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なぜ疑似科学が社会を動かすのか ヒトはあやしげな理論に騙されたがる みんなのレビュー
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紙の本
大学のテキストとして
2020/05/30 07:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぱるる - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治大学の講座のテキストとして購入しました。具体的事例も多く、とても読みやすく、社会傾向がよくわかりました。高校生から大学になったばかりで、コロナで大学に通学できず、授業はリモート授業の中、読んでいます。著者は東工大出身とのことです。著者の他の本も読んでみたいと思いました。
紙の本
なぜ、あやしい論理にだまされたくなるの?
2016/04/24 23:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういう本って「疑似科学のこういうトコがダメなんだよ」っていう文句のみの本が多いのですが、筆者は専門柄、そういう疑似科学を信用する人の内面にまでスポットを照らしています。
疑似科学は社会の維持、掟の表現に積極的に使われたと筆者は推測します。昔から私たちは他人の模倣をするという高度な学習能力があり、ネットや広告が広がり他人の意見が聞けるようになったのは最近の事です。「先史時代に周りの仲間に従って協力するように私たちが進化した結果」と述べます。
かといって科学は「現時点での暫定的事実」であり、未来では常識が非常識になる事があるので科学と疑似科学の明確な境界はありません。じゃ、どうすりゃいいのさ?というところで筆者は「だまされ上手」になるのがいい、とします。
科学は客観性や社会に役立っているか?という応用性がありますが、または論理性や体系性といったものです。かといっても年取った時の病気の不安になんとか「明確な安心」を私たちは求めます。
お守りみたいに「心を癒す一定効果」はあっても、それ以上の効果があるのか?というのはなかなか判別が難しいです。マイナスイオンの森林浴効果が心理的でも「体にもよくなった!」といった場合、自己体感を客観的に効果の度合いを比較するモノサシを私たちは持っているわけではありません。
筆者は心のモジュール理論を用い、ノストラダムスの大予言を挙げ、知識よりも噂に影響力があることを示唆します。科学の先端は不確実な仮説がせめぎ合っています。そして科学報道は「正しい」ことばかりなので、市民は科学の事実は「いつも正しい」と誤認識し、疑似科学はそこにつけこみます。科学を装うと「正しさ」のイメージがくっついてきます。「こんな統計が出てます!」「あの医師が推奨しています」とか。
愛用者の感想って、CMで出てくるじゃないですか。ああいうのは規制できないないんだそうです。言論の自由に引っかかるので、私たちが真贋を見極めないといけません。「愛用者の90%が続けたい」と言っているのなら「愛用者の割に10%の人が続けたくないんだな」とか疑似科学の見破り方が書かれています。
水ビジネスとか生活に関する不安を除去したい、将来の不確実性を低減したい気持ちは誰しも持っており、地図を作ってみて、どこまでだったら自分は受け入れられるか?を整理してみては?と筆者は問います。
システマティックレビューで洗練されたエビデンスのみ信用しなさいといっても、案外あれ、書いているのが「あまりに常識的」なんです。ゆえに「なんかもっと手軽に」とかリカバリー欲求があって、それが社会や本人に活気をもたらす源にもなっているのですが、どんなものにも効果とリスクはつきもので「私ならどれくらい賭けて、損しても許せるかな?」って読後感に浸れたので、いい本だったと思います。
水ビジネスの項だけでも、かなり科学の味付けがある「疑似」を常識にしてしまっていた私がいて、ここを読むだけでも本代のもとは取れました。
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