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レビューはブログにて
http://ameblo.jp/w92-3/entry-12185776681.html
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ちょうどこの本を読んでいる最中、医療と健康を扱うサイト、WELQに端を発するDENAのウェブメディアの問題が発生、展開している10メディアのうち9つを非公開という騒ぎに発展している。そこで行われていることは、ネットに上がっている大量の情報をコピーし改変した「オリジナル記事」を1日約百件という大量にアップし、SEO対策で検索キーワードを多数用いることでGoogleの検索上位を占める、というやり方である。もちろん著作権的にグレーというよりクロで、何よりプロ野球球団を持つ上場企業が組織的、システム的にこの盗作行為を大々的に行っていたという事実である。
大量の記事は廉価にて外注され、主婦など「プロ」とは言えない人たちも多く、DeNAの具体的な指示を受けて「執筆」という盗作リライトを行っていたようだ。おそらくこの外注スタッフは特に何かグレーなことをしているという自覚はなく、マニュアルに沿ってこなし、さらには編集部にダメ出しを喰らい、一生懸命励んでいたと思われる。
ここでDeNAが主眼としていたのは如何にSEOによって検索の上位を占めるかということであり、次に炎上以前にも大小のトラブルも発生していた著作権の目をくぐり抜けること。メディアとして重要視されるコンテンツのクオリティや、読み手にどう受け取るかということは関心の埒外であった模様だ。
それは本書のタイトルである「稼げるか」ということに血眼になっるあまり、法律的にクロであることを無視して突っ走った稀な事件であり、エネルギー界のエンロンのようなものだと行って言い過ぎではない。
著者はアメリカのレガシーメディアからデジタルメディアへと渡り歩いている重鎮のようで、アメリカ・デジタルジャーナリズムの現状(といっても2014年)を概説している。
正直内容はそれほど新鮮味はなく、レガシーメディアは日本と同じように試行錯誤し、ほとんどは失敗している。またその失敗の仕方も似ている部分も多い。
アメリカのベンチーキャピタルは「コンテンツには投資しない」そうだ。コンテンツのクオリティは金はかかるがお金産まず、お金を呼び込むものとしてのプラットフォームに関心が向くのはDeNAのケースとも似ている。
IT時代、ニュースの数も以前の数十倍にもなっているだろう。この情報の洪水で、大メディア時代のように評価やルールを誘導するトップダウンはもはや不可能であり、全体の巨大な流れに巻き込まれるしかない。そこからボトムアップ型に大きな渦が巻き起こり、新しい枠組みが自然に発生していき、または淘汰されていく。そのために焼け野原を受け入れ、荒野から出発することも必要だ。と著者。
「最後にビジネスからいえばレガシーメディアは過去をきっぱり捨て去り、デジタルメディアを根本から作り直すしかない。…メディア企業は大小、新旧、営利非営利を問わず、人間関係を基礎にした戦略によって収益を得られると信じている。これまでのように量や数ばかりに目を向けずユーザー、広告主にいかに価値ある存在になれるかを考えれば成功の可能性は高まる」この言はDeNAメディアの姿勢とは正反対だ。
本書はいままでのレガシーメディアの試みを含めた現状までの���理として読むなら、新しい視点は少なくても有益といえると思う。いささかページ数は多かったが。
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マスではなく一人ひとりのニーズに対応すべし。ニュースはコンテンツではなく、提供すべきはサービス。ジャーナリストの役割は、ユーザーを取り込んだエコシステムの中で、メンバー同士の協調を促すまとめ役。
サポーターグループとその支援のもと行動する人、という図は見られるようになってきたと感じますが、ジャーナリストは別枠のイメージだったのですが。
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世界経済フォーラム年次総会で登壇のザッカーバーグにおじさん社長が質問。コミュニティはどう作るのか?
ザッカーバーグ曰く、質問が違う、コミュニティなど作れない。そこにある混沌を整理し、知識を体系化し、いる人をどうしたら応援できるかを考えるのみ。
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マスメディアは死に、古いジャーナリズムは終わった。
コンテンツを作って一方的に流すモデルは崩壊している。
一人ひとりを見たジャーナリズムになるべきで、コンテンツを元にしたサービス業になるべきだ。
この提案、レガシーなメディアは既存の価値観に縛られているから混乱するだろう。
メディアのビジネスモデルは情報の希少性を利用していたが、ネット時代になって希少性がなくなってしまったというのは頷ける。
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とてもいい本だったので、ブログで内容をまとめました。
http://highjamp.hatenablog.com/entry/2017/12/11/221815
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メディア業界外の読者の視点として書評を書きます。私は単純にデジタル革命が経済社会にどういう影響を及ぼしそうかに関心があり、その一環としてメディア業界への影響を論じている本書を手に取りました。
まず、メディア業界に属していない人間からすると、分かりづらい表現や、馴染みのない企業名が多いため、しばしば読みづらさは感じました。ですから多少でもメディア業界の現在のビジネスモデルや主要な企業名など理解している方が、本書をより堪能できると思います。肝心の中身ですが、分量の割に中身は薄い印象を持ちました。色々と論じてはいるものの、最終的な結論として「イノベーションが大事だ」というありがちでかつ抽象的なコメントで終わっていることも多く、具体的に深掘りしてほしいと思う箇所がたくさんありました。恐らく著者の言いたいことは、メディア業界はもはやコンテンツで稼ごうとしてはいけないということ、また人間関係性をベースにしたサービス業に移行すべきだ、ということでしょう。これは理解しやすかったです。特に後者の例として、地元の学校に関する記事だけを書いているハイパーローカル紙を事例に挙げ、この新聞の目的は読者数ではなく、地元の学校の質を高める手助けをすることである、という風に説明していました。
個人的に最も興味深かったのは後半のビジネスモデルの箇所で、いかにして未来のメディア企業は稼ぐべきか、という点でした。最後に著者が述べているように、ジャービス氏は、メディア企業は出来る限り非営利ではなく営利企業として活動すべきだという論者ですが、本書の中でも「リバース・ペイ・メーター」(新聞社から貢献した読者に何らかの報酬を渡す仕組み)や、「クレジット権」(これもコンテンツの流通や知名度向上など貢献した人に報いる仕組み)などの新たな仕組みを提案されていて、これは他の分野でも参考になりそうだと感じました。
本書は全体的な冗長性の点でマイナス評価なのですが、最後のビジネスモデルの箇所でおもしろさを感じましたので星4つとさせていただきます。