紙の本
江戸の水面下
2017/03/30 19:17
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
イギリス人学者が「イギリスで生まれたのなら上流階級がいいが 江戸時代の日本なら町人になりたい」と言っていたのを思い出した。それでも華やかに見えて江戸の水面下はやっぱり甘くない。初めて知った中間たちの真っ暗な現実は厳し過ぎた。それに光をあてた作者さん 凄い!
電子書籍
新しいアイディアと救いのある結末。
2016/10/22 21:49
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投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
西條奈加氏の作品は、必ずどこかに「その手があったか!」と唸ってしまう斬新なアイディアと、バッドエンドに見えても必ずどこかに救いのある結末があるように思う。
ラスト間際に登場した男の正体とか。
最初は別れた後でストーカー化した元夫かと思ってしまったが、ラストシーンにどこかほっこりするものを感じた。
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江戸の人材派遣業、口入屋・冬屋の女主人となったお藤。「商いは人で決まる」が口癖の祖母に口入稼業を仕込まれ育ったが、実家の不幸が重なり天涯孤独の身に。義母から女衒に売られるも必死に逃げ、江戸で生きてきた。
お藤は、払いが悪く悶着の多い武家が相手の商いで傾いた店を救うため、ある勝負に打って出る。取り扱う客を商家に絞り、男の奉公人志願者に徹底した家事指南を行い、大店へ送り込む。前代未聞の大転換は周囲の猛反発を呼んでしまう。
そんな折、お藤は女衒から逃げていた時に助けてくれたお武家によく似た男と出会う。男は黒羽の百蔵と呼ばれ、江戸中の武家奉公人の上に立つ恐ろしい人物だった。
冬屋の挑戦がようやく成果をあげはじめた頃、その好調ぶりを忌々しく思う人宿組合の顔役たちは百蔵を相談役に据え、冬屋潰しを目論む。お藤たちは真っ向勝負を挑むが――。
人は何のために働くのか、仕事の喜びとは何かを問い直す渾身の長編時代小説。
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14歳にたった一度だけ逢った人を13年後に、遠く離れた江戸でバッタリめぐり逢う。紆余曲折な人生を過ごした二人だし、面変わりもしているだろうし、ちょっと出来すぎな展開だとは思うけど、「夫婦が思わず微笑みあう」ことが出来て良かった。
お藤の続編は難しそうだから、おさんか、島五郎から見た人生も読んでみたい。
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+++
江戸の人材派遣業、口入屋・冬屋(かずらや)の女主人となったお藤。「商いは人で決まる」が口癖の祖母に口入稼業を仕込まれ育ったが、実家の不幸が重なり天涯孤独の身に。義母から女衒に売られるも必死に逃げ、江戸で生きてきた。
お藤は、払いが悪く悶着の多い武家が相手の商いで傾いた店を救うため、ある勝負に打って出る。取り扱う客を商家に絞り、男の奉公人志願者に徹底した家事指南を行い、大店へ送り込む。前代未聞の大転換は周囲の猛反発を呼んでしまう。
そんな折、お藤は女衒から逃げていた時に助けてくれたお武家によく似た男と出会う。男は黒羽の百蔵と呼ばれ、江戸中の武家奉公人の上に立つ恐ろしい人物だった。
冬屋の挑戦がようやく成果をあげはじめた頃、その好調ぶりを忌々しく思う人宿組合の顔役たちは百蔵を相談役に据え、冬屋潰しを目論む。お藤たちは真っ向勝負を挑むが――。
人は何のために働くのか、仕事の喜びとは何かを問い直す渾身の長編時代小説。
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持ち前の粘りとアイディアで、男社会の口入屋で新しい商いを始め、評判をとったお藤の奮闘ぶりと恋心の物語である。昨今テレビドラマも女性が活躍するものが人気を博しているが、その小説版といったところであろうか。お藤の生い立ちから逃げだしてきた顛末、そして増子屋主人の太左衛門に拾われて江戸に出てきてからの苦労と充実ぶりに、胸がすく心地である。黒羽の百蔵との関わり方もいい。ラストにふっと時が飛んだ場面が描かれているのがまたまたいいのである。溜飲が下がる思いの一冊である。
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新聞の書評で激賞されており、興味を持って読み始めたが、期待に違わず、久々に頁を繰る手が止まらない興奮を味わった。
口入屋(江戸の人材派遣業)の差配を任されたお藤。店の手代たちの反発に一歩も引かず、自分の信じた商いを貫き、店を立て直す。
次第に明らかになるお藤の素性と来し方。
その生き方を象徴する言葉が『九十九藤』。
最後に、主人公が語る。「先が見えないからこそ、生きるに値する。あたしはそう思います」。
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やっべ。好きすぎる。話の筋ももちろんだけど、魅力的なキャラクター造形とか、表現の仕方とか、好みすぎて!
一旦★4にしたけど、5にしたい……!
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やはり西條さんのお話は優しい。
途中、うそ〜〜〜と哀しくなりましたが、最後はホッとしました。
良かった。
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出だしは少しバタつき(書き出しは本当に難しい)、あとは軽快に展開します。ニッチな口入屋でスポコンドラマを彷彿させます。読ませます。おもしろいキャラクターがたくさん出てきて、続編を期待したいところですが、落ちが...犬になってしまっては難しいかも。一年半かかっての単行本化は遅い、何とかならないか。
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面白かったです。
江戸の口入屋の差配になったお藤。店は武家への中間としての口入が主流ですが、払いのよくない武家と荒々しい中間衆を相手にする商売に見切りをつけ、これから商家を相手にするという思い切ったことをします。商家に送り込む前に奉公人として遣えるように、寄子を店に寝泊まりさせ徹底的に家事を仕込みます。まずは人を育てる、信用を得る、という心意気に拍手です。
お藤が口入屋の仕事に一生懸命なのは読んでいても気持ちがいいし、共感出来るところです。ただ、黒羽の百蔵とのことはなくても良かったのでは、と思います。葉室作品もそうですが、物語に必要ない、あまり意味のない男女との絡みに少し辟易してしまいます^^;
特にこの作品は女だてらに店を切り盛りし繁盛させるというところが醍醐味なのですから、男女の情愛はなくても良かったのかなぁと思います。百蔵の魅力があまり伝わってこないのでそう感じるのかもしれません^^;
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今まで時代小説に口入屋が出てきた時はハローワークみたいなもんかなぁ?と朧気に思って読んでいたけれど、口入屋の差配さんになった主人公お藤さんの話を読んで、バッチリ(^^)vでも、この時代にお嬢さまから天涯孤独になり、生きるだけでも大変な苦労だと思うのに、祖母の口入稼業をするなんて凄い!百蔵じゃなくても、助けたいし惚れてしまう(*^^*)
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L
口入屋の女差配。下働きを仕込んでから派遣に出すという新たな商法で口入屋業界に切り込んでいくお藤。どうにもこうにも、お藤の過去話は退屈。お嬢さんが堕父と継母によってゲセン売られたところを命からがら逃げのびて武家に助けられて大店の隠居に拾われる…って苦労人じゃないじゃないか!祖母の言葉を守って商いをするのはいいけど、その過去話必要なのか。ついでに武家がらみも必要なのか?過去話がなくても余裕でページ数稼げると思うんだけどなぁ、口入屋はネタの宝庫じゃないか!そういえばどこかの作家さんが口入屋の娘の話を書いていたような…。最後、残念が重なって普通の話になってた。その飛び技、そりゃないわ。
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女主人公・お藤が、商いの傾いた「口入屋」(今の人材派遣業)を立て直していく様子がとても面白い。それまでの儲けの少ない武家向けの商い中心から商家向けの商い中心への転換、またただ人を派遣するだけではなく自分のところで一人前に訓練するやり方など、商機に聡いお藤の新しい発想や工夫が読んでいて楽しい。出る杭は打たれるの言葉どおり、お藤も様々な試練に見舞われるが、それらを一つ一つ乗り越えていくさまも痛快。当時の中間(武家奉公人)のことも知れてよかった。
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旅籠のお嬢様から、商家の使用人、口入屋の女差配人となる主人公、お藤。
お藤の商人としての才能や、人柄が良かった。
長編で、じっくりと書かれても良かったのでは?
口入屋のあれこれを、もっと読んでみたかった。
最後はちょっと無理なまとめ方かな。
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江戸の口入屋(人材派遣業者)の女主人になったお藤の細腕繁盛記。今、江戸の人情噺を書かせたらこの人の右に出る者はいないかもしれません。何度も目頭が熱くなりました。いい話です。