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著者の初期作品―小役人シリーズ―を思い出させる、一人称で語るハードボイルド小説。
題名からして、裁判関係の作品かと思ったら、正義をかざしてメディアを駆使、あるいは悪用する罪を問いかけるエンタメだった。
「メディアは、ミスを追及する側に立っているため、自分がミスを犯した時の対処に甘さがあってはいけないはずだ。が、現状は正反対といえる。」著者のメディアに対する警句と言っていい。
「正義を貫くには覚悟がいる。」
人の数だけ正義はあるし、正義という言葉には魔力がある。使う時は謙虚にしたい。
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7年前に自分で捨てたはずの故郷の土を踏んだ不破勝彦。
元新聞記者だった彼の元に、元妻である美里から助けを求める依頼があった。
彼女は現在、市長選への出馬を考えている朝比奈という男と不倫の関係にあり、その証拠写真が何者からか、送り付けられたのだという。
敵陣営からの嫌がらせかどうかを探ってほしいと美里から頼まれて渋々行動を開始した不破は、何者かに襲われ負傷してしまう。
最初は選挙絡みと思われた妨害だったが、何者かが自分を故郷から追い出そうとしていることに気付いた不破は……。
2016年3月25日読了。
久し振りの真保裕一さんです。
ハードボイルドタッチのミステリーで、引き込まれました。
でも、読後感はちょっと……。一連の流れを引き起こした黒幕、意外性も狙ったのだと思うのですが、思惑やら行動やらがイヤな感じが強かったです。
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本作を手に取ったきっかけはその大仰なタイトル。スケールの大きな内容を期待していたのですが、フタを開けてみたらとある地方の利権を巡る争いだった次第。
とはいえ話自体は面白かったと思います。ただの浮気調査から始まって、選挙戦を左右する事態に進展していく様子は、熱量の低い状態から読み始めた自分にとって、徐々にアツくさせるのに最適な展開。
ただ、最後のラグビーシーンはラグビーになじみの薄い自分にとって、何とも入り込めない感覚があったのと、黒幕的存在の思惑があまりに上手く行き過ぎる割に、その存在感と恐ろしさが今ひとつ伝わってこなかったので、読了時はちょっと冷めた状態になってしまいました。
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題名に惹かれて読んだが、かなり中途半端で残念な内容と感じた。この著者への思い入れは結構あり、期待が強かっただけによけい残念に感じるのかもしれないが。
もっと鮮明に、「正義」関する著者の考え方を打ち出して欲しかった。或いは、本書の内容こそが著者の考え方なのだということであれば、余りに薄っぺらと云わざるを得ない。
読後感も悪い。ミステリーとしてけりをつけたかったのかもしれないが、まるで女を憎むかのような書き方は戴けないと思う。好きな作家だけに本当に残念。
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メディア、特に新聞に信頼を寄せる人は多い。
けれど新聞といえども絶対ではない。間違うこともあるし、間違いに気づいたとしても訂正し謝罪するまでには時間がかかる。
どれほど大きな影響力があろうとも組織を動かし、記事を書き、実際に広めていくのは人間なのだから。
朝日新聞がいわゆる吉田証言に基づく記事について取り消しを表明したのはつい最近のことである。
訂正されるまでには長い時間がかかった。
それによって引き起こされたであろうさまざまな出来事はけっしてゼロの状態に戻ることはない。
報道の自由、それはあくまで緻密な取材に裏打ちされた真実のうえになければならない、と思う。
地方都市に君臨する信央日報。
7年前のある事件で主人公である不破は逃げるように故郷を離れた。
真実は隠され、あるいは誰にも知られないまま時間だけが過ぎ、いまでも不破を恨んでいる人間も多い。
執拗に故郷から不破を追い出そうとする何者かの強い意志。
原因はいったい何なのか?
物語は7年前の事件の真相を徐々に暴き出していく。
不破の元妻である美里にも、美里の親友である弥生にも、不破の妻だった塔子にも、まったく共感できなかった。
正義とはいったい何なのだろう。
そもそも正義とは誰に対してのものなのだろう。
美里も弥生も、それぞれの正義を胸に不破を責めることに迷いがない。
方向性の違いはあっても、妻となった塔子も同じように感じてしまった。
償いだったのかもしれないが、自己満足のための不純さがどうしても拭い去れなかった。
それにしても元社員の家族の応対は凄みがありすぎる。
穏やかな態度で出されたお茶が・・・この場面は震えるほど怖かった。
記事によって誘導されていく世間と、人生を大きく狂わされてしまう力なき人々。
物語に込められたテーマは思いのほか深かった。
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別れた元妻に不倫発覚!しかも証拠写真が送られてきた元妻、送り先を突き止めてほしいと元記者の主人公が呼び戻される羽目に・・・
しかし、元妻の父親がホテルを経営しその跡取りとして手伝っていた主人公、、
食中毒&死者が出るほどの事件M&Aでホテルは買収され主人公は故郷を離れ離婚を決意!!
自分を快く迎え入れてくれる人は・・・いない・・・・
最後の黒幕は・・・・うーーーん・・・そこか?
まんまと嵌められたね・主人公がけがをすることを承知で嵌めたのか?
故郷をとし戻すために不倫するんだぁ~
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地方の市長戦を巡るサスペンス。いくつかの布石があり、飽きることなく読める。地方の在り方についても、いろいろ考えさせられる発言。
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正義ばかりをふりかざせば、生きていくのがつらくなる。正義をつらぬくには覚悟がいる。
何度も正義という言葉が出てくる。不破勝彦は別れた妻の頼みで、訪れたくなかった生まれ育った町に戻る。嫌味を言われたり、怪我をさせられたり、辛い思いばかりする。なぜ、嫌な町に残るのか、東京に戻ればいいのにと何度思ったか。最後に真実が暴かれたときにはスカッとしたが、失ったものも多かったように感じた。
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ちょっと読後感が悪い
ただ、話には引き込まれ、1日で読み終える
割り切れない世の中でよく言われる「正義」という言葉について、問題提議をしていると考えるのか。。。