紙の本
さすがのストーリーテラー
2016/04/24 12:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:文蔵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
SFの大家として有名なブラッドベリですがこの短編集はSFとうより奇想の物語集でそれも珠玉のものばかり。古さを感じない訳ではないが面白さは色褪せない。それにしても少し感慨深いのは2016年の今が本書で登場する未来より未来だということだ。そして当然火星旅行もタイムマシンも実現していない。しかしブラッドベリが想像だにしていない情報技術の進歩には未来予想が難しいことだと思わずにいられない。
投稿元:
レビューを見る
ブラッドベリの短編集。単行本は1974年、大和書房刊。当時、邦訳単行本に収録されていなかった短編を集めたもの。恐らく1987年に新潮文庫から出たのも同じものだと思うのだが……。
『永遠と地球』『夢魔』はまったくタイプの違うが、本書からどれか選ぶならこの2編を。
投稿元:
レビューを見る
単行本から漏れた寄せ集めとはいえ、ブラッドベリの質の高い作品が揃っている短編集。一番好きなのは、若くして病死した作家を過去から未来に連れてきて、思う存分執筆させるという「永遠と地球」
投稿元:
レビューを見る
自分で定めたカテゴリーのなかに
あてはめようとしても
そうじゃないだろ?それでいいのか?
と自問自答。
個々の作品にしても、オチのわかり易いものと
ほのめかし、余韻から感じてよ、わかるだろ?
というものも。でも違うのではないか、
どこかにヒントがあるんでは?
と、世界に短時間でも簡単に引き込まれる。
投稿元:
レビューを見る
「対象」「休日」「昼ざかりの死」など大変に優れて面白い短編がはいった一冊。ブラッドベリは本当に夢中で読んでしまうなぁ。出ている新訳はすべて読んでいきたい。
投稿元:
レビューを見る
やっぱりブラッドベリはすばらしい。
珠玉の10篇を収録した本書。「十月のゲーム」や「永遠と地球」といった再読作品も多々ありましたが、十分堪能することができました。とりわけ「十月のゲーム」は、何度読んでも鳥肌がたつような恐怖を感じられます。その他のお気に入りは、見事なノスタルジーに触れられた「過ぎ去りし日々」と、信念と希望を描いた作品だと信じたい「すると岩が叫んだ」あたり。
うーん、やっぱりブラッドベリはすばらしい。
投稿元:
レビューを見る
『ドゥーダット』が大好き。
みんなのレビュー見るとコレが一番好きというのが完全にバラけてるのがおもしろい。
投稿元:
レビューを見る
ミステリー目SF。
こわーいめ。んでニヒル目。
淡々としている。
全体的に死を見つめているのが辛く怖かったな。
投稿元:
レビューを見る
ブラッドベリ先生の初期作品を集めた短編集。苦手と言いながらついつい読んでしまう。本当は好きなのかも。長編より短編、ホラー・ミステリよりSFものが好み。一番のお気に入りは「永遠と地球」。過去のSF作家をタイムマシンで連れてきて、火星旅行に行かせSF小説を書かせるとかスケール大き過ぎ。「夢魔」も好き。睡眠時だけ夢に現れる異星人とか怖すぎ。眠れなくなっちゃう、気が狂う。星新一先生が書いていそうな作品。救いのないラストが多くてちょっとスパイシー。
投稿元:
レビューを見る
図書館で何の気なしに棚を眺めていたらレイ・ブラッドベリの短編集を見つけた。「華氏451度」が個人的にとても良かったので、借りて読んでみることにした。
それぞれの年代で書かれた別々の作品なのに、根底に流れるテーマのようなものはどこか似ている。「時間」「対象とレッテル」「憎悪・恐怖・疑念」「死」。作品の主人公達にハッピーエンドは訪れない。
今よりもずっと前に書かれた作品なので、当然パソコンや携帯電話やバーチャルリアリティといった現在のSFでよく使われるようなガジェットは出てこない。メモ帳や固定電話、タイプライター等のアナログな時代感で話が進む。でも人間の描写は驚くほど現在にシンクロしている。何に怒っているのか自分達も理解できていないにも関わらず暴動を起こす人達。モラルなどはなから持ち合わせていないような人達。強欲で傲慢な人達。ブラッドベリに先見の明があったのか、人間が全く変わってないのか、どちらにせよ今読んでも充分共感できる。
どんな作品でも、気に入ったものは2度見返したいと思っている。1度目は真っ新な状態で、2度目は隠されたメッセージや伏線を探すために。長編小説や3時間もある映画は、よほどじゃないと見返す気にならない。そういう意味で短編は凄くありがたい。
短いからこそ強烈な一瞬が詰まっている。
投稿元:
レビューを見る
大長編を読んだ後ということもあり、短いページでありながら情緒的な話をより楽しむことができた。タイトルに惹かれて読んでみたが、はっきりと結末を明示しない語り口やSFというよりホラーなのではというものもいくつかあり、表題作以外にも様々な趣向を凝らした作品が集められているところが好印象。
個人的には『休日』と『ドゥーダッド』が気に入った。
投稿元:
レビューを見る
『十月の旅人』
レイ・ブラッドベリ 伊藤典夫/訳
The October Game and Other Stories
新潮文庫
先日TVで特殊が組まれていた萩尾望都さんもブラッドベリが好きらしく、『ウは宇宙のウ』をコミカライズされてました。ブラッドベリはこてこて化学じゃなくて、幻想的で読みやすいSF作家だと思います。
表現の「十月のゲーム」は自分の妻にも娘にも愛情の持てない男の話。言うなれば超利己的な男。普段気がつかないだけで、案外身近な所にこういう人物、いるんだろうな、と思う。
楽しいはずのハロウィンの夜、彼は恐ろしい遊びを決行する。
「永遠と地球」はタイムマシンで今は無き作家トーマス・ウルフを連れて来て、火星へ連れて行って小説を書かせる話。でも、これって酷な話で、見せるだけ見せておいて、未来の世界に留まることも、書いた小説を自分の時代に持ち帰ることも禁じている。なんだか未来人=文明人のエゴが垣間見える。
「過ぎ去りし日々」は時間軸が大きく乱れたカオス状態になったある夜の話。幻想的で美しかった。
最後の「すると岩が叫んだ」は既読だったけど、読むまで内容を忘れていた。ある白人のアメリカ人夫婦が南米のある国に旅行中に暴動に巻き込まれる。白人達はおそらく殺され自分達が最後の白人になってしまったようだ。国境を越える事は許されず、車も荷物も奪われ…
これも「永遠と地球」同様、白人=文明人のエゴを問題視している。この話だけはSF色が乏しく現実的。それ故一番恐ろしかった。
投稿元:
レビューを見る
購入のきっかけは同作家の作品『華氏451度』を読んで地の文章表現が面白いなと感じていたことと、単純にSFが読みたい気分だったこと。
話の筋としては収録作品の中でも「ドゥーダッド」「夢魔」がとびきり面白かった。
内容は置いておいても文章表現が巧みで、いつも比喩が的確で目に浮かぶようだ。見たことがない舞台設定でもその場にいるような臨場感が生まれて、読んでいるだけでいつの間にか映像作品を見ているような感覚になって楽しい。自分は普段読書をしていると途中で気が散って集中できない方なのだが、没入できるくらい描写に引き込まれた。
翻訳作品なので訳者がいいのかな?とも思った。確認してみると先に挙げていた『華氏451度』と同じ訳者だった。別の翻訳家が訳したブラッドベリにも触れて確かめてみたい気はするが、心地よい没入感がある本作品の文体にいつまでも浸っていたいので、氏の訳が出ていない作品でトライしてみたいと思う。
投稿元:
レビューを見る
SFというよりはファンタジー風味の強い短編集。冒頭の地下室の暗闇の中で行われる魔女殺しごっこなど、よく考えてみると無理があるのに独特のメランコリックな文体にひきこまれる。クラシックな装丁もよく合ってます。
投稿元:
レビューを見る
ブラッドベリ‥この作家の名を聞くだけで、広大な宇宙を漂う詩人を思い浮かべるが、ここに編まれた10の短編は「これがブラッドベリ?」「これぞブラッドベリ!」と唸らせるものばかりだ。訳者の伊藤典夫氏が厳選して編んだ。種々の事情で日本の読者の目に触れなかった初期の短編を、よくぞ発掘してくださった。どの作品も50年も前に書かれたものとは思えない。作品のジャンルはSF、ミステリー、怪奇、シュール、文学、‥どれにも当てはまり、どれをも超えている。訳すのも難しかっただろう。日本の作家にはいないタイプの作風を堪能できる短編集。ブラッドベリファンではない人にもお勧めの一冊です。