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紙の本
「波」連載中から真っ先に読んでいました
2016/04/02 17:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
信仰を心のよりどころにする人は多い。末盛さんの場合は、信仰のベクトルをズンとどこまでも伸ばすがゆえに困難とぶつかってしまう。行くべき場所に一緒に行くべき人と必ず行っている。出会うべき人にも真摯に向き合って、必ず出会っている。その軌跡(奇跡)が綴られている。本当の「父と母の娘」になっていかれる道筋をしみじみとたどりました。
紙の本
人生の年輪のような一冊
2018/11/21 15:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新潮社のPR誌「波」に2014年4月から2015年12月まで連載され、2016年春に単行本として刊行された本だが、私はこの本のことも末盛千枝子という人のこともその当時全く知らなかった。
末盛さんの名前を知るようになったのは、日本経済新聞で平成を振り返る企画記事があって、その中で美智子皇后のくだりで後に末盛さんが美智子皇后の講演をまとめた『橋をかける』の話があったことだ。
このあと『橋をかける』を読み、しばらくして書店で末盛さんの新しい本『小さな幸せをひとつひとつ数える』に出会い、さらに末盛さんはどういう人だろうという興味を増していった。
そんな末盛さんに自身の半生を綴った本があることがわかった。
それが、この本だ。
末盛千枝子さんは1941年、彫刻家の舟越保武を父に生まれた。
その時父はあの高村光太郎に娘の名前をつけてもらえないかと頼む。ほとんど交流もないのに。しかし、高村光太郎はその願いを受け、その女の子に「千枝子」という名前をつけた。
ちえこ、といえば、高村の妻は「智恵子」であった。
誕生と命名、その時点で末盛さんには何か運命の大きな手がふれたようであるが、大学を卒業し、出版社に勤務、そのことが縁になって国際児童図書評議会(IBBY)と関係をもち、その時知り合った先輩たちから美智子皇后への縁とつながっていく。
一方、末盛さんは長男が難病をもち、夫であったNHKプロデューサーを若くして亡くすことになる。その後、再婚した夫も2013年に亡くなる。
それでも、末盛さんには生きる強い力があったのだろう。
この本の最後に、こんな文章がある。
「幸せとは自分の運命を受け容れることから始まるのではないだろうか」。
つまり、「自分の運命」とは「私」にほかならない。
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