の心に響かせる手腕って相変わらず巧いよね。そして、残酷で冷静な決着のつけ方も好き。ラスト一行の余韻が心地良い。
東江さんの訳はもう読めないけど、違和感なくフツーに面白かったです。感謝。
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文章が平坦で導入でだれる。まとめに入るとスピード上がってくるけど、冒頭のかったるさがウィンズロウらしくなくて読んでて疲れた。ちゃんとひねりもあって面白いんだけど。
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先に「報復」を読んじゃったので、あら、こっちはテンション低めなのね、あんまりウィンズロウっぽくないなあなどと、中盤まではどうにももどかしい感じであった。さすがに終盤の緊迫した展開は一気に読ませる迫力があるけれど、やっぱり「これぞウィンズロウ!」という作品ではないように思う。
いやもちろん、期待値が非常に高いからこその不満であるのは間違いなく、これが知らない作家が書いたものであれば、絶賛していたかもしれない。ただ、どうしても納得しかねるのが、主人公のデッカーが警察を辞めてまで誘拐事件を追いかけようとする動機が、今ひとつ腑に落ちないこと。妻との関係も、わかったようなわからないような…。これ、もしかしてシリーズものになるのかな。
それと、解説を読んで驚いたのは、ウインズロウの本国アメリカでの人気は、日本やドイツほどではないとあったこと。えー、どうして?
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さて、異例の『報復』と同時発行、しかもUS本国での出版をさておいてドイツと日本で先行発売という作品のこちらは片割れだ。『報復』が、『犬の力』に似た活劇用のリズミカル文体で綴られた戦闘アクション復讐劇という大スケール作品であったのに比して、こちらはハードボイルドの一人称形式によってどちらかと言えば地道に描かれた失踪人捜査のドラマ。
通常の警察小説と異なるのは何よりも主人公だろう。失踪事件が起こったネブラスカ州警察署のフランク・デッカーの異常なまでの責任感と捜査への執念が何よりも、他の類似小説群の追随を許さない。何しろ警察が匙を投げかけたと見るや、警察を辞職しこの失踪人捜しにかかりに切りになる。未練が残りつつも、妻との生活にも終止符を打つ。全米を旧式の自家用車で手がかりを求めて放浪する生活、という設定には狂気の片鱗すら感じる人もいるかもしれないが、この辺りはさらりとスピードアップする。
しかし手がかりの一端に辿り着くや否や、フランク・デッカーの人生は、新たなステップを踏み始め、バックミュージックがさらにヘビーなものに変わる。生死すらわからない5歳の女の子の行方を追い求め、セレブの世界や地元警察、地元マフィアのファミリーにまで手荒い仕掛けを実行する。代償として食らうパンチの痛みは、捜査への手ごたえとしてデッカーをむしろほくそ笑ませる。
『報復』でも見られた主人公の怒りが復讐の力となり、田舎くさいかもしれないヒューマニズムの真摯さが金やプライドの混在するニューヨークの闇を引っ掻きまわす。純朴な男の滑稽なまでの一途さと直進性が小気味よく悪党どもを破壊して突き進む。二冊同時刊行された作品のどちらにも通ずる怒りと正義のヒーロー像。元海兵隊という戦場での過去を持つ点も共通項。どちらも全く別の題材、別の世界を描いた小説ながら、どこかで二卵性双生児のように類似したものを内包しつつ、ドイツと日本で同時翻訳され、愛読者の手元に渡されている。まだ本書を手にすることのできないUS本国のファンがつくづく気の毒に感じられてならない。
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少女誘拐事件の担当刑事が、やがては職を辞してまでも少女の行方を追う、ただそれだけの話。
序盤はリアルな警察捜査が展開され、やがては独りで全米を情報を求めてさまよう主人公の姿がロードムービー調で描かれ、中盤での一つの手がかりをきっかけに、N.Y.しかもファッション業界が背景になり物語のトーンが突然変わる。さまざまな組織や団体の思惑が絡まって…。
この様に物語のトーンは大きく変わって行くが、”孤高の探偵一人街を行く”トーンの物語が全編を貫いていてオーソドックスな探偵ものに仕上がっている。
どこか主人公デッカーは、パーカーなどとダブるところがあるが、ウィンズロウ描くこちらの方が魅力的。
登場人物もしっかり描かれているし、ラストでは物語が盛り上がり落としどころも良い。ちょっと切なさもある読後感も文句なしで、ウィンズロウとしては小粒ながらもキッチリ楽しめる一作だった。他のウィンズロウ作品のような派手さは無いが、相変わらず絵面的にも映画化に向いている。
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どうにも仕事を辞めてまで捜索し続ける必然性がわからない。モデルの家に入り込んで捜索をするというのも根拠もなくご都合主義としかおもえなかった。
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テンポが良くてサクッと読めた。主人公はだいたいミレニアルにあたるくらいの年だが、なんだかもっと上の世代に感じられるな。ネブラスカだからかな。
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生きていると信じ誘拐された少女を執念で、刑事を辞めてでも探す男の執念。
感を信じての行動をそっち違うんじゃないかとハラハラする。
手伝ってくれる人達も良い空気を出しており、新たなチームの連作もあるかと思ったのだが・・
執念の先にある男の悲哀が・・
行方不明になったその種の愛はもう誰にも見つけ出せはしない。うーん。
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正義を求める著者が、アメリカにおける失踪事件の実態に、本気のグーパン!すべてを捨てて戦う男登場ですよ!ばりばりのはーどぼいるど!面白かったぁ!