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生態学が語る東日本大震災 自然界に何が起きたのか みんなのレビュー
- 日本生態学会東北地区会 (編)
- 税込価格:2,420円(22pt)
- 出版社:文一総合出版
- 発売日:2016/03/12
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紙の本
生物から見た震災の意味。
2016/05/16 16:43
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自然災害は、生物にとって絶滅のきっかけにもなりうるし、再復活の場でもある。
本書は2011年の東日本大震災で生き物たちの生態がどう変わったかを調べた、報告書のような読み物。学会の編集でもあるので、20余りの章はそれぞれが学会発表の抄録のような雰囲気で、途中経過のようなまとまりのものも多い。しかし実際に観察・解析した結果としてはどれからも気づかされることがたくさんあった。
岩場の生き物、砂地の生き物。海岸の林から少し内陸の里の草まで、調査はいろいろな場所での変化を記録している。何年も湿地でなかったところが地盤沈下して湿地に戻った場所とか、砂が流出したところに新しく防潮堤ができて失われてしまった海岸もある。いろいろな調査が載っているので、個別の興味で読んでも、「災害と生き物」という感覚で読んでも、読み取るものはあると思う。
「どのように変わったのか」。きちんと知るためには、実は「変わる前」についても知っている必要があることもよくわかる。本書で扱われた生態研究は、大学での実習や研究で「幸いにして」データがあったものが多い。アクシデントが起こってから調べても(調べないよりはずっと良いけれど)明確な変化は抑えられないということだ。福島第一原発の影響についての調査報告も載っているが、普段からの調査が必要なことは自然災害だけではないだろう。
全体を頭の中でまとめてみると、ピンチであったりチャンスであったり、生きものそれぞれに対応していることを強く感じた。少しずつ減っていた種類が、一気に生息場所がなくなって絶滅するというピンチもあるだろう。しかし、その場に適応した生き物が安定して生息している場所で、災害によって攪乱されることを「チャンス」と思って現れてくる生き物もいる。災害前と後が同じになるのか、変わるのか。それは人がどう手を入れるのかにも大いにかかわってくるだろう。何千年という時の中での変動と考えれば、このようなことを繰り返して生きものは今に至っていることまで考えさせられた。
人間も生き物である。同じような災害もピンチかもしれないが、チャンスととらえることもできる。そうやってこれからも生き延びていきたい。
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