電子書籍
余韻が残る作品
2017/06/08 21:50
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投稿者:Sota - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作家さんのBL小説は何冊か読んだことがありますが、好きな作品と合わない作品の両極端で、これはどうかな?と思って読んでみたら、面白かった!
明日子と日々人は、優しいですね。
でも、父との確執の原因は、私は、父を支持してしまうなぁ。
紙の本
まぎれもなく傑作であるが
2016/02/04 16:38
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投稿者:hike - この投稿者のレビュー一覧を見る
1995年からタイムスリップしてきたセーラー服の美少女、今日子。ファミコン、ソックタッチ、MDなど当時の風俗が思い出されて大変面白かった。
引っかかった点がある。この作者はおっさんを描写する視点が甘すぎる。主人公きょうだいの父親や、今日子の初恋の相手で現在は百貨店バイヤーの男性などの表現にそう感じた。もっと容赦なく暴き立ててほしい。そこが不満。
電子書籍
大好きな一穂先生の話だったのだけれど…
2017/11/06 20:09
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投稿者:ちくわ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一穂ミチさんのBL本は全て読破済みでしたので、この本も買ってみました。私的に一穂先生の魅力は、登場人物の魅力にあると思っているのですが、この本からは主人公たちが幼いせいか、そこまで魅力が伝わってきませんでした。
もし、父親からの視点で話や葛藤を描いていたら、もっと感情移入ができて、楽しめたかもしれませんが、そこを書かれてしまうと大人と子どもの境目である主人公たちの葛藤がうまく伝わってこないかもしれませんね。
物語自体はすごく良くできていたので、星4で。
電子書籍
もっと
2018/12/27 20:24
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投稿者:ぽぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は、もっと評価されていいはず。傑作中の傑作です。保存版にしておきたくなるぐらい、ハマりました。
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学生時代の夏休みの無敵感と少しの切なさの予感、そこに30年の時を超えたSF(すこし不思議)が加わって、すごく面白かった。
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長い眠りから目覚めた女子高生、今日子と、そのいとこである明日子と日々人のひと夏の話。
コールドスリープ、とはいえ強くSF感はないのだな…と読み進めるうちに、捻じ曲げられている情報や、少しだけ未来の世界の管理・統制社会の仕組みが三人の前を立ち塞ぐ。
三十年という時間の経過について、自分自身が今日子の少し下の歳で、彼女が飛び越えた三十年をまさに生きてきたので、カルチャーギャップがわかるなぁと感じながら読んでいた。いくつもの機械を使っていたのに、スマホ一つで何役、何十役もこなせてしまう現在をすごく便利なものだと思うけれど、確かにこの三十年くらいってフルモデルチェンジよりもマイナーチェンジの世界だったのかも。何年かおきにカバーされる名曲がいくつも頭に浮かんで、復刻版を有難がって。いつまでも愛されてる気がしていたけど、半端に残ってるというのがすとんと腑に落ちる。
今日子という新しい刺激に対して、明日子が内心で抱える感情や日々人の変化。一穂作品に出てくる人は皆、正直で率直で、それでいてとてもやさしいのがこの作品でもそうであることが嬉しかった。
家族というもの、病、十七歳の繊細さ、夏休みという特別な時間といった感情的なものと、時代装置が上手く噛み合った不思議で特別なSFストーリーになっていた。
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コールドスリープによるタイムトリップものですが、時代を1995年と2025年に設定していて、まだ記憶がある過去と、今よりも少し未来という、情景が想像できる設定はよかったと思う。
もっとチープな感じを予想していましたが、予想に反してなかなか読ませる話でした。最後の短編は少し蛇足な感じがしました。
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内容(「BOOK」データベースより)
2025年7月。高校生の明日子と双子の弟・日々人は、いとこがいること、彼女と一緒に暮らすことを父から唐突に知らされる。ただでさえつまらない夏休み、面倒ごとが増えて二人ともうんざりだ。いとこの存在に、なんの楽しみも期待もない。退屈な日常はひたすら続いていく。けれど、彼女―今日子は、長い眠りから目覚めたばかりの、三十年前の女子高生だった…。
過去と未来を同時に味わうお話。
丁寧な描写が一穂氏だなぁって思った。
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おそらくBL小説での方が著名な方だとは思うのですが、一般向け小説もなかなか読み応えのあるものを書かれるのですね。
「おお~…」と唸らされました、SFあり青春あり。
文体としてはあえてかもしれんが、ちょっとドライで突き放す語り口でしたね。
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ちょっと前の朝日の書評で見て。1995年の女子高生と2025年の女子高生の比較がひとつのテーマになっている。SFで『夏への扉』をちょっと感じさせる一夏の物語。ちょうど、中学のクラス会があったところなので、40年前は中学生だった人たちと会ったところ。昔は携帯もなければネットもない時代の人たちがLINEを使っているところを目の当たりに見て、昔の高校生が急に現代に着たらやっぱりこの小説のようになるのかと。世代論、社会論を問いながら、SFにうまく仕立てていると思う。夏休みの読書用にもいいかな。
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この作家さんの他の作品群とパッと見にもジャンルのちがっている作品。宮崎夏次系の表紙に興味をひかれて手に取りました。
夏休み。突如告げられる従姉妹の存在。四半世紀の年月を冬眠状態で跳躍してきた女子高生。過去の出来事を原因に冷えきってしまった親子関係、何層もの安全柵を張り巡らせてお互いを遠ざけておくことを旨とするような人間関係、熱狂とは商業的にせよ政治的にせよ作為的で内容空疎なもの、熱心さ・ひたむきさとはそれが無害な暇つぶしのゲームに向けられているときだけリスクと無縁でありうるものというような主人公の思想。そういったものが彼女の登場によって動揺させられる。抽象化すればそんな感じです(抽象化しすぎ?)。
正直に言って主人公の「21世紀の私たち」の生き方は嫌いではありません。境界線を20世紀と21世紀の間に置くべきかどうかはともかくとして、何事にも過剰防衛的に冷めた態度で臨むことは、それはそれで真剣で切実な思想=実践であり、20世紀後期の社会・経済に希望と失望の双方を体験した世代の、その次の世代の態度としてとても合理的なものであるように感じます。またとくにコミュニケーションの距離感についていえばそれは今しも鋭意継続中の「文明化の過程」の歴史のなかにすんなり自然に位置づけられると思います。
まあしかしそのような日常が突拍子もない来歴の人物の闖入によってかき乱される様を見る(読む)というのも面白く、またひとつの「回復」「統合」として好印象を感じるのはなぜなのでしょうね・・・。
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高2の夏、明日子と日々人はそれまで知らなかった従姉・今日子の存在と、彼女を引き取ることを父から告げられ、戸惑う。しかも、今日子は30年前にコールドスリープに入って目覚めてしばらくたったところだと言う。
ノストラダムスの大予言が騒がれていた時代に生きていた少女が、現代よりもさらに進んだ近未来に目覚めて、自分が生きる意味を必死で考える様が痛々しくなく、描かれている。
語り口は軽いのに、テーマは重い。読み進むうち、テーマはさらに深まっていく。
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2025年の夏休み。明日子と日々人のきょうだいが出会ったのは、おさげとセーラー服の似合うちょっと古風な少女・今日子。長期にわたる冬眠状態から目覚めたという彼女は、まるで1995年からタイムスリップしてきたかのようで…。
ジェネレーションギャップがありつつも次第に打ち解けていく3人、そしてきょうだいと父親との関係性が変化していく様子が瑞々しく描かれています。不運な境遇にもかかわらず前向きな今日子が魅力的。じんわりとした読後感で、初めて読む作家さんでしたが、読んで良かったです。
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1995年から2023年まで冷凍睡眠していた女子高生・今日子が目覚め、同い年の兄弟である明日子と日々人と夏休みを過ごす。
今から約10年後が舞台だというのに、2016年現在の流行語や言葉遣いが全面に出ているのが違和感がある。10年前と今でさえ言葉が違うんだから、10年後なんてもっと違っているに決まってるでしょう。「ドヤる」という言葉が生き延びたとしても、一過性の流行り言葉は廃れていると思う。技術が進歩したパラレルワールドな現在が舞台で良かったのに。
1990年代のアナログ礼賛が鼻についた。主人公の今日子は目覚めたら2023年だったので当時のことを懐かしむのは分かるんだけど、どうにも文章からアナログ礼賛がにおってくる。インターネットで何でも情報を簡単に調べられること、流行りものは自然にできるものでなく誰かが仕掛け人となって作ったお祭りであること、電子書籍による漫画の流し読みなど、明日子があまり深く考えない一方、今日子は色々考察するので、ネットがある時代に学生をしていた者としては気分が悪い。年配の人の「昔は~~だった」という話を聞かされているみたい。
今日子が巻き込まれた事件の新聞記事の実物を見つけ、真相が解き明かされてからは少し面白くなった。一夏の切なさを孕んでいる物語なのだが、どうにもピンとこなかった。時代の違いというノイズに惑わされて登場人物達の気持ちに寄り添えない。この物語を楽しめるのは1995年に女子高生だった人だと思う。
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今日と明日、日々は
水のように流れる。
過去と現在、そして未来。
つながっているのに結ばれていない。
戻れないのに、上の情景は
眼と心に焼き付いて離れない。