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あの日、光の下で輝いていた18歳の5人は、もうどこにもいない。その現実に胸が痛む。
18歳から20歳のたった2年間にいったいどれだけのモノを失い、どれだけのものを手に入れたのか。何が変わり、何が変わらないのか。
自分の、かつての2年間を思い出し息が苦しくなる。もがいていた、あがいていた、何かから必死に逃げようとしてここではないどこかを求めてあえいでいた。
いまここにあるのは結果だけ。だれも悪くない、だれのせいでもない、でも、もしあの時、もし私が、もし、もし、もし…繰り返されるいくつもの、もし、にどうやってピリオドを打てばいいのか。
この物語を描いたトリコさんもきっと苦しかったと思う。自分の2年間と、そのあとの14年を重ねて、きっと息を止めながら書いたんじゃないか。そんな気がする。
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仲良し5人が高校を卒業する。衝撃敵な事件から始まり、それについて何が起こったのか、どうして起きたのだろうかと思っても、知りたくない、知ろうとしない。卒業するとあんなにいつまでも友情みたいなことを言っていながら、疎遠になる。でも、志津は
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仲良し“だった”女子5人組。
こんなにも複雑で、
だけどこんなにも繊細で。
女同士ってこんなにも厄介な関係だと
まざまざと見せつけられた感じ。
とにかく一番不気味だったのが法子。
彼女の異常に粘着質な執着心が恐ろしい。
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高校時代の仲良し4人の女子の卒業式の後からスタートし
一人の子が、遺体で見つかった事件から物語は始まる。
寂しい気持ち、このままこの狭い世界に閉じ込められて何処にも出ていけないんじゃないかと思う気持ち、こうなるはずじゃなかったのに未来が変わってしまったこと、幸福を手に入れたと思ったはずなのに
こころが満たされないでいること、母の呪縛から逃れなれないでいること
それぞれの「彼女」の人には見せない人間の面が赤裸々に描かれている作品だった。
自分もある時まで
私は、へらへらして寂しくて仕方なかった。あえて笑をとりながらも何処にも身を置けなかった。
でも、ある時から
あ友人がずっとそばにいてくれることに気がついて寂しいと感じなくなった。
いつも会えるわけでもない。
だけど、彼女が居てくれるそれだけで一人じゃないんだなって思えることが何よりも1番の私の宝だと思う。
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想像してたのと全然違っていた。
ものすごく、怖くて、醜くて、ざらざらして、読んでいるのが耐えられない、と投げ出しそうになるくらいリアルな剥き出しの感情が投げつけられてた。だけど、読み進めずにはいられなかった。
開始11ページで、仲良し五人の中の一人がバラバラ死体で見つかる。衝撃だった。彼女の死の理由を探すうちに、たくさん明らかになる、それぞれの思惑やどうしようもない感情が、よくもここまで書けたよな、というくらい、自分の体内をべろっと裏返しにしたくらい、吐き出されている。
女同士ならいいけど男がからむと牝の匂いがして嫌になる、とか指毛の手入れもしてない、とか本当に表現一個一個が突き刺さる……。
個人的に一番刺さったのはネットウォッチに精を出す法子の姿でした。あー、わかるな、この感じ、みたいな。
すごい本を読んだ。でも、なんとなく星5つはつけたくないな。
三千花が死ぬ間際?の描写が、残酷なのに綺麗だった。
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女子高生5人は「あたしたち最高」の関係だった。だが、制服を脱ぎ捨てた時から変わってしまう。田舎過ぎず都会過ぎないそこに残った者、出て言った者。もう、高校生の時のように無邪気なだけではいられなくなる。そして、20歳で三代花は殺された。16年後に地元に戻ってきたライターの志津は、三代花が殺されたころの事を友達に聞こうとする。でもそれは開けてはいけない「パンドラの箱」だった。「最高の関係」だった友達へのねじ曲がった感情。もう、重なる事も無い友情。三代花の抱えていた閉塞感。もうあの友情に「光」は当たらない。
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地方に暮らす仲良し5人組は高校卒業と同時にそれぞれの道へ進むが、数年後、地元に残った三千花が遺体となって発見される。16年後、ライターとなった志津は三千花のことを調べ始める。
初読み作家さん。
生活環境が変われば、付き合う友達も変わってくるし、興味の対象も変わってくる。
いつまでも学生時代のような付き合いはできなくなる。
地方に暮らす焦燥や女の子同士の嫉妬といったものはピンとこないが、ミステリ的要素があって面白かった。
(図書館)
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高校時代に仲の良かった5人組。
そのうちの1人が殺されることによって
残りの4人が,お互いの関係について
考えていく・・・というもの。
女同士の友情について,裏にはいろんな感情が
入り混じっていることは分かります。
が,5人の関係性については
こんなに早い段階でそんな風に変化する?!
と思う部分が多く,それほど感情移入できず。
図書館で予約してた本が立て続けに届き
急いで読んだ最後の1冊だったこともあったのかも
知れませんが,評価は☆3つというところでした。
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5人の友情は永遠と誓い、地方の高校を卒業した女子高校生たち。5人はそれぞれの道に進むが、その中のひとり三千花がバラバラ死体で発見される。大学を卒業後ライターになり、失意ののちに地元に帰ってきた志津は、三千花に何があったのかをルポに纏めたいと思い、事件の16年後、当時の友人たちを訪ね取材を開始するが・・・
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16/11/21
装丁は可愛らしくて、でもちょっと不気味というか不穏なかんじを発してて、そしたら中身もそんなかんじでした。
湊かなえの『贖罪』ぽいかなあ。
・今日のことをこの先何度でも思い出すだろう。
そんな未来をこの時あたしは予感していた。(P10)
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昔は仲の良かった同級生も月日が経つとともに大きく変化していくよなぁ。
違って当たり前と思っておかないと、数十年経ってから会ったりできないかもしれない。
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あらすじを読んで謎解きものかと思ったが違った。やっぱり吉川トリコが描くのは、女たちの心の深淵だ。
高校時代の仲良し5人組。
「銀チョコラバーズ」とチーム名をつけて、くっつき合って笑い合って「5人揃えば最高で最強」だと信じていた。きっと誰もが経験したことがある、輝きに満ちた怖いもの知らずの日々。
卒業から2年後、仲間の一人がバラバラ死体で発見され、彼女の死にそれぞれが罪の意識を抱えながら16年の月日を経て、4人は再会する。
「本当に知りたいことのほとんどを私たちは卒業してから学ぶことになる。多くの場合、その学習には痛みを伴う。時には大きな喪失が要らないおまけのようについてくる。」p156
「どこからが自分でどこからが相手なのかもわからなくなるぐらい同じ温度でひとかたまりになっていたあの春は、もう二度と戻らないのだ」p197
それぞれの道に進む中で、もはや彼女たちは(私たちは)あの時の少女のままではいられない。
けれど、自分が「あの春」からどれくらい遠くまで行けたか、あるいは未だ辿り着けないでいるのか、比較し意識し続けるのは、常に「あの春」を共に過ごした友人たちの存在だ。
「私ね、思うんだけど、友だちって密に連絡をとりあって、ずっとそばにいればいいってもんでもないんじゃないかな。若い時はさびしさに負けてわからなかったけど、いまならわかる。どっかで無事に生きててくれるだけでいいなって。」p290
相手を傷つけ、自分も傷つくような、未熟で剥き出しの人間関係の中で出会ったからこそ、かけがえのない存在。
過去を振り返る作業は、痛みと後悔と身勝手な自己欺瞞とに満ちて、全編通して息苦しい。