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投稿者:ブラックスワン - この投稿者のレビュー一覧を見る
思いもよらない反応が見えます。
被災者のリアルな声がわかります。
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ひとつひとつの章が深く心に響くものであった。学部生が綿密なインタビューとフィールドワークにより実践した研究であると知り驚いた。
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東北学院大学の学生たちによる震災の記録プロジェクト報告です。タクシードライバーが「幽霊」を乗車させた部分が報道でも取り上げられましたが、全編、考えさせられる内容でした。
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yahooのニュースにも出ていた、石巻のタクシー運転手の霊体験の話に興味を惹かれ読みましたが、他の章の、報道されない震災の実態に辛くなりました。
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震災にまつわる情報の中で、いわゆる「幽霊」現象にスポットを当てたものを初めて知ったので、手に取った。お化けの話なんて軽薄なものでは決してなく、石巻市のタクシードライバーさんたちが自身の霊魂との邂逅を、とても大切に受け止め、死者へ畏敬の念を抱いていることに心があらたまる思いがした。その他の章でも、決して分かったと思ってはならないと自分を戒めた。震災から5年の節目を前に、たくさん入ってくる情報を受け取る際、美談の影には数えきれないほどの悲しみや苦しみがあり、そのことは経験していない者には決して分からないのだ、簡単に共感などできないのだ、そのことを知った上で被災地を思わなければならないと思った。学生さんたちの真摯な研究に敬意を表します。
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借りたもの。
震災・津波という非常事態における日本人の死生観だけでなく、日本人の持つ先祖崇拝や文化的な霊魂の考え方と価値観、そして現実的な対処について学術的に明文化されている、凄い試みの本。
”生き残った者の無念”、震災を記憶する事への遺族感情の変化、記憶・教訓の対象となるものは何なのか、遺体の有無や埋葬の仕方により遺族感情が変化すること、日本人の先祖崇拝が墓(遺体が埋まっている場所)と慰霊碑(象徴)の両墓性があること等、精神面への言及が多く貴重だと思った。
それだけでなく、現実的な部分――遺体の処理や原発で立ち入り禁止区域となった場所での動物の駆除問題等、報道では見えない、聞けない面を記録している。
震災の犠牲者の幽霊に遭遇したという話の調査から始まり、それは怪談というより、現代の『遠野物語』だと思った。元々、その地でもあるが故に。伊藤三巳華『視えるんです。 ミミカのとおの物語』(http://booklog.jp/item/1/4041024242)でも、柳田國男『遠野物語』(http://booklog.jp/item/1/404308305X)に津波で妻を亡くした男が、その幽霊に会う話があったことが、挙げられていたか……(三巳華氏は犠牲者であろう若い男女の霊とも遭遇している)
死者の数の多い少ないは問題ではなく、被災した人々にとってそれが"MAX"、極限の体験であり、”心のケア”として死生観がどの様に影響を与えているかをも考えさせられた。
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震災後、石巻の橋に霊が出るから夜間は通行禁止になっている、という噂を聞いていたので、1章 死者たちが通う街に興味があったのだけど、一番印象に残ったのは6章 672体のご遺体の掘り起こしだった。やむを得ず仮埋葬した遺体を民間業者が掘り起こしたとは全然知らなかった。
清月記さんの業務を超えた奉仕の精神にはただただすごいの一言しか出てこない。
分かりやすい悲劇は取り扱いやすいけど、一番知らなくてはいけないのはどういうふうに死んだか、どういうふうに見つかったか、ということかもしれない。
はじめに教授が書いているけど、日本は徹底して死体が映らない報道がなされているから、こういう災害が起きたときにどういうふうに死ぬのか実感を持てずにいて、命を守る行動が遅れてしまうのかもしれない。
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静かな良書と言えるでしょう。売れるかどうかは別ですが、世に出されるべくして出された書なのではないでしょうか?
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少し前に、東北学院大学の学生がタクシードライバーから幽霊現象について調査を行い、その結果を卒論にしたといったニュースをみた。
それは、東北学院大学社会学ゼミの4年生たちが取り組んだプロジェクトの一部であった。
本書は、そのプロジェクトの成果。
特に日本社会ではタブー視されることが多い「死者」に対し、震災の当事者たちはどのように向き合わなければならなかったかを、綿密なフィールドワークを通じて明らかにするのが、このプロジェクトの目的・
本書の概要を知るには、章立てをみるのが一番早いと思われる。
第一章 死者たちが通う町 タクシードライバーの幽霊現象
第二章 生ける死者の記憶を抱く 追悼 / 教訓を侵犯する慰霊碑
第三章 震災遺構の「当事者性を超えて」20年間の県有化の意義
第四章 埋め墓 / 詣り墓を架橋する 両墓制が導く墓守りたちの追慕
第五章 共感の反作用 被災者の社会的孤立と平等の死
第六章 672ご遺体の掘り起こし 葬儀業者の感情管理と関係性
第七章 津波のデッドラインに飛び込む 消防団の合理的選択
第八章 原発避難区域で殺傷し続ける 猟友会のマイナー・サブシステンス
ニュースになったのは、本書の第一章にあたる部分。石巻市内のタクシードライバーたちが遭遇した幽霊現象についての聞き取りレポーになっている。
復興とともに再び走り出したタクシーが、出遭う多くの幽霊現象。その多くが、実際にタクシーに客として幽霊を乗せる。そのときメーターを実車にして走り出すという客観的な記録が残されている。
タクシー運転手のなかには、身内や親しい人を亡くしたドライバーも、幸い身近には被害のなかったドライバーもいる。
それは、多分思い込みだ、非科学的だと否定できるものではないだろう。
あまりにも多くの人の命が、突然に絶たれることになった町、石巻。そこに、多くの思念が残ることは考えられる。
生の意味さえ分かっていないのに、霊を否定するのは非科学的な判断だと思う。
その他の章についても、取り上げられているのは震災で多くの被害、そして死と直接向き合わなければならなかった被災者たちの、心について。
そのとき、どうしてその行動をとったか。
いま、そのときについてどう考えたか。そして、いまもどう考えているか。
災害によって否応なく向き合わされる死について、ややもすればタブー視され、次世代に残されることのない記憶を、抽象的な数字に置き換えることなく記録した本プロジェクトは、意義のあるものだと私は思います。
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書評を読み、気になっていたので図書館で借りた。
東北学院大学 震災の記録プロジェクト金菱清ゼミの卒論集。
生徒たちは、現地で綿密なフィールドワークを繰り返し、これを書いている。
◆第1章 死者たちが通う街 タクシードライバーの幽霊現象(宮城県石巻・気仙沼)
◆第2章 生ける死者の記憶を抱く 追悼/教訓を侵犯する慰霊碑(名取市閖上・震災慰霊碑)
◆第3章 震災遺構の「当事者性」を越えて 20年間の県有化の意義 (南三陸町・防災対策庁舎)
◆第4章 埋め墓/詣り墓を架橋する 「両墓制」が導く墓守りたちの追慕(山元町坂元地区中浜)
◆第5章 共感の反作用 被災者の社会的孤立と平等の死(塩釜市・石巻市南浜町)
◆第6章 672ご遺体の掘り起こし 葬儀業者の感情管理と関係性(石巻市・葬儀社「清月記」)
◆第7章 津波のデッドラインに飛び込む 消防団の合理的選択 (岩手県山田町・宮古市田老地区)
◆第8章 原発避難区域で殺生し続ける 猟友会のマイナー・サブシステム(福島県浪江町)
書評では、第1章のことしか書かれていなかったが、全ての章に共通するもの。
それは、マスコミに出てこない被災地、被災者の声や行動。
これを知ってこそ、未来への教訓となるのではないだろうか?
時にあまりのことに読むのをやめようかと思ったが、最後まで読んでよかった。
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やっぱり学部生の論文なので
読み物としては甘い。
もっと本格的なルポが読んでみたいな。
科学が絡まない論文はどうもこじつけや
論理の飛躍があったりして
そういうとこがやや気持ち悪い。
内容はそれぞれ興味深いので
余計もったいない。
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ずっと読みたいと思っていた本 ゼミでまとめたというのだからおどろき。被災地に通ってる身からして、本に載せられないようなさまざまな苦労があったはず。タブー視されがちな死や遺体や、そして怪訝に思われるような霊、そして自分もあちこちで目にした石碑や、研究でもよくある震災遺構の議論。いろんな要素を踏まえた綿密なフィールドワーク、頭が下がります。
遺体の埋葬については、知らないことが多かった。
狩猟の「マイナー・サブシステンス」についても初めて知った。
タクシー運転手と客との関係の特殊性も
遺族の想いを受け止める石碑も
そして、悲しみは個別のもので、量的に判断してはならないこと。
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最初に強く主張したいのだが本書は名著である。
東北学院大学の学生たちがゼミ教官である編者の指導の下、東北の震災から5年を経た街で行ったフィールドワークの記録。
福島第一原発周辺の避難地域で繁殖する野生動物を「駆除」する猟友会。
作業が追い付かず震災直後に土葬せざるを得なったご遺体の掘り起こしと再火葬を続ける葬祭業者。
津波で遺骨ごと流されてしまった先祖の墓と慰霊碑との関係をめぐる葛藤。
当然ながら日本人の伝統的な死生観が様々な形で問い直される。
印象に残るのは、震災から5年、という月日が流れることで被災地の人々の考え方が移り変わり、整理されていく過程だ。例えば津波によって流された船、市庁舎などのいわゆる「震災遺構」保存についての町民の意見(記録として残すべき、つらい思い出だから壊すべき)にも変化がみられる。
速報性に踊らされて無責任なことをいくらでも発信できてしまう現代において、そしてそういうことに無自覚な人ほど「あいつはX年前にああ言ったこう言った、証拠見つけた」とあげつらいがちな中で、「これほど辛い思いをしても考え方は時間とともにかわるのだ」ということを知るだけでも価値がある。
おそらく各方面で引用され、また強い印象を残すのはタクシードライバーたちが語る「幽霊現象」だろう。震災後、多くの運転手たちが「季節外れの厚着」をしたお客さんを乗せ、他愛のない会話の後後ろ座席を見ると誰も乗っていない、という経験をしたという。それらは淡々と無賃乗車記録として残されている。
著者(学生)は、これらについて一切のオカルト的な印象論を排し、タクシーという密室の特性、そこでの会話が思わぬ癒しとなる可能性(カウンセリング的文脈)、あるいは認知科学の知見も援用しながら「無念の死を遂げた人の思いや記憶を何らかの形で届けたい、継承したい」というまさに「弔い」の感情の根源について考察していく。
やっと復興に目が向き始めた時期にあえて過去の記憶を繰り返し尋ねて回るフィールドワークは学生たちにとっても大変なチャレンジだったようだ。その多くが被災者であり、また遺族でもあるゼミ生自身によるあとがきは、それ自体深い感動に満ちている。
読んでいて辛いが、読後により大きな温かさを感じる本。これを送り出してくれた先生と学生たちにはお礼を言いたい。
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何年も前に新聞で紹介されていたのを読み、ぜひ読みたいと思っていたものの読んでいなかったので、東日本大震災から10年という節目で手にとりました。
被災地の当時のリアルな現状が伝わってきて、様々なことを感じた一冊となりました。
特に仮埋葬をテーマに扱った論文。
恥ずかしながら、そのような事実があったということさえしっかり理解していなかったので、衝撃的でもあり考えさせられる内容でした。
学生さんたちが非常に丁寧に取材をして書かれたのだろうなということがどの論文からも伝わって来たことも印象的でした。
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知らなかった。
震災の影でいろんなことが起きていることを。
マスコミが取り上げるメジャーなところとは違う様々な視点での考察を丁寧に書いてありました。