投稿元:
レビューを見る
山岳小説集というより、登山を舞台にした怪奇小説とでもいう感じ。
海でも山でも遭難するという事は、予想していない死といきなり隣り合わせになってしまう事なのだろう。そんな状況に置かれて、孤独に死の気配を感じ続けたら、怪奇的想像に支配されてしまうものかもしれないと、軟弱者は思ってしまう。高い山に憧れるが、天候重視のヤワなハイキング位が丁度良い。
投稿元:
レビューを見る
『神々の山嶺』のスピンオフ本。
とのことですが、私は『神々の山嶺』読んでません。でも問題なく読めました。
山に纏わる8編の短編集。
ガッツリ登山の本。って訳ではなく、山に因んだホラーだったりファンタジーだったり、ダークだったりちょっと恋愛モノだったり。色々なテイストが読める一冊でした。山も日本だけでなく海外の山も出てきます。
これ読んで逆に『山々の山嶺』読みたいな、と思ってます。
投稿元:
レビューを見る
先月、著者の長編「エヴェレスト 神々の山嶺」を読み終え、改めてド真ん中の山岳小説の面白さを知ったことでながらく積読となっていた本書を手にしてみました。
本書は「エヴェレスト 神々の山嶺」とは違い、どこか幻想的な雰囲気を醸し出しています。
8作の短編集ですが、ガチの山岳物ではなく、山を舞台としたそれぞれに趣きがある物語です。
山を愛し、自らも山に登ってきた著者の小説群より、山の臨場感と霊気に満ちた作品を厳選し、表題作を併録。山で起こる幻想的な話、奇妙な話、恐ろしい話など山のあらゆる側面を切りとった、著者初の山岳小説集!
内容(「BOOK」データベースより)
山が、そいつに声をかけるんだよ、長谷。順番が来たことを教えてくれるんだ。―お前の番だよ。こっちへおいで、と。(表題作「呼ぶ山」より)山を愛し、自らも数々の山に登ってきた著者の作品群より、山の臨場感と霊気に満ちた7作品を厳選。『神々の山嶺』のスピンオフである表題作を併録した。山で起こる幻想的な話、奇妙な話、恐ろしい話…人々を魅了してやまない、山の美しくも妖しい側面を切り取った著者初の山岳小説集。
著者について
●夢枕 獏:1951年、神奈川県生まれ。東海大学文学部日本文学科卒業。77年「カエルの死」で作家デビュー。89年『上弦の月を喰べる獅子』で日本SF大賞、98年『神々の山嶺』で柴田錬三郎賞を受賞。著書に『陰陽師』『キマイラ』『闇狩り師』『サイコダイバー』など人気シリーズ多数。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
夢枕/獏
1951年、小田原生まれ。東海大学卒業。『上弦の月を喰べる獅子』で第10回日本SF大賞、『神々の山嶺』で第11回柴田錬三郎賞、『大江戸釣客伝』で第39回泉鏡花文学賞、第5回舟橋聖一文学賞、第46回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
投稿元:
レビューを見る
「アンモナイトもオウムガイも、五億年から四億年前の海に生まれ、月の時間を食べながら、成長していった生物である。」
この言い回し狂おしいほど好き。
投稿元:
レビューを見る
夢枕獏さんの山に絡んだ短編集。
過去に読んだ事もあるヤツあったけど、何か摩訶不思議な話しばかり。
夢枕獏さん自身も山が好きで、作家を目指して、山小屋で働いたりしてたみたい。
しかし、山って、不思議な感じやな。
多分、私は行かんけど。
しんどい思いして、行く気はゼロ!
こんな怪しい世界に出会えるのなら、行きたい気もするけど、何か出て来る人は、山で、大変苦労してる。それも死ぬか、生きるか、紙一重という…
こんな経験したら、摩訶不思議な事も起こりそう。
こんな山に魅せられる〜
でも、でも、でも、キツ過ぎて…
幻想的な雰囲気に魅せられながら、読んでるだけが一番か…^^;
投稿元:
レビューを見る
なんとはなしにバテているようなもやもやがあったので、ガツンとした文が読みたくなった。
で、夢枕獏さんです。
山をテーマにした短編集。
悪くはないです。むしろ好きです。
自身が登山家であるだけに臨場感があります。
【山に向かって、肉体を叩きつけても、叩きつけても、なお、足りなかった。】
【その、岩から離れる指先が見えた。
怖いとは思わなかった。
その時感じたのは、落ちる恐怖ではなかった。
感じていたのは、不満のようなものだった。
せっかく、楽しく遊んでいたのに……
どうして、これを、今、ここで止めなくてはいけないのか。やめたくないのに、岩から落ちたら、止めなくてはいけない。
死んだら、もう、この遊びを続けられない。
それが、不満だったのだ。】
【世界で一番高いヒマラヤの峰は、昔は、海の底であった。
その海の底が、今は、天に一番近い場所にむき出しになっているのだ。】
粗野な感じが良いです。
だけど……やっぱりこの人の得意分野は短編ではなく長編でしょうね。
オスの心をワクワクさせる風呂敷を縦横無尽にどこまでもどこまでも広げてくれる。
読んでる方が、これどうやって閉じるつもりか心配になるほど展開させてくれる。
結末なんか知らねーよ。登場人物に訊いてくんな。と、ばかりにエネルギッシュに続く物語。
それがいいんです。獏さんのは。
読んだことない方には「幻獣変化」からをお勧めします。