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日曜日の本屋さんでちょっと立ち読みして、吸い込まれて即購入した一冊。
こういう出会いがあるのが本屋さんのいいところ。
WOWOWドラマにもなった「震える牛」や「血の轍」の原作者、相場英雄さんの新作です。
震える牛で事件解明したメモ魔の刑事田川さんがまた登場。
派手さはないですが、緻密な操作で細い糸を手繰り寄せながら事件の真相に迫っていきます。
現在の社会の大きな問題だけど、普通に生きている人たちはぼんやりとしか感じていない
自分に起こりえないものだとたかをくくっている、そんな問題を一気に目の前に突き付けてくるような
内容です。
読みながら手が震えてくる感情は久しぶり。
上巻の最初の方ですぐに下巻もほしいと決め、アマゾンで即ポチしました。
年度末で忙しいなんて言っていられない。
自分がいかに幸いな社会にいて、無知で無感情に生きているか
そんな心を激しく揺さぶられる作品です。
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読み始めたら、先が気になって止まらなかった。
読後一週間はずっと、派遣のこと、資本主義のこと、警察のこと、などなど、登場人物関連について、考え続けることになってしまったぐらい衝撃を受けた。
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『震える牛』続編。今回は、自動車業界、派遣業界の闇を描く。好況の恩恵は強者だけが受け、不況のしわ寄せは弱者だけが被る。こんな世界に誰がした。鎌田慧『自動車絶望工場』を思い出した。
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一人の青年が自殺を偽装して殺害された。ある自動車メーカーで派遣社員として働いていた。田川は捜査してるうち過酷な労働条件のもと働かされていた…果たして彼はなぜ殺されなければならなかったのか?下巻がきになる
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本格的推理小説。
上下巻と頁数は多いものの、読み始めると事件の真相が気になり一気に読み進めてしまう面白さ。
下巻では割と早い時期に真相が示唆されるものの、そこから二転三転どころでない怒涛の展開で最後の一ページまで読者の心を離さない良質の推理小説である。
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(上下巻あわせたレビューです)
食品偽装をメインテーマに据えた『震える牛』の続編です。窓際刑事の田川が今回直面するのは自動車業界の不正ですが、本作の刊行後に三菱自動車の燃費不正問題がニュースとなり、非常にタイムリーな作品になった感があります。もっとも、小説のほうは燃費にとどまらず安全性を蔑ろにする実態も描かれているので、10年ほど前の三菱自動車のリコール隠しも元になっているものと思われます。それ以外にも、非正規労働者の問題(メインテーマはむしろこちらです)、シャープの経営再建問題といった、ここ数年に実際に起こった出来事を彷彿とさせる内容が盛り込まれており、少しでも時事に関心のある読者には興味深く、考えさせられる内容になっていると思います。
物語の基本的なフォーマットは前作『震える牛』とほぼ同じで、迷宮入りになりそうな殺人事件を田川が捜査する過程で様々な社会の歪み・矛盾が明らかになっていく、という趣向です。前作では食品偽装の背景として安全性を軽視したコストカットが問題提起されていましたが、本作も根底に横たわる問題は同じであると感じました。それにしても、私は製造業の末端の方々の実態には詳しくありませんが、この小説で描かれた内容が実態と相違ないのであれば本当にひどい話であり、同じ日本人として恥ずかしく、憤りを覚えます。残念ながら描かれたこれら問題に対する解決策は作中では提示されませんでしたが、我々一人一人が目を逸らさずに向き合って考えなければいけないものであるという思いを強くしました。
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警視庁捜査一課継続捜査担当の田川信一は、身元不明のままとなっている死者のリストから殺人事件の痕跡を発見するが…。ガラパゴス化した日本社会の矛盾を暴露する、危険極まりないミステリー。
今まさに話題の三菱自工による燃費データ不正事件を予言するかのような内容に戦慄。ほかにも製造業の派遣問題など、いまの日本が直面する根深い問題に殺人事件を絡めて一気に読ませる力作だった。上巻を読む限りではまだガラパゴスの意味はわからないけど…。
(B)
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「震える牛」に続いて久しぶりに相場英雄の新作を読む。
時代の流れを汲むのが早い。エコカーを詐欺だと断じるのは、フォルクスワーゲンに端を発し三菱自動車にいたる一連の騒動にぴったりと合っている。
時代にあっているから読みやすい。そして話は派遣労働へと広がる。
「震える牛」では、「車がなければ生活できないなんて、そんなもん町じゃねぇ」というセリフが印象的だった。
そして何より、警察小説は外れがない。横山秀夫、奥田英朗など(今気がついたけど「ひでお」ばっかりだ!)、今が旬の警察小説家は多い。
上巻で事件を見せ、下巻へ続く。下巻に期待が高まる。
窓際部署に配置された警察庁捜査課の田川は、腐れ縁の鑑識課の木幡から、過去の身元不明遺体の身元特定の協力を依頼される。
その過程から、身元不明遺体と思われていた遺体写真は、自殺に偽装された他殺だったことを見抜く。
田川は身元不明遺体の捜査を開始し、本名が仲野であり宮古島出身だということを突き止め、仲野の足跡を追う。
業務過失の道を極める鳥居は、高校時代の先輩であり、今では派遣事業の一大企業の社長である森に、田川が探し当てた一件を裏打ちする。
この一件、完璧に処理しなければまずいことになる。この線を追ってる刑事は切れ者だ、と。
さらに森は、スーパーハイブリッドカーとして販売台数を伸ばしている中堅自動車メーカー、トクダモータースの社長、松崎にもこの一件を報告する。
この殺しの裏には何が隠されているのか。下巻に続く。
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業者の不正、非正規労働の実態、こんなに生きにくい国なんだなと思わされた。地道な捜査で確実に真相に迫っていく感が、止まらなくて一気に読んだ。
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警視庁捜査一課継続捜査班田川刑事シリーズ第2弾。
田川刑事の粘り強い捜査による過去の事件の掘り起こしはさすがに面白いです。
偽装請負と自動車事故と殺人がどのように絡むのか、下巻に期待です。
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上巻を読んだだけだが、秀逸な作品だと確信した。展開はそれほど速くないが、じわじわと霧が晴れて景色が見えてくるような感じがして堪らない。エコ減税の裏側、非正規労働者の闇など驚くべき実態が明らかになり凄く勉強になり考えさせられる。下巻への期待大!
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相場英雄という人はもともと経済小説とかでデビューした人のようだけれども、大ヒット作となった「震える牛」をはじめミステリ作品も多く書いているという。良く知らなかった。本作は震える牛の田川信一シリーズ2作目。前作はBSE問題、本作は派遣社員の労働問題をテーマとして扱っている。だが労働環境が悪いとか人間扱いされてないとか単にそれだけにとどまらずハイブリッドカーは、本当にエコカーなのか?等々、日本のガラパゴス化現象にフォーカスしつつ社会に向けて問題提起している様は非常に意識が高いと思った。詳細→
http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou20502.html
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古い団地の一室で、自殺に偽装して殺された心優しい青年。彼は、遠く故郷を離れ、日本中を流れて来た派遣労働者だった。
大きな事件の陰で見落とされ、身元不明リストに眠っていた事件は、警視庁継続捜査班の田川の丹念な捜査により、真相が明らかになっていく…
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皆さん、自家用車を購入するとき、燃費をなさるでしょうか?
4年ほど前、車を買い換えるとき、燃費を数値で確かめましたが、「たぶん、それだけの数値はでないだろうなあ」と. 思って購入していました。思った通り、それほどの値は出ませんが、それほど車には乗らないので、気にはなっていません。
そんな中、この1年世界を巻き込んで世界中で燃費偽装問題が舞い上がりました。
まずは、日本の話に絞りたいと思います。
車を買い換えるとき1番悩んだのは、駆動機関です。クリーンディーゼル、ハイブリッド、ガソリン。気持ち的には、書いた順番で欲しかったのですが、クリーンディーゼルは内の車庫には大きすぎ、10分前後の走行が多ければ逆に燃費が悪くなることが分かり脱落。ハイブリッドは果たしてコストパフォーマンスが良いのだろうか?という疑問にぶち当たり、日々街乗りをぐるぐるしている人であれば良いのかもしれないが、内の場合バッテリー充電のためにガソリンを費やすことになりそうだということで、最終ガソリン車を選択することになりました。
現在の新車販売の構成比はハイブリッド車が30%前後になってきていると言うことですが、世界的に見ると5%に満たないと言うことです。長距離を走るには、現在のハイブリッドのバッテリーと、モーターでは力不足となっていると言うことなのでしょう。
さらに、海外の燃費表示では、街乗りと、高速走行の2種類が掲載されており、自分にマッチした車を選ぶことが出来るようです。
その他のことも、海を隔てた国と比較するのも良いことだなあと新ためて思いました。
ただし、日本に向いた指標もあり、日本でこそ生かせる機械もあるので、何もかもを海外と合わせようとするのは、それもそれで違うとは思います。
少し、この本のストーリーとはずれていますが、私自身が知らないことで、この本を読んで知りえた情報の一部を、自身の経験と交えて紹介させて頂きました。
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2016.7.26.ある身元不明死体からあぶり出されていく日本の労働環境の暗部。いよいよ、真相が明らかになるというところで上巻終了。これからが楽しみ。