紙の本
徐々にのめり込んでしまう魅力がすごい!
2018/12/23 14:17
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:tacque - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めて頁をめくったときの印象は、
すっごい文字量…。
読み始めて数頁で、「この本、嫌いかも」という印象だったけど、
好きな音楽の、それも奏者側から描いた音大付属高校の生徒の物語という
あまりほかで出会ったことが無い物語なので
正直気合で読み進めてたところ、
いつの間にかのめり込んでしまった!
そして2冊目も早く読みたいという衝動に駆られて
1冊目をあっという間に読破していた。
正直クラシックに興味がないとキツイのかもしれないが、
オケに居たことがある奏者ならすっごい共感できる本!
早く3冊目まで読了したい!!
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音楽一家に生まれた津島サトルは、一家の敷いたレールに乗ってプロのチェリストを目指すが、芸高に落ち、失意のまま三流音楽高校に入学する。そこで生涯忘れられない同級生たちに出会う。
青春音楽、時々哲学。
大人になった主人公の独白形式で物語は進むが、振り返るあの頃に不穏な空気を孕んでいるのが気になる。
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序盤のインテリぶった文体に少し嫌悪感を抱きました。
けれど芸大付属高に落ちたり南枝里子を強く意識するようになると、サトルの“素”の部分がドンドン前にでて来、サトルがとても魅力的な人物に(いいヤツ、という意味ではないです)思えてきました。
サトル以外の人物もキャラが立っているし、演奏や人間関係で上手く行ったり行かなかったりと展開にメリハリがあって、のめり込むように読んでいました。
気づけば一気に読み終えていました。
唯一説明が不足していると感じたのは、南がどうしてサトルを意識し始めたのか、という点。
南はプライドが高そうなので、チェロが上手いと評判だったサトルが気になっていた、ということでしょうか?
この点については続く2作目、3作目で明らかにしてほしいところです。
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正直、穂積さんの表紙に惹かれただけの、正真正銘のジャケ買いだったので、読み始めるまでは不安でした。
作者の本も初めてだし、往々にしてクラシック音楽を扱った本や漫画にはがっかりさせられることが多かったので。
しかも、なぜか作者の担当編集者さんが書かれた解説を斜め読みしてしまい、その中で飛び込んできた「僕はなんでも書けますから」という言葉に鼻持ちならないものを感じてしまい、さらに不安が募るという悪循環。
青春小説を謳っているだけあって、主人公・津島サトルくんの一人称で物語は進んでいきます。若干、あいたたたな中学時代を過ごしていたあたりなんかは、そこまで感情移入できず。ヒロインの女の子が出てくるところも、そこまで何も思えず。ああ、外れだったな、と思っていました。
それが変わったのは、オーケストラのリハーサルが始まったあたりから。あれ?このひと、やけにリハーサルの仕組みに詳しいな。リハーサル中に出される指示や言い回しが、某クラシック音楽を題材にした漫画とは違って、真実味があるというか、既視感を覚える。もしかして、作者はこの本を書く前に相当取材をしたのかな?それとも、クラシック音楽オタクだったりしたのかな?なんて思っておりました。
あ、この人、クラシック音楽を知っているんだと確信に変わったのは、伊藤くんのフルートが合宿所で鳴り響いたとき。「僕たちの人生の主役は音楽だ」という箇所で、鳥肌が立ちました。クラシック音楽を生業とするひとなら、いつか、どこかで確信する、圧倒的に自分よりも価値の高い、存在感のある、生命力のあるものに「生かされている」という感覚。それを、こんなにシンプルに、美しい言葉で表してくれるひとを、今まで知りませんでした。作者が、音楽高校出身で、チェロ弾きだと知ったのは、1巻を読了した後。なるほど、と会得すると同時に、やっぱり彼の筆力は素晴らしいなとあらためて思います。
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友達が気になっている本として勧められて読む
ピアノトリオの話がでるまでいまいち読み進むのが乗らなかった
続きの巻に期待
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サトルと南と北島先生がメンデルスゾーンのピアノ・トリオを演奏しているシーンでは、音が体中に鳴り響いていた。協奏し、共闘し、最後に融合していく音楽の至福!愛を語り合うような音による交歓!ゾクゾクし、鳥肌が立ち、涙が出た。これぞ音楽。魂の発露。久しぶりにあの感動を思い出した。
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2016.10.17 読了
藤谷治が3部作で描く青春音楽小説。2010年本屋大賞ノミネート作品。本書は主人公の津島サトルが高校時代からある時点(第1部では詳細不明)までを振り返るように語る回顧録として描かれている。第1部のタイトルは『合奏と協奏』。プロのチェロ奏者を目指す主人公が新生学園付属高校に入学し、合奏(=オーケストラ)と協奏(=ピアノ・トリオ)に向け奮闘する。南との恋模様も甘酸っぱくて良いが、お互いの音楽を認め合える仲間として描かれている場面が心に響く。1部を読み終えてすぐに2部と3部も購入。読む。
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音楽に打ち込む若者たちの青春小説。
三部作の第一弾。
津島という苗字は、もしかして、恥の多い人生を送ってきた例の文豪から取ったのだろうかと思ったら、やはりそのようでした。
失ったものを語る口調の回想から入るあたり、何か残念なことが起こってしまったのだろうとは想像するけれど、第一弾は、まだ、華やかな登り坂だ。
滑稽なほど思い上がった可愛げのない子供だった津島サトルは、その鼻っ柱をへし折られて、華麗なる音楽一族の長である祖父が学長を務める「三流の」音大附属高校に情実入学を果たす。
津島サトルが気取った仮面を脱ぎ捨て、素直に音楽に傾倒し、情熱を傾けるようになるまでが、この一冊。
楽器の演奏、合奏、自分を磨くこと、人の音を聴くことは、スポーツに通じる。
だから、音楽家たちの青春ものは、熱くて爽やかで、輝いている。
前半、哲学の話題が多かったが、津島くんがそういう小難しいことばかり考える少年だったのだから仕方がない。
彼が普通の(才能と育ちを考えると全然普通じゃないが)DKになった、と思った瞬間は、戸田先輩に「オイ!」と突っ込みを入れた時。
そして、普通の高校生らしく、恋に落ちて行くのだ。
美少年・伊藤の眼差しが気になる。
健気なポニーテール・鮎川の語らぬ思いが気になる。
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あるかしら文庫で読んだ。何も期待しないで読んだが、音楽の知識は全くない私でもそのテンポだったり緊張感だったり、青春の甘酸っぱい感じを存分に感じることができた。蜜蜂と遠雷以来の感覚だった。1巻で終わらないとわかって、先が気になるが、まずは小休止したい。あの熱量をあと2巻味わうのもなかなかハードルが高い。しかも、挫折が待っていそうな予感。まずは、津島と南がいい感じでいい方向にいきそうなところでホッと一息つきたい。また、続きが気になる時に次の巻に手を伸ばそう。
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音楽高校の青春小説。
主人公の津島サトルは音楽一家の息子。一家の敷いたレールに乗り、チェリストを目指し、東京芸術大学附属高校を受験するが、失敗し祖父が学長を務める私立の音大の附属高校へ進む。
ちょっと身近にはいない、雲の上の存在。でも、音楽高校には音楽高校の青春がある。
サトルも友人ももちろん「上手い」と言われたくて日々個人練習に励む。昼休みなどの時間も惜しんで。
しかし、音楽高校の活動はソロとしての練習のみではなく、合奏の練習も厳しい。毎年、音楽科全員によるオーケストラの発表がある。殆どの学生がピアノ専攻なので、メンバーのいないパートはピアノの専攻の学生が副専攻として、弾いたことのないバイオリンやチェロを無理やりやらされる。そこからのスタートだ。
皆、自分の楽器を一人で弾くときにはプロでも合奏となると、途端に指揮の見方、拍子の数え方から分からなくなる。音楽専攻の学生でも初めはそんな感じらしい。合わせるのって難しい。サトルは一年生だが学校で一番チェロが上手いと評判だが、一人が上手くても仕方がない。「はっきり言ってこの曲、チェロは難しくないのに、バイオリンがいつまでたっても弾けないせいで、こっちは何回ブン、チャッ、チャッ、ブン、チャッ、チャッばかりやらされるのだろう」と心の中で愚痴ったり。
意中の女の子がいる。美人で、一年生だけどバイオリンが一番上手い、負けず嫌いの南枝里子。
その子に思いきって声をかける。「文化祭で僕と一緒にメンデルスゾーンのピアノ・トリオやらない?」。
オッケーを貰えて、「家にレコードがあるから、ダビングしてくるよ。」。
しかし、家のカセットレコーダーが壊れていて、仕方がないから南さんにその〈カザルスの歴史的名盤〉といわれるレコードを貸すために学校へ持っていく。チェロと楽譜ケースも担いで、レコードも持って通学。南さんに貸そうとすると、「そんな大切なレコードに針を落とすのが怖い。私の家に来てダビングしてくれない?」と誘われ、彼女の家に。南さんは育ちのいいお嬢さんらしく、駅から公衆電話で家に連絡してから連れていく。彼女の部屋でダビングしながら、一緒にカザルスの名盤のピアノ・トリオを聴く。「この曲を弾くの?」彼女は驚く。
この辺りが好きだ。そう、あの頃はレコードが凄く大切だった。クラシック音楽なんて、その道の学生でも、レコードを聴いて初めて知る曲が多かったのだろうな。その後にきたCDの時代も盛りを過ぎ、今は大抵の曲をユーチューブや音楽アプリで手軽に聴くことが出来てしまうけれど、あの割れそうな黒い円盤を皆大切に抱えて友達に貸したりしていたな。それに、サトルのような凄いお坊っちゃんでも録音の手段はカセットテープだったんだな。あの時代辺り前だけど。それに公衆電話。今の子供は「皆、連絡はLINEだからスマホがなかったら困る」なんて言う。
今思えば、あの頃はなんてキラキラしたクラシカルな時代だったのだろう。(著者は1963年生まれ。音楽高校生だった自身を顧みながらの執筆らしいので、昭和50年代前半ごろかな。)。
で、その南さんと協奏曲を一緒に演奏出来て、心を通い���わせて、絶好調!
でも、2巻めから、下降の一途をたどるそうです。この物語は大人になった主人公の回想で語られるからもう本人は運命を分かっているのですが、傷ついてほしくないなと思います。
ネタバレごめんなさい。でも細部の読みどころについては殆ど書いていないです。
2巻に続く。
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隣の芝生はいつだって青いし、氷山も一角らしいし、
世の中には表面だけ見て分からないものが多すぎる。
(以下抜粋)
○指が動くだけじゃ表現できないものが多すぎるんだ(P.88)