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何て静かで清らかな時間だっただろう・・・。
気が付けば読書に没頭していた。
仕舞いには、自然と涙が溢れ出していた。
note で連載を読むことができた為、
ずっと携帯で小説を読んでいた。
第九章の始めまで電子媒体で読んだが、
やっぱり本が出てから全てを読みたいと思い、
note での閲覧をストップし、上梓を待ちわびていた。
第九章まではもう一度同じ話を読むことになったのだが、
二回目に読むと登場人物を既に知っている為
また違った読み方ができる。
より深く、登場人物を辿ることができた。
純文学は苦手でほとんど読んでこなかったが、
平野先生の作品はそんな私の心も鷲掴みにされる。
何て美しい文章、美しい登場人物
美しい情景なのだろう。
世界中の人に読んで頂きたい一冊。
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蒔野、洋子、早苗それぞれの恋愛感を描く純愛小説。
三人三様の思いに対してどうして、なぜともどかしさを感じることも多々あるが、もし自分がその立場だったらと思うと切なく納得してしまう。
色々な想いを巡らし、我慢していく結果、不幸になっていくのかと思いきや、最後はほっこりと終わり救われた。
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久しぶりにその世界に没頭できる小説だった。もうちょっと音楽的、文学的素養があれば、さらに楽しめそう。同世代だから共感できる気持ちも多かった。
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平野さんの小説。前から気になっていたけど読めてなかったもの。実はあんまりきちんと読めなかったし、読んでて苦しくなって、休憩しながら読んだ本。”ある男”は距離感を持って物語を眺められたけど、この本は所々自分と重ねるところがあって、客観視できなかった。まだ消化しきれてない。
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読みが足りないのかもしれないが、私は好きじゃなかった。
「相手を思うからこそ関係を絶つという愛」というが、そのようなものは本当に死ぬか生きるかの瀬戸際でしか発揮されない(それでも絶つくらいなら死を選ぶという選択肢もありうるとは思うけれど)と思う私は、薪野と洋子から相手に対する”真剣さ”を感じられなかった。(”真剣さ”があった人物といえば、良いか悪いかは別としてある意味三谷くらいかな)
そもそも薪野と洋子が別れるに至らなくてはならなくなった理由というもの(三谷が作出したものだが)がありきたりで「え?それ?」というくらい拍子抜けしたし、薪野が見る洋子が、”ソリッチ監督の娘”、”才色兼備の女性であること”(つまり周囲に見せびらかせる)という部分がやたらとクローズアップされていて、そのミーハーさが鼻につく。
なんだかんだ言って、心にモヤモヤを持ちながらもろくに行動もせず妥協に走った男女なのにここまで情熱的な恋愛小説みたいに持て囃されるのがよくわからなかった。それが大人の分別というならば、それは内心努力をしたくない言い訳に過ぎないと私は思う。
なので、彼ら2人の考えや台詞と行動との間に矛盾を感じたのだった。
結婚生活がつまらない人、少しでも妥協して結婚をしたと思っている人、旦那や奥さんよりも好きな人に出会ってしまったと言っているような純愛ぶった不倫をしている人達なら、このような小説はかなりの慰めになるのかもしれないと思った。慰めというより、陶酔(現実逃避ともいう)と言った方がいいかも。
少なくとも私は彼らのような人生は歩みたくないなと思った。
ただ、音楽や文学作品、聖書に至るまで様々な引用があるのはとても好奇心が刺激され面白い。小説を通した選書のような感じで読む分にはとても良いと感じた。
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一言で言うなら 抗わない大人の愛。
感情が自分の為にあり無意識の欲求を孕むのなら、理性が相手の為に働き愛を育むということなのかな…
「未来は常に過去を変えていける」がキーワード。読書なのにギターの音色が聞こえてくる心地良さ…。
再読を心待ちする時間さえ愛しい。
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この小説を読むことによって、読んだ日のタイムスタンプが読者の人生に永遠に刻まれるとともに、それより過去への認識と、それから未来への展望の全てが決定的に更新されてしまうことでしょう。ここで語られた男女(あるいはその周りの人々)の多くの経験は、読者自身の認識と展望にいかようか結びつき、小説と並行して自身の新たな物語が展開され—それは一人称かもしれないし三人称かもしれない—小説の感動的なラストを迎えた時には、余韻に浸る間もなく、自らのまだ終わっていない物語に対峙することになりますが、小説のラストに引きずられるところもあり、この物語の行く先にポジティブな展開を予感させてくれることでしょう。
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昔テレビで、『未来日記』という番組があった。
見ず知らずの男女が未来日記に書かれたとおりの言動をしなくてはいけないのだが、次第に惹かれあう二人が最高潮に達する直前で無惨にも引き裂かれてしまう。
日記に翻弄される様は涙を誘い、感動を呼んだ。
ギタリストの蒔野聡史とジャーナリストの小峰洋子。独りよがりな恋愛に突き進むほど、彼等は若くない。
それぞれ大人な対応をしていく中で描かれるアーティスティックな描写と二人の距離感が心地よく読む手が止まらない。
読後に誰がいい、悪いと話をするのはそれこそ大人ではないのかもしれない。
充分に官能的で、充分に芸術的で、充分に感傷的な、悲劇であり喜劇だと思う。
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最後のページを読み終わって、自然に「美しい」という言葉が心の裡に浮かんだのは、この本が3回目である。(他の2回は三島由紀夫『春の雪』とヘッセ『クヌルプ』)
「過去は変えられる」というテーマが全体を貫くモチーフとなっている。これは平野氏が提唱してきた「分人」と並んで、人々にとって救いとなる考え方じゃなかろうか。
人は他者との関わりによって、自分が生きてきた人生の意味を変えてしまうことができる。“私”の過去を肯定し、さらにその意味をポジティブな意味に変えてしまう人をこそ、人は心から愛するのだろう。
余談だが、平野氏の文章が好きな理由の一つに、幼児のしぐさが慈愛に溢れた優しい視線で描かれているというのがある。子育て経験のある人なら誰でも思わず目を細めてしまうと思う。
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とにかく面白くて一気に読んでしまった。心理描写がとてもしっくりきて、主人公2人に共感できて仕方なかった。過去は変えられる。本当にそうだな。愛の形をまた新たな角度から分析することができた。
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私が、何を書こうとも何を言おうとも、浅すぎる書評になってしまうくらい、美しく切なく、大人の、純粋な恋愛小説だった。過去は変えられるもの、と語ったこと。現在を生き、過去を見つめ、過去を変えつつ、狂おしいほどに愛と向き合うふたり。切なく哀しいストーリー。音楽のことはわからないけれど、溢れる美しい音楽と、美しい言葉。いつまでも、いつまでも、余韻が消えない。きっと、何度も読み返すであろう、物語。
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大人の美しくも切ない恋愛小説、時事的な事や音楽の話も著者のとてもしっかりとした見識で絡めてあって読み応え十分、とても楽しめました。「分人主義」に続く著者の新機軸は「過去は変えられる」のようです。
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「未来は常に過去を変えている」。
確かに、知らなかった過去の事実を後から知ることで、その過去に対する認識は変わる。人とのすれ違いは、この物語ほどまではいかなくても、そうした知りえなかった事実や認識の違いの積み重ねで起こる。それを偶然と思うか必然と思うか。それに第三者の意図が加わったらどうなのか。運命と諦めるのは簡単だが、何か出来たかもしれない。あるいはしない方がよかったのかもしれない、と思うと運命では片付けられない。
「過去を変えながら、現在を変えないままでいる」ことが可能であれば、そうしたいと思うことが私にもある。しかし過去の事実を知りようのない今は、現在を変えずに生きていくしかない。
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未来は常に過去を変えている。
自分の心さえも持て余しているのに
言葉にできない思いを
その人が紡ぎ出してくれる。
自分の心を引き出してくれるのに
一番の弱さを見せられない。
大人の恋は
一途で、臆病。
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前半はモタモタと
後半は加速的に読了。
主題としては、
過去は未来によって書き換えることができる
いま直面している問題も
未来から俯瞰することによって
また違った一面をとらえることができる、
ということだろうか。
他にも、イラクの紛争問題、
ユーゴスラビアの民族問題、
リーマンショックに於ける金融危機など
物語を語るにおいて欠かせないテーマだったのだろうと思いつつ、不勉強で知識の足りない私にとって、
話の主筋の他に理解することに努めなければいけないのが少し大変だった。
後半の、洋子とソリッチの話が、
とても重要で大切なことを書かれていると思ったのに、
読み解くに困難で、数カ所読み飛ばしてしまった。
改めて読み返した時に理解できればと思う。
また、しばしば話題に上がる『幸福の金貨』の話が、
この物語と二重写しになっているのではと思ったが、
しっかり理解するにはもう一度読み返す必要があると感じた。
弱さや狡さを抱えつつ、
根本的に悪い人間がいない、
人に対して肯定的な(特に主役ふたりは、悲しいくらい物分りがよすぎる)話だと思った。