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エレキテルの箇所で最初に思い出したのが、メスマーの動物磁気だった。メスマーよりもだいぶあとに、エレキテルが江戸で流行るのだが。
書物の科学的内容の充実さが想像以上で驚く。特に人体の部分は実にリアリティのある記述で裏側にある苦労が想像しきれない。
カラクリや時計は実際に動いているところが見たいと思った。
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昔の博物図鑑が好きなので。博物学の本は今見ても正確な図が多く、空想上の生物はほとんど載っていない。医学書も江戸時代になるとリアルなものが多く、私の好きな『針聞書』のような突拍子もない内容はあまりないようだ。十一章に分かれていてそれぞれのボリュームは少なめになるので、江戸時代の科学を広くざっくりと知りたい人にはいいと思う。
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江戸。科学。図鑑。トリプル役満のようなタイトル。
すごい。興奮冷めやらない。
第一章「西洋へのまなざし」
長崎周辺で見られるオランダ人・オランダ船などを描いた美術品がメイン。長崎詣の途中の富士山の絵などもあったりして、正直なところ、「これが科学かいな?」と疑問も持ちながら進んだ。
第二章「蘭学事始め」
司馬江漢や平賀源内、杉田玄白の肖像画。むむむ、これ科学か? と思いきや、徐々にオランダの風俗に触れ学んでいく様子が描かれていく。
第三章「江戸の天文暦術」
もう最初から渾天儀とか天球儀とかがバンバン出てくる。反射望遠鏡、一般向け天文解説書である天文図解、などなど。
第四章「江戸の地理学」
やはり地球儀からはじまって、伊能忠敬の日本図、間宮林蔵のサハリン探検の図説など。
第五章「江戸の本草学・博物学」
もうこのころになると、最初に覚えた退屈な感情がすっかり消えている。貝の標本、鉱物標本、そして各種の図鑑。イッカククジラ専門の書がふたつもあったりして、しかもユニコーンも描いてあったりして江戸の人たちかわいい。
第六章「江戸の医学」
「解体新書」は誰でも名前は知っているだろうけれど、その中身も紹介しながら、それだけでなく多くの図が見られる。
こんな感じで11章まである(全部紹介しようと思っていたけど疲れちゃった)。
当たり前に知っているようなことが、当時はこの程度だったのだなあ、というような気になるものもあれば、今の自分でもまるっきり知らないこともある。知識というのは四次元の世界だなあ、とひとりごちて、最後の方は興奮しっぱなしであった。
多くの資料は国会図書館所蔵で、同館のデジタルコレクションで読める。なんともありがたい時代。デジタル化バンザイ。けれど文明開化もそんなふうにして西欧化ばんざい、だったのかもしれないので、手放しで喜ばないようにしておく。