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【24歳松本清張賞作家が描ききる「自由への逃走」】美大の一年生・友親の危機を救ってくれた優しいイケメンの先輩。彼の過去に触れ、自らの生き辛さを自覚するが――青春長編!
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花房美術大学(通称ハナビ)に入学し、下宿で一人暮らしを始めた友親。ちょっとした勘違いで所持金が底をつき、腹ペコの所を助けてくれたのは、同じ下宿に住む先輩、イケメンで料理上手で画才にも恵まれた若菜。
美大生としての、バイト、合宿、学祭など、面白おかしい、当たり前の輝きに満ちた日々。
一方では、誰もが才能の違いに悩み、羨み、不安と闘う日々。
やがて、若菜の過去には、若菜を決定的に変えた、ひとりの少女がいた事が明らかになり、友親も自分の抱える秘密に目を向けざるをえなくなる。
「ヒトリコ」では小学〜高校生の友人関係、「屋上のウィンドノーツ」では中学〜高校生の部活動、「タスキメシ」では小学〜大学時代までの兄弟…と、年齢や人間関係のポジションを少しずつ変えながら、微妙な不安や心の揺らぎをとらえてきた額賀澪さん。
今作は、高校〜大学、そして義理の家族たちが、友親・若菜の置かれた舞台。
誰でもいくつもの顔を持っていて、あるべき自分と、自分の本心とに引き裂かれたり、もみくちゃにされながら、毎日を生き延びていくしかないんだね。
離婚再婚がありふれたことになり、ステップファミリーが珍しくもなくなってきたとしても、ちょっとそれがダブルで?っていうのは出来過ぎというか、不自然な気もするけれど…
実の親子だって相性があって、親を子として愛せないのは罪なのか?という問題は、義理の家族同士にしかないわけでもないのに。
若菜の愛した少女ユウキの、儚くて強く、透き通った描写が美しい。
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家族なんて一つの社会的単位に過ぎない、って思えたら楽になる人がどれだけたくさんいることか。
「家族はみんな仲良くしなきゃいけない」「家族はお互い思いやり合わなければならない」そんな「きまり」を受け入れられない自分を責め、飛び出してなおそれにとらわれ続けることの無意味さ、苦しさ、そして哀しさ。
けれど、家族に捨てられた家族と、家族を捨てた家族と、どちらが哀しいのだろう。
大人になれば、そんな「家族」幻想から軽やかに飛び立つこともできるだろうけど、十代の、まだ親の保護下にある間に、家族という塊が分裂したり別の塊とくっついたりというのを体験した時、それを心で受け入れることはそう簡単なものではないだろう。頭ではわかっていたとしても。
繊細であるがゆえ、誰よりも家族を愛しているがゆえ、傷付いていく彼らの姿が胸に刺さる。
むせかえるような緑の絵の具の匂いと、何もかも包みこんで溶かしてしまうような白い泡が、読み終わった私の身体にしみこんでいく。
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家族関係などをテーマにした青春ストーリー。
あたしは好きだったな。
イケメンで完璧人間だけど、どこか裏がある先輩にみんな惹かれる。
あたしも惹かれた。
若菜の高校時代の由樹との思い出のシーンが特に印象に残ってる。
ほろ苦くて切ないけど、綺麗な思い出。
大切な思い出だけど、それがもう過去になってる事をどこか受け入れられないそんな複雑な感じ。
綺麗な言葉で描かれているので、本当に青春のワンシーンにぴったり。
そして途中まで読んで最初のシーンの意味が分かり、ヨシキって人が誰なのか分かる。
残念なのは若菜先輩のキャラや話が濃すぎて
主人公のストーリーがちょっと薄くなってる。
でも、そこがいいところなのかな??
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さくさく読めるのだが、描かれているものはずいぶんと重い。
しかし描き方がわりとさらっとしているので、読んだ方が考えていくというような感じがする。
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久しぶりにふつうのを読んだ。少女まんがの発想だった。キャラだのみですね。がまんして読んだのに最後の5ページくらいで流し読みしてしまった。おもしろくはないです。
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親の再婚で新しい家族に自分を見失った美大生男子二人。
義姉、義妹がいる。
親にしてみれば子どもが多くくなるまで待った、
と言うことなんだろうが、
思春期を過ぎて大人になりかけている年齢の子にしてみれば
あっさりと受け入れることが
案外できないものなのかもしれない。
しかし、ステップファミリーでなくても、
家族で抱える問題は
必ずある。
いくつかの大小の問題を抱えながらも
家族としての着地点を模索するのだろう。
家族がキライならそれはそういうことなのだ。
キライになっちゃいけないと
思うことのほうが余程辛いだろう。
描けない描けないと悩みながらも絵を描くことは吐き出すこと、
見つめることになるのだろうなと思った。
恭子も涼のほうが執着しているのに
吐き出し方を知らない。
涼にいたっては気がきついとかの問題ではない気がする。
私は許せないなぁ。
ざっくりと深い、ザラザラの重い切り口だった。
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親の再婚できょうだいができるというのは複雑なんだ。
自分が社会人でなく親と生活している年代ならなおさら。
変に意識してしまうというのかな、やりにくさってどっかにありそうだもん。
誰に対しても常に物分りの良いいい子を見せるのは息が詰まりそうだから、自分の意見は主張してみてもいいのかも。
気を紛らせることができる友人がいれば、さらに心強いと思う。
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作者の単行本4冊目。技術系の本を読むのに忙しく、しばらく積読化していました。
新しい「家族」を構築しようともがく人びとと、本心からはその意に沿うことができないまま自分の意思を抑圧したり、「家族」の中に居場所をなくしてしまい、結果そこから反転して暴力的に「家族」から距離を取ろうともがく人びと。その両者の「エゴ」のギリギリの妥協点の模索というか、限定された統合のようなものがテーマです。例によってこんなふうに要約して紹介記事として意味があるのかわかりませんが・・・読後感としてはそんな感じです。
作品の中で描かれているような、かくまで意欲的な「統合の努力」も「統合の拒否」も私には経験がありませんが、程度や形態の問題を別にすればいずれもどこか「覚え」のある感覚ではあります。私事で恐縮ですが高校時代に何かの拍子に当時の担任教諭から「片親だからって特別扱いされると思わないで」というコメントを貰ったことがあります。「なんだこのターゲット選択が意味不明なバックラッシュは」というのが当時そして今しもの感想ですが、実際のところ周りに目を向けるとそこら中に片親世帯や再婚世帯、それにいわるゆ「崩壊」しかかった家庭というのがあったので、余計に「特別なんてことあるものか」と困惑させられたものです。もちろん言説のレベルでいえば「普通」と「異常」を区別しようとする意思みたいなものはたしかに厳然と存在するわけですし、私の育った環境が中流社会であればこそ問題となる確率の低い経済的なリスクみたいなものも厳然としてあるわけで、それやこれやのコンテキストがあればこその教諭の発言ではあるのですが。とまれそんな当時の私の周囲の「家族」事情をみるに、本作で描かれているテーマに部分的にも共感を覚える人は少なくないのではないかと思います。
より一般的にいうと、「家族」とくに核家族がここまで人のこころを捉えるテーマとなったのはなんでだろうか? そして「家族」をめぐる各々の「かくあるべし」と思うところ・願うところが「エゴ」として概念的に捕捉されて、それが擁護や排撃の対象になるまでに一体何があったのだろうか?と考えさせられる作品です。
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恥ずかしい話から入るけど、ワシは独りで家にいるとよく「死にたいっ!嘘、やだ!」と口にする。自分の過去の間違った(と思い込んでいる)選択や人に吐いてしまった言葉への自己嫌悪だ。もちろん全く死ぬ気なんてないので、単なる愚痴の一形態だ。
本作を読み、そんな間違いを重ねている自分を肯定できる気がした。少なくとも厭世観は緩和された。美大に通う大学生たちの日常と、それぞれが抱える「家族」や「死」の背景。誰もが、なんて言葉は何の慰めにもならないけど、それぞれの苦悩のぶつかり合いが凄い。
この作家は静と動の書き分けが上手い。
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家族がテーマの青春小説。ほとんどの登場人物がイタいので最初はつらいのですが、ストーリーが進むにしたがって感情移入も進みます。読後はさわやか。
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家族の在り方について、考えさせられる作品でした。
家族に対する考え方は私自身思うところがあるので、ある種の共感はありました。
読みやすいけど、中身は重いし突き刺さるカンジ。
物語の構成、進み方、好きでした。
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みんな不完全なんだ。だから人の痛みに気付ける。そしていつか大人になる。変わっていっていい。でも忘れない味があることをずっと大切にしてほしい。
さみしさの中に少し希望も見えるラストです。
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おもしろくもあるし、つまらなくもある。まぁ普通。 2016.11.11
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「屋上のウインドノーツ」が良かったので、デビュー作から読もうと思って手に取ったのだけど…。退屈して途中から斜め読み。何と言うか、説明しすぎでは。