投稿元:
レビューを見る
生後半年で養育院に預けられたラウラは生まれつき声を発することができなかったが、作曲家アントニオ・ヴィヴァルディ神父に見いだされ、リコーダー奏者として音楽隊に加わる。
養育院では、様々な出来事が起きていく。母親から迎えに来られるもの、恋人と一緒になろうとするもの、この世を去っていくもの……。
「あなた」がかつて私に歌った「心のうた」が聞こえてきたあくる朝、私は神父の前でその曲を吹き、彼はそれを譜面に仕上げる。運河も凍り始めるような寒い夜、神父に連れられて外出したラウラは「心のうた」を歌う女性と会う。それに合わせてリコーダーを吹くラウラは、彼女が母だと教えられるのだった。
実在する作曲家アントニオ・ヴィヴァルディと、実在する養育院の名簿から創作された話だが、史実と勘違いする子もいると思われる。ここの線引きが歴史物語の難しいところ。
話が前触れもなくあちこちに飛ぶことと、詩的な(?)文章表現のために非常に難解な作品。
主人公は8歳の少女だが、この内容と文章では、中学年にはすんなりとは理解しがたいのではないか。
作者の独りよがり感が強いように感じられるため、お薦めできません。
投稿元:
レビューを見る
ヴィヴァルディが孤児を引き取り、少女だけの楽団を設立したことは有名。大島真寿美さんが「ピエタ」でも、小説として著わしている。
今作は今年発売された児童書で、口のきけない女の子ラウラが、アントニオ神父によりリコーダーを与えられる。
やがて、リコーダーを通して歌えるようになっていく、いわば成長物語。
少々残念な面(イタリア式にチェンバロと表記した欲しかったとか、終わり方が唐突すぎるとか)もあったけれど、笛吹きさんたちにお薦めしたい1冊です。
投稿元:
レビューを見る
大島真寿美さんの『ピエタ』を読んで、ヴィヴァルディとその時代のことに興味を持ったので読んでみました。
カラーの絵もとても美しいし、当時の様子をきちんと踏まえた上で書かれた小説なのだと思うけれども、主人公の気持ちが見えなくて、非常に感情移入しにくい作品でした。
主人公だけでなく、ヴィヴァルディも孤児院の人たちの感情もほとんど伝わってきませんでした。