紙の本
新しい社会の在り方を提示
2022/07/30 14:12
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投稿者:ひでくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本では主にスペインを舞台に新しい社会の仕組みを模索していらっしゃる方々の例を紹介頂いてます。
最近世界的に幅を利かせている、つまらないマネーゲームとは一線を画した経済や社会活動が生き生きと描かれています。
かといって、現状では無茶と思われる「無貨幣経済」等を推奨しているわけではありません。
個々の人々や地域が、その得意分野を生かして有意義に社会を構成してゆくプロセスを紹介・提案をされています。
何かと暗い話題の多い昨今ですが、この本はそんな社会に一筋の光明を見いだせる良書だと思います。
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資本主義ではない経済システムの可能性に、読みながらワクワクする本だった。
後半は資本主義批判に終始している感あり。
それでも、本を読むことで新たな考え方に出会えるという意味で良い本。
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<メモ>
時間銀行…皆で協力し合う、何も取り柄がないと思っててもできることがあると知る。
フードバンク、セカンドハーベストジャパン
廣田裕之『地域通貨入門ー持続可能な社会を目指して』
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スペインでの地方組織のあり方や、心持ちを書いた本。
一言で言えば、関係人口をは増やすための政治のあり方や仕組みの紹介、です。日本でも個人でも、このような取り組みが広がって欲しい。
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現代資本主義は、人々から自ら考え行動する意識を奪い、依存的な人間を作ることに成功した。そして、選挙で投票し議会を通じて政治に参加するだけで満足するよう、仕向けてきた。
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スペインを舞台に資本主義とは異なる「もう一つの世界は可能だ」と声をあげ、立ち上がった人々の闘いのルポ。ラテン系の人は右も左も熱いですね。
お金持ちがさらにお金を稼いで国のGDPが増えていくことが資本主義での成功なんでしょうが、その結果は見事な格差社会。成長のために必要なのはお金持ちへの減税と貧乏な人々からもれなく吸い上げる消費税の増税、が現実です。
スペインに根付くアナキズムの伝統がソ連型の共産主義とはひと味違う「共同体主義」を支えているようです。「もう一つの世界」が本当に根付いていくのか、注目です。
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21世紀の楕円幻想論の中で紹介されていた。興味深いテーマである。
トゥルエーケとは、物々交換のことだ。15Mの地区議会の多くが、地域の公園や広場を利用して「物々交換市」を実施している。失業率の高い地域では特に盛んだ。「交換」と言っても、必ずしも二者の間でモノを交換する必要はない。自分が必要なものがあれば、それをもらうことができ、相手に何かを提供する義務はない。誰が誰の持ってきたものを持って帰ってもいいのだ。手持ちのお金があまりない人たちが、必要な物資を入手する方法としては、理想的と言える。
ホセフィナさんは、時間銀行の利用者が感じるメリットは、主に次の三つだと述べる。
・どんなこと(労働、サービス、知識など)でも同じ価値を持つということに気づくことができる。
・皆で協力し助け合うことで、お金で買えないものが手に入る。
・「自分には何のとりえもない」と思っている人も、できることがあると知り、自信を持てる。
提供できることがない、という子もいるのでは?と思いがちだが、誰にでも何かしらの特技はあるものなので、ここでそれを敢えてカードに書き込むことで実際にやるはめになり、結果として「こんなことでも人に喜んでもらえるんだ!」と気づく子どもも多いという。
この活動に参加した生徒たちは、「誰でも人の役に立てることがわかった」、「お金がなくても、何かをしてもらったり、手に入れたりすることはできるんだと知った」、「助け合うことの楽しさ、大切さがわかった」、「ふだん話さない子とも仲良くなれた」といった感想を述べている。
「仲間が北アフリカのモロッコに行きましたが、そうした開発途上と言われる地域には一般に、時間銀行が存在しません。なくても、助け合いが当たり前に行われているからでしょう。それだけ地域コミュニティにおける人の繋がりがしっかりしています。…」
…
「既存の経済の中で身につけてきた「私、私」という意識から「私たち」という意識に変わることが、もうひとつの経済の拡大には欠かせません。」
お金をたくさん手に入れる能力を持つ人だけが、価値ある存在であるかのような錯覚を起こさせる現代資本主義世界。そんな価値に振り回されて、自分のことばかり考えがちな市民。そんな環境の中で、「時間銀行」は人の価値観を変え、より人間的な世界を創り出す可能性を持っている。
経済至上主義が蔓延し、地域のコミュニティ意識が薄れ、子どもや若者の自己肯定感が低いことが問題となっている社会、まさに日本のような国でこそ、「時間銀行」の活用は期待される。