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自己肯定感の低さは、自覚した時から初めて回復に向かっていける。皆それぞれに、心の問題を抱えている。映画を観ている様で、情景が浮かんで来る。擬似的に沢山の想いを味わえた。心の解放や心を閉じる事で自分を守る事、愛される気持ち。孤独ではないという事。絶望の中にも救いがあって良かった。
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あまり期待していなかったけどぐいぐい読んだ。淡々と進んでいく中で突然ぶん殴ってくるいつもの容赦ない感じでなく、感情だだもれの話で新鮮。こういうのも好き……というのが前半までの感想。このスタンスを保っていてほしかった……。後半ただのメロドラマでがっかり。あまりにも陳腐。「ラブストーリーが書きたかった」という著者の本意には沿っていて実力があるんだなとは思うけど。
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愛って何なんだろうって、考えざるを得ない作品だった。
ただ、色々中途半端だったかな。
ひとつひとつのピースは面白かったので、余計もったいない感じがした。
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未婚の母となった若い女性と、彼女を支えようとする二人の男性の痛々しい恋愛物語。
不幸な生い立ちの子持ち女性、イベント会社を経営して女性には不自由しない都会の大人の男、対照的に聖職者である青年など、わかりやすいキャラクター設定と展開で、前半はテレビドラマのよう。
途中からそれぞれの過去やキリスト教の神の存在などをうまく絡ませて、重みが出てきたかと思いきや、ラストに向けての波乱からはまた作り物めいてしまった。神父や義父はよいのだが、肝心な地に足のついていない男には魅力もリアリティも感じられなかった。
軽い恋愛もののイメージが強くて未読の作者だったが、他作品で直木賞候補に挙がったのを機に本作を手に取った。過去にも芥川賞や直木賞の候補作があるようなので、もう少し読んでみたい。
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2011年初めの函館での真田と仙台から来た人懐こく魅力的な若い女性・比紗也の偶々の出会いから物語が始まる。それぞれにいろいろな経験をして渋谷での再会。しかし、それから更にあまりにも劇的な展開が待っていた。カトリックの神父・歓、真田の学友時代からの付き合いのキリコ、美容院の店長などが登場し、彼らも含めてそれぞれが人への不信を持たざるを得ない陰影を含んだ人生を感じさせる。そしてやはり最後は函館。感動的な結末ではあるが、カトリック、修道院の扱いについては、そんなことが可能なのかとやや不自然さはあった。
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【あらすじ】
やり手経営者と、カソリックの神父。美しい女性に惹き寄せられる、対照的な二人の男。儚さと自堕落さ、過去も未来も引き受けられるのは―。『ナラタージュ』『Red』を経て、島本理生がたどり着いた到達点。あふれる疾走感。深く魂に響く、至高の長編小説。
【感想】
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島本さんは女の人か男の人かはまだ知りませんが、初めて読む作家さんです。どの作家さんも当然小説の内容が右に行き左に行き、終わりに向けて少しずつ収束していきます。村上さん重松さん浅田さん阿刀田さんなどワタシが読み慣れた作家さんの収束の法則はある程度クセになっていて安心して作品に入り込めます。
この作品は、どんなふうに終わって行くのかワクワクソワソワしながらの読書でした。なんだか唐突な終わり方だった気がします。でも、楽しむことは出来ました。もうひとつふたつ読ませていただきたいです。
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久々にエグいテーマ(個人的に)のものをひいてしまった、と思ったけど(シングルマザー、近親相姦、震災ものだし刃傷沙汰まで出てきてもう何がなんだか)、タイトル通りイノセントなものが根底に流れる物語だった。ラストのまとめ方が願った通りのハッピーエンドできゅんとする。
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島本さんらしい作品だと思った。
こうすれば幸せになれるのに….と、読者の立場から思う行動をなかなか取らない比紗也。
じれったくなる、自分から不幸の道を歩んでるようにみえてしまう。
でもこれが、比紗也がしんどい環境の中生きてきて、身につけた生き方なんだと思う。
人を信用すること、日の当たる場所を歩くこと、親と距離を取ること、どれも生まれ持ったものじゃなくて、身につけていく能力だから。
真田、歓、美容院の店長、それからシスター達がなんとか力になろうとしてくれていること。
何より愛しい子供達の存在で、少しずつ変わりゆく比紗也のラストシーンは希望が垣間見えた。
不安定な環境の中、紡がまっすぐ育ってるのは頼もしい。
比紗也が、紡に対しては安定して関わってることが想像できる。
比紗也と真田二人きりでもちょっと心配で、歓を含めいろんな人に見守られ支えられながら生活してほしいなと思いを馳せる。
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読みやすかった。
すんなり行かなくてもどかしかったけど、ラストは良かった。
キリコと店長。サブキャラが素敵。
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昔に読んだことがあったとことに気づかず、
読み始めてすぐに思い出しました。
登場人物の人生に、暗い気持ちになってしまいますが、ラスト心があったまりました。
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次々と襲いかかるエピソードの嵐で、フィクションとはいえこんな人生ってあるのかと思った。でも存在あるのかもしれない。
ラストでやっぱりこうなるのかとちょっとがっかり。避妊もろくにしないモテ男の真田に、一番都合のいい展開のように思えてしまう。震災を生き延びて毒親からも逃げられたヒロインが救われてほしいのはあると思うけど。
比紗也に二人目の子供ができなければ、歓と結ばれてほしかった。過去のことの赦しをようやく得たのに、愛する人のために毒親の世話を引き受けて自分は影から支えるだけだなんて報われない。それが愛なんだと言われても、神父だって人間だし、そこまでできる人っているのだろうか。フィクションと言われたらそれまでだけど。なんというかメロドラマ的。
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一人の女性と二人の男性の複雑な関係。さらに娘と父親(義理の父親)との関係。
前回の「アンダスタンド・メイビー」でも、娘と父親との関係に強烈な違和感があった。そして、今回も父と娘の関係に対しては、さらに気持ちが萎えた。自分が想像すらできない世界。世の中の深さ、人間の複雑で、単純で、野性的な心理を考えてしまう。
主人公の女性・徳永比紗也はネガティブ思考だ。自分は不幸である…幸福にはなれないと幸せから逃げている印象がつきまとう。悲しい過去を背負っている。父との淫乱な関係。それでいて、男性には年齢的に世間知らずで、無垢に映るのであろうか…
本作は、会社を経営し、女性には不自由しない真田幸弘と、女性からは縁遠い、神父・如月歓が比紗也の人生に絡んでいく。この対照的な2人の比紗也を思う気持ちのコントラストと、その調和がこの物語の深さを出している。
環境も、性格も、社会的な立ち位置も全く異なり、共通点がない男性2人が、普通ではない(普通なら逆に魅かれることもないかもしれないが)女性をめぐり、今までの自分の生活を投げ打って、考え方、行動を変えていく。
ふたりの心を捉えて、こんなにまで、自分のことを考えさせる比紗也に、そしてふたりの人生に大きく負担をかける比紗也が、正直、最後まであまり好きにはなれなかった。
それでも、本作は、そんな恋愛経験の異なるふたりの男性とひとりの女性との恋愛の話で、人生の中で人を愛することの意味を味わえる、、それはひとりの女性に想いを寄せる男性の恋愛を描いた小説のように思え、読後の満足感は高かった。
透明感のある恋愛小説ではなく、登場人物がそれぞれに癖があるうえに、内容が濃かったため、読み終えた直後は、少し重かったが(アンダスタンド・メイビーよりも重くはないが)、純粋に恋愛小説だなぁと、少し経ってからの方が感じることができた。
真田の女友達・猪瀬桐子(キリコ)が真田に言った「女は百歳になったって、自分が一番で特別だと思いたいの。理屈や正論は男同士の言語でしょう。」、「真田君が求めているのは対等じゃない、なんだかんだで自分が優位に立ちたいのよ。別に責めてるんじゃなくて、男の人はみんな、そうよ。女より優れてるって微塵も疑っていない。ましてや若い女の子相手ならね。でも、そんなのつまんないことでしょう」が、なんだかとても心に響いた。キリコが何も考えていない女性だと思っていたのに、実はそうではなかったと思え、脇役ながらいい味をだしているなぁと、思えた。
最後に、、比紗也が最後に逃げ込んだ女子修道院が函館であったので、「トラピスチヌ修道院」なのかと、気になってしまった。(逃げているなら、こんなに有名な修道院には逃げ込まないか…)
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好きな感じでした。
相手のことを好きでも、その人の望むような言動をとれるわけではないし、自分の望むような言動を与えてくれたとしても、その人を好きになるとは限らない。
色々切なすぎました…。まぁ、そうなるよね、とは思ったけども。
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現実に近くに主人公みたいな人が居たら、理想では店長みたいな関わり方をしたいと思いながら、実際は距離を置くだろうなと思った。