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どこにでもあるいじめ,自殺,組織的な隠ぺい.それが,一人の自衛隊員の勇気ある行動で明らかになった.せめて嘘のない世の中になってほしいと切実に思う.
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上司からのいじめを苦に呪い殺してやると言う遺書(メモ)を残して自殺した自衛隊員.その後真相解明のためにあさかぜ隊員に行ったアンケートは破棄したと言いはる自衛隊と内部告発を行った3佐.メモが先に警察に保管されていなければ,3佐の勇敢な行為がなければ,自衛隊員は風俗などの遊興費による借金苦で自殺したことにされていた可能性が高い.自衛隊は恐ろしい組織だ.
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まず自衛隊について。
指導という名の暴力がまかり通っている世界。スポーツ系の世界にもつながっているだろう。
これは事件が発覚するたびに、反省、改善が行われているはずなのに、一向になくならない。
上下関係の厳しい世界に共通するのかもしれないが、すべての組織をフラットにするわけにもいかず。
今すぐ全くなくすというのは、なんだか無理な気気がするが、10年20年と世代が変わったら変わっていけると思うので、少しずつ浸透させていくしかないのではないか。
自分がやられたから後輩にも、ではキリがない。
組織ぐるみの隠蔽。これも自衛隊に限ったわけではないのだろうが。
裁判が勝訴で終わり、一応気持ちよく読み終えたのに、今感想を書いてるうちに、世の中の組織がそんないい方にすぐに改善されるようにも思えず、やはり、時代が変わり、価値観が変わっていくしかないような気がした。そこには希望があると個人的には思う。
3佐の行動、考え方には頭がさがる。誰にでもできることではない。表に出られることはないのだろうが、どんな方なのか、もう少し知ってみたいし、ご本人が直接書かれたり話されたりすることがあればいいのになとただただ勝手に思う。
そして著者。まだ若くていらっしゃるのに、情熱を持ち、粘り強く取材され、素晴らしいなあと思う。これからもどんどんご活躍されて、私たちにいろいろなことを知らせていただきたい。
自衛隊のいじめ、自殺の多さのようなものは、なんとなく知ってはいたが、具体的にこの事件のことは知らなかった。
「NNNドキュメント」という番組があり、そこでは良質のドキュメンタリーが放送されているのは知っていたが、見たことはなかった。
現代を生きる人間として、現代社会について、知る努力をし続けなくてはいけないなあと思う。
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たちかぜ事件について。あまりよく知らなかったので非常に勉強になった。自殺はまだあれどこのようなあからさまで常軌を逸したイジメはもはや聞かない今はだいぶ組織として変わったんだろうけど。
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◆昨今の公文書の改竄・破棄・隠蔽から伺える杜撰な管理は、公僕の自覚と、情報の真の保有者への敬意の欠如に依る。訴訟制度でも破れぬ官僚の悪しき体質を暴くのは、自衛隊内いじめ自殺事件◆
2016年刊行。
著者は元テレビ番組制作会社社員。
本書は、自衛隊を含む官僚組織の閉鎖性・隠蔽体質に迫る書であり、自衛隊の日報隠蔽問題や、森友・加計に絡んだ出鱈目発言や文書隠蔽・改竄が広く問題となっている今こそ、読破すべき先例を著した書である。
事の発端は、2004年、ある海上自衛官が、隊内でのいじめを苦に自殺したことに始まる(ちなみに、後の訴訟で恒常的な暴行を認定され、また被害者の額に空気銃を直接当てて射撃した可能性も)。
この点、遺族は、事案の真相を求めて、自衛隊に対して、苛め自殺に関する調査文書の情報公開を請求するも、奏効しないまま推移した。これに加え、その後06年提訴の損害賠償請求訴訟手続においても、自衛隊側は、後日存在が明らかになった文書について、「存在しない」と強弁したまま推移していく。つまり、事実関係の公開に協力的な姿勢を有しないままに、2011年一審判決(一応は、被害者一部勝訴)が下された。
一方、この一部勝訴では不服であった遺族がなした控訴審手続中、現役自衛官が、広範な暴行の存在を裏付ける資料の存在を公益通報者として開陳。
つまり、自衛隊の文書隠匿工作、訴訟妨害工作が白日の下に晒されたわけである。
ただ、これで落着したわけではない。この後、この情報開示に協力した自衛官に対して、自衛隊内部で様々な圧力・圧迫が…。
具体的内容は本書を紐解いて欲しい。叙述スタイルは、尋問の引用、録音されたものの文字起こし。これらの解説というのが中心で、かような具体的な叙述スタイルであれば、読み通すのは難しくはない(損害賠償請求の予見可能性理論など細かく言うと法律用語もあるが、本筋はそこではないから、気にしないでドンドン読み進めれば十分)。
ここで見えてくるのは、
➀ 情報公開法・同制度の実益の乏しさ。早急な制度改正と整備が必要。
➁ 訴訟制度(特に民事)における証拠開示の限界。性善説的な運用の限界。
➂ 公益通報者制度の機能不全。
➃ 官僚組織の自己組織保全体質と、それに向けての組織内の連帯の強さ。
➄ 公益通報者を組織上問題ある人物として処遇する精神風土(衡平の欠如)。
➅ 隠蔽工作を指示し加担した人物への余りにも軽い処罰。
と、挙げればきりがないが、公僕として機能させるため、真の意味での情報公開実現と、官僚の信賞必罰に関するルール化に(もちろん官僚の「お手盛り」ルールは以ての外)、多くの人が関心を持ち、その重要性に思いを馳せて欲しい。適切なルールを作るべしとの議論を積み上げて欲しい。
そう感じさせる読後感である。
もちろん自衛隊に蔓延るいじめ(暴行・傷害・脅迫に該当する場合も多々)の根絶も同様であるが…。
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自衛隊の闇: 護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺事件の真実を追って 単行本(ソフトカバー) – 2016/4/26
2016年12月10日記述
NNNドキュメント'11 「自殺多発…自衛隊の闇 沈黙を破った遺族の闘い」(2011年1月30日放送)
NNNドキュメント 14「自衛隊の闇 不正を暴いた現役自衛官」(日本テレビ、2014年2月24日放送)
以上のドキュメンタリー番組の取材を元に判決後までを描いたルポである。
取材時の映像を切り取った写真も多くありリアリティが高い。グラフも充実している。
著者である大島千佳氏は1983年神奈川県生まれ。
横浜市立大学国際文化学部卒。
テレビ番組制作会社を経て2013年よりフリーランス。
NNNドキュメント 14「自衛隊の闇 不正を暴いた現役自衛官」で早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。本書が初の著書となる。
MyNewsJapanでの三宅勝久氏による記事などで自衛隊員の自殺に関しては多少は知っているつもりだった。ただ本書を読んで見ることで自殺があったことへの組織的隠蔽、内部告発した3佐への露骨な圧力を見ると自衛隊は組織として構造的な問題があると言わざるをえないと思った。
ある程度知っていることばかりが載っていると思いきや呆れ返る事ばかりで途中で怒りを覚えたほどだ。
普段民放にジャーナリズムを期待していない事もあり
視聴するドキュメンタリーもNHKスペシャルばかりだった。
だから本報道に関しては本書を読むまで知らなかった。反省したい。
こういう良質な報道は民放も地道に続けて貰いたい。
世間の常識、メディアにもしも報道されたら胸を張れる行動なのか少しでも考えてみればエアガンを部下に向かって悪ふざけで打つなど言語道断である。
更に上の自衛官が見え見ぬ振りをすることにも腹が立つし記憶にないだの弁明する姿は醜悪そのものだ。
被害者のTさんが自殺した後に住んでいたアパートに自衛隊関係者がやってきて証拠等を押収していった疑いがあることには特に怒りを覚える。
たまたま立川駅で飛び込み自殺をし警察が遺書を保管していたので良かったものの
証拠隠滅されていたらと思うとぞっとする。
もちろんこれは氷山の一角でこれまでにもそういった遺書を始末し裁判沙汰から逃れてきたのだろう。
3佐の内部告発への圧力も酷い。
偶然にも3佐は国民に対する忠誠心>海自だったので行動し続けたものの大半の自衛官がそこまでして内部告発するとは思えない。
しかし3佐の有能ぶりには驚く。仕事をしながら司法試験予備試験を合格。
更に司法試験にも合格。
防衛大学校大学院への受験不合格はおそらく自衛隊上層部の反対もあっての不合格だろう。
論理的に考えて不合格のはずがない。
3佐の強みを活かさない人事政策は国益に反していると言っても良いだろう。
(最近は医学部面接試験に面接導入の大学が増えている。しかしこのケースのような 組織にとって邪魔になりそうな人物の排斥に使われない事を祈る。東大医学部とか教授陣に対して従順そうな奴しか合格させなくしそう)
2015年4月、3佐は自衛隊の部外委託研修という制度を使い、ある大学で法律研究に従事している。
海上自衛官という身分のまま外部機関で研修を行い、終了後にその成果を自衛隊に還元することを目的にした制度だ。
研修終了後には50歳を迎えどこに配置されるかは未定とのこと。
是非3佐の強みをいかし法務関係の仕事をしてもらうべきだが。それを実施するかどうか海上自衛隊は国民に見られている事を最低限自覚するべきだろう。
自衛隊は変わる必要がある。
学習する組織でなくてはならない。
そうでなければ旧日本軍と似た末路をたどることになるだろう。