紙の本
おしょりん
2020/07/01 11:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
福井県をメガネのフレーム生産で有名にした増永兄弟の奮闘を描く。
主な産業がなかった福井県麻生津村に増永五左衛門は私財を投げ打ち羽二重の生産を始めるが、火事により事業を撤退する。ある日大阪から戻ってきた弟の幸八からメガネの必要性を聞き、メガネの将来性にかけ、工場を建て、職人を集め製造準備に取り掛かる。しかし、村人の反応はなく、反対するものが多く、前途多難な船出となった。
メガネをする習慣のない福井の人々にメガネは定着するのか、また日本で増永メガネは通用するのか、兄弟の奮闘の結果は・・・。
日本の伝統の物づくりの神髄をここに垣間見る。先人たちの知恵や経験がもっと今に活かされたら素晴らしいと思える。
増永兄弟の生き方にも共感できる作品でした。
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曽祖父母や増永一期生の人々が眼鏡枠作りに取り組む中で抱えていた思いや悩みは、今の私達と共通したものであり、とても励まされました。
--増永眼鏡株式会社 増永宗大郎
めがねで世界を変えた、兄弟の魂の物語。日本のものづくりの真髄が、ここに。
明治三十八年、福井県麻生津村。増永五左衛門は、この地に農業以外の産業を根づかせるべく苦闘していた。そんな時、大阪へ出稼ぎに出ていた弟の幸八が、
当時はほとんど普及していなかっためがねに着目、村でのめがね製造を提案する。村人たちの猛反対の中、輝く地平を求めて、二人は困難な道を歩み始めるのだった--。「トライアウト」「手のひらの音符」などで注目を集める作家・藤岡陽子の新たなる代表作の誕生!
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今や、世界有数の眼鏡産地となった福井県鯖江市。
その起源とも言える、1905年創業の増永眼鏡(株)。
その創業者で、「国産めがねの祖」とも呼ばれる、
増永五左衛門と末弟の幸八兄弟が、
明治の御一新に取り残された福井の田舎の寒村で、
「めがね」
といぅ未知の道具に、寒村の未来をかけて臨んだ、
失敗と再生、苦難への挑戦と家族愛のお話です…。
とは言え、
題材的には、やはり地味なところはありまして…、
多少の地元びいきでもなぃと、なかなか関心は…?
などとも、福井出身のボクには感じられました…。
(作品の評価とは、全く関係のなぃところでね…)
それでも、
最近流行りの地方再生、産業創造といぅ視点では、
決して、ビジネス書の類でも内容でもなぃですが、
むしろ、オススメしたぃですね…!
(個人的には、結構、面白かったですよ…!)
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最初はおんな目線の話かしら?と思ったけど、うまいこと交錯して増永兄弟の挑戦と努力について書かれていた。
職人さんのほとばしる情熱や、めがねに対する熱い思い、周りを思いやる気持ちなどバシバシ伝わってよい作品だった。初めの一歩を踏み出すのには勇気がいるけど、世界が変わるっていうはじまりの予感を思い起こさせる描写が素敵でした。
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素晴らしかった。
地元、福井から日本の中心へ
世界へ発信し続ける産業を育てたいという
兄弟の強い思いが伝わった。
藤岡さんの優しい文章の中に
きちんと力強さもあると感じた。
福井で眼鏡が作られているということは
なんとなく知っていたのだけれど、
こんなに地元を愛する力が生んだことなんだと思うと胸が熱くなる。
地元への愛、
職人への愛、
職人の愛。
兄弟の互いを思う愛、
妻への愛、
夫への愛、
かなわぬ相手への愛。
どの愛も自分よりも相手を想うことで
成り立つ愛だった。
特に兄の嫁むめの決心と弟、幸八のむめを想う気持ち、これは
究極の恋愛と言える、と思う。
愛することは相手の幸せを願うことで
困らせたり、ややこしくしたりすることではない。
そしてその愛はとても強くて、
その愛し方は難易度が高い。
弟、幸八ぃ、めっちゃよかった。
兄ちゃんの五佐衛門もめっちゃよかった。
しぶかったよぉ。
映像化、してほしいなぁ。
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福井県鯖江市で眼鏡産業の礎を築いた増永兄弟の熱い物語。素晴らしかった。ものづくりに対する情熱、試行錯誤、組織としての在り方、などなど読みどころはたくさんあるが、弟・幸八の心情が何よりいい。兄・五左衛門の妻、むめに対する秘めた愛、尊敬する兄への想い、ラストのセリフに涙が出た。「おしょりん」というタイトル(福井の方言)と、兄弟の生きた人生が重なり合った最終章に、深い感動と勇気をもらった。ぜひ映像化してほしいと思う。
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眼鏡のフレーム工場の物語。
産業に乏しい寒村で、周囲の反対を説得し、あまたの苦労を一つ一つ真摯な態度で向き合い、解決し発展していった兄弟とその家族。
感動の1冊です。
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日本の眼鏡生産の拠点といえる福井県鯖江市。
その地で眼鏡生産のパイオニアとなった増永眼鏡の成り立ちの物語です。
東京や大阪の眼鏡技術に比較されて福井の眼鏡が下に見られていた明治期。私は東京新宿で眼鏡専門店に勤務していましたが、難しい修理は必ず鯖江の職人さん頼みでした。
今では東京大阪よりも福井の技術が優れていると思います。
仕入れ担当だったので増永眼鏡さんにもお世話になりました。
そんな増永さんの苦労と成功の物語、最後は号泣でした。
当時の同僚たちにもぜひ読んで欲しい作品。紹介させていただきます。
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明治38年増永眼鏡創業、兄弟の物語。創業から6年間の話。
プロジェクトXの中島みゆきさん『地上の星』が頭の中に流れながら読む感じ。
何もないところから一から作るのは大変だし、勇気がいること。
増永眼鏡のサイトをみると、高級感いっぱい。
増永眼鏡株式会社(福井県福井市 眼鏡フレーム製造・販売)
http://www.masunaga-opt.co.jp/
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福井の小さな町で眼鏡を作った兄弟の話。
おしょりんって何のことだろう?と思って読んでいたが、その意が書かれているところを読んで、自分の前にも広い世界が広がったように感じた。
苦労に関してはさらっと書かれているが、本当はもっともっとたくさんの苦難を乗り越えたのだろうと思う。
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おしょりんの中を兄弟が歩く。
弟が行きたいと言った方に兄が連れて歩く。
この関係は大人になっても変わらなかった。
行きつく先は地場産業の発展=眼鏡の製造。
文明開化の音がする。と言われた明治。
都会と地方の産業の差は大きく開くばかり。
地場産業の弱い地方は土地も人もやせ細るばかり。
その中で増永兄弟は眼鏡の製造を立ち上げる。
0からの出発。
失敗、挫折等々…。その都度乗り越えて行く2人の強さと脆さ。その関係に兄嫁であるむめ、従業員たち、それぞれの葛藤も書かれている。
読み終わった後とてもお腹いっぱいになった。
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なかなか読み始められずにいたが、一旦中に入り込むと一気読み。面白かった。
福井県にメガネ産業を導入した家族と職人たちの熱い物語。読後感も抜群にいい。
ところで、238Pに「・・・豊島が店の中に入っていく。」
とあるけど、話の前後からすると「・・・橋本が・・」でないと変なのではないだろうか?
その場所に豊島さんいないはずだし。
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福井でメガネを作るという発想とその熱意努力に応援しながら読みました.徒弟たちへの夜学という教育への配慮も含めて,増永兄弟只者では無い.
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福井の田舎の村に、眼鏡の工場を作った兄弟の物語。職人視点の話かと思ったら、経営者視点の話だったのが少し物足りなかったけど、読みやすくて面白かった。眼鏡作りに難色を示していた末吉が、娘のツネが眼鏡をかけてよく見えるようになったのを見て、気持ちを変えたシーンが好き。「めがねはただの道具やないんや。めがねは人生を変えるかけがえのないもんやったわ」
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2017/7/14
初めて合う作家さんで、どうかと思いきや素晴らしかったです!
物語は明治 眼鏡で有名な福井県の田舎で新しい産業を興した人達のお話です。
農業に行き詰まり、再建で眼鏡に目を付けて、ゼロから興していった夫婦と家族の物語