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幼馴染の作家と編集者の、激アツ共闘物語。
熱くてストレート過ぎて、感想を書こうにも、熱苦しいorクサい言葉しか思いつきません(笑)
ふたりがほかの作家や上司、営業、書店、読者、そして家族まで巻き込んでいくさまに、私も乗せられてしまいました。家族の理解があり過ぎて、上手くいきすぎ感はありましたが…
熱い中でも、業界の苦しさや変化を真正面から書いているところにも好感が持てました。
本書で俊太郎がとった策は、作者からのひとつの提案として面白く読みました。
「小説って、読む意味あるの?どーせ作り話でしょ??」と思っている人にこそ読んでほしい。人生を変えるような1冊に出会えるって、こんな幸せなことはないですよ!
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「榊田はそうしてくれと言ってるが、俺にはお前を教育するつもりなんてない。その義理もないし、お前に成長してほしいとも思ってない。仕事のためだけだ。小説を生かすも殺すも、作家に未来を与えるのも、奪うのも、すべて編集者次第だと覚悟しろ。お前が駆け出しであることも、実力不足であることも言い訳にならない。一つの小説の前では対等なんだよ」
すべての作家がそうとは言わないが、連載を書き飛ばす人は多い。締め切りは延ばせるだけ延ばし、推敲さえままなってない原稿を送りつけてきて、その点を指摘すればうんざりしたようにため息を漏らす。「本にするときに直すから」といった覚悟のない言葉を、これまで何度耳にしてきたことだろう。
作家は毎月文字を埋めることに追われ、編集者は原稿を落とさないことに躍起になる。そうして大量生産されていく作品に失望し、ただでさえ少ない文芸誌の読者はさらに数を減らしていく。自家中毒を起こしているのは作家だけではない。文芸という業界全体が負のループの渦中になる。
「なんか将来的に家族として吉田さんのそばにいる自分を想像したら、いま家族になっておかないと卑屈になっちゃう気がするんです。根が貧乏性なんですよ。どうせ近々吉田さんは売れるってわかってて、でも売れてから一緒になる自分をたぶん私は許せないんです。それを貧乏性っていうかよくわからないんですけど、たぶん私はそういう人間なんです」
「これは私の持論なんですけど、成功する作品ってやたらと〝当事者〟が多いんです。これは俺の映画だ、私の作品だ、みたいに言い切ってる人がすごく多い。逆に失敗するものにはそういう人が極端に少ない。口ではそれっぽいこと言うんですよ。でも本音では違う。どうにかしようっていう気持ちがないから、ちょっと興行の風向きが悪いとか、売り上げが伸びないとかなると蜘蛛の子を散らすみたいに消えていく人ばかりなんです。どんなにいい作品だからって、そりゃ一人で声高に叫んだってたいして響きはしないですよ。そういう声の大きい人が十人、百人と増えていって、はじめて作品は勝てるんです」
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作家はなぜ小説を書くのだろう。
自らの心と身体を切り刻むようにしてまで書くのか。そして編集者ははぜそんな作家と共に血を流し続けるのか。
私たちは本を手に取り小説を読む時、その向こう側にいる作家のことも編集者のこともなにも考えない、そこに人がいることも気付かない。けれど確かにそこにその物語を紡いできた人たちがいる。
書かずにはいられないのが作家の性であり、それを支えるのが編集者の性なら、その物語を読むのが私たちの性なのか。
これを読むと「ランク」という数字に従って簡単に棚から本を抜く、という仕事ができなくなる。困った、明日からどうやって棚を作ろうか。
ルーチン化していた仕事に喝を入れられた気がする。
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大手出版社の文芸編集者・俊太郎と、華々しいデビューを飾ったものの鳴かず飛ばずの作家・豊隆は幼馴染みだった。いつか仕事を。そう約束したが、編集長の交代などで、企画すら具体的にならないまま時間だけが過ぎていく。やがて、俊太郎の所属する文芸誌は存続を危ぶまれ、豊隆は生活すら危うい状況に追い込まれる。そんな中、俊太郎は起死回生の一手を思いつく。三流編集者と売れない作家が、出版界にしかけた壮大なケンカの行方は!?
「本の雑誌」で北上次郎氏の熱いレビューを読んで、手に取ってみた。何事にも力いっぱいに取り組む人々の姿はいいものです。
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なんか文章に癖があって違和感を感じる。でも、売れなくなった作家と同級生の編集員が困難を乗り越えて出版しようとする熱意と作家の熱量には、本好きならば感動すること請け合い。しかし、残念ながらその後は凡庸な展開。渾身に出来上がった作品も今一良さが伝わらず。本編にあるように、一行ごとに研ぎ澄まされて、目が離せない。ってなってないのが残念。
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早見和真『小説王』読了。
幼なじみの「三流」編集者と売れない作家の奮闘記。熱くて、熱くて…、一気に読み進めて、すぐに読み終わった、、、。
熱さだけではなく、出版業の「リアル」な面もそこには描かれていて、「最高」だという形容詞以外上手く捉えられない、、、。
熱さのある小説でした。
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小説家と編集者の話し。マンガでこういうのが最近多い気がするが、まあするする読める。
全くストーリーとは関係ないけど、ふと編集者である主人公が言う、図書館で本を借りたときに著者に少しでもお金が届く方法を考えないといけない、というのは本当にそう思う。
僕は今稼ぎが少ないので本は図書館で借りているのだが、こういう人ばかりでは小説家は食えない。
兼業農家はカンタンになれるけど、専業農家は相当ハードルが高いように、専業小説家も更に高いハードルなんだと思う。
お金が稼げるようになったら2つやりたいことがある。
発泡酒ではなく本物のビールを買うこと。
図書館でなく本屋で本を買うこと。
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ちょっと大人の青春物語。
出版社の編集担当者と売れない小説家と、文芸界が舞台だけどスポコンマンガのような雰囲気。
ものがたりはなぜ必要なのか。
歌を歌ってる身でも、同じように、歌はなぜ必要なのかとよく考える。
結局は同じなんではないかと思う。
無形の知的創作物は、もっと保護され尊重されるべきだと思う。
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なぜ小説が書かれるのか。それは作品中に何度も登場する「誰かが物語を必要としている」という言葉につきる。本作品は小説家と書籍編集者を中心に、周りにいる仕事仲間や家族、恋人、友人がいかに小説と関わっているのかを熱量高く訴える物語。これ、まさに自分が必要としている物語だ。この作品に出会えて良かったと心底思う。小説として読むのは当然面白いのだが、中高生や大学生にも読んでほしい。社会との関わり、言ってしまえば社会人として生きていくために必要なものの考え方や心得などを感じることができるのではないだろうか。100冊のビジネス書を読むより心に残るに違いない。作家と編集者の物語ではあるが、他の業界の人でも、この物語の根底に流れている面のを感じ取ることで、もう一回り大きい自分になれるのではないかと思う。小さな悩みはこの作品が吹き飛ばしてくれる。あとは自分がどれだけ覚悟できるかどうかだ。何度でも読み返したい作品である。
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小説家と編集者のストーリー。物語に引き込まれ、一気に読了した。
僕のツボにハマる小説って、父と息子の話なんだよなあ。という点からもど真ん中でした。大賀綾乃とか、脇を固める人たちも魅力的で、学級新聞の仲間も物語の後半に出てきたりして、とにかく文句のつけようのない話。涙流しながら、後半を読んでいた。
「小説を楽しんでいる編集者は二流で、泣くヤツは三流」ということらしいが、僕は純粋に読者なのだから、心置きなく泣かしてもらおう。物語の後半に、『新しい物語が必要とされる時代が目の前に迫っている』というくだりがあって、その言葉を信じてみたくなった。
『とりあえず今日だけ生きてみようと思いました。明日もそう思えてる気がします。吉田先生の作品が楽しみだから』という中学生の感想のファンレターに50も過ぎた僕が激しく共感する。活字の可能性を改めて思い知らされた作品だった。
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幼なじみの三流編集者と売れない作家の「友情」、「努力」、「勝利」の物語。まるで少年ジャンプの三大スローガンなのですけど、内容的にも漫画的で底が浅いです。
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暑苦しい表紙デザインだと思ったが、中身も熱かった。
小学校で同級だった二人が作家と編集者として再びまみえ、一つの作品を作り上げる物語。
編集者の立ち位置と作家の立ち位置が(わたしはそのどちらでもないが)よく書かれている。
編集者と作家の関係って、編集者の数と作家の数とその組み合わせの数だけケースバーケースで「これがその姿!」ってことは無いんだと思うけれど、ある理想の二人の出会いが描かれている。
作中、主人公が「女性が描けていない」云々とあるが、俊太郎の奥さんの美咲ちゃんはもう少し描き込んでもよかったかな?
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表紙が怖いけど、作家と編集者の熱いドラマで一気に読めます。
この2人が小学校の同級生というのもいい流れですし、家族との関係も織り交ぜながら、変な落とし穴もなく、小説という1つの作品が出来上がっていくのを、ドキドキしながら読めます。
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面白かったです。
小説は死なない。
媒体を変えて生き続けていくんですね。
熱い想いを感じます。
小説王のタイトルがそれですね。
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出版不況と言われる中での文芸誌の編集者が主人公。小説家と編集者があらゆる困難に立ち向かう職業小説。とにかく熱い。とくに若者が熱い。
個人的には主人公のまわりの上司が好き。出版不況、読書離れ、ひっくり返したいなぁ…