紙の本
がん治療薬開発の現場から
2016/10/01 18:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
がんには医学的な治療法が欠けているばかりでなく政治的な治療法も欠けていた、がんで亡くなったのかそれとも治療でなくなったのか。大勢の人びとが自らの命を犠牲にしてがんについての理解を深める手助けをしてくれたことを考えさせられる書。
投稿元:
レビューを見る
紀元前から現代まで、4000年にわたって人々を苦しめてきた「がん」。古代エジプトの医師イムホテプが「治療法はない」と述べたその腫瘍を、医聖ヒポクラテスは「カルキノス(「カニ」)」と名づけ、19世紀の外科医は「あらゆる病の皇帝」と怖れた。患者、医師たちの苦闘のドラマを通して、謎めいた病魔の真の姿を浮かびあがらせ、ピュリッツァー賞ほか各賞を総なめにした傑作ノンフィクション
投稿元:
レビューを見る
パピルスに記録された時代からのがんと人の4000年の歴史。
上巻を終わったあたりで既に20世紀後半にあり、がんの研究は急速に進展していることの表れかと思う。
その時代時代で、リードする医師の考えから治療の方針が大きく振れている様子が著わされていて、まだまだこれからの時代に於いても新たな発見から変遷していくのだろうと感じた。
投稿元:
レビューを見る
おびただしい数の文献を読み漁ってある分野の歴史叙述を編み上げる人がたまにいますが、本書の著者もその一人です。文庫の上下巻として発刊されていますが、巻末には数十ページにおよぶ原註と参考文献のリストがついています。その記述はアメリカを中心として、とくにこの2世紀の間に徐々に加速してきたがん治療と研究における成功と挫折を、鳥瞰しては急降下しまたそこから急上昇して・・・というふうに往復運動をしつつ描き出していきます。
医者であり学者であり、かつまたおそらく大変な読書家でもある著者のもとで、「がんの歴史」は個々の患者たちが体験した圧倒的な病の経験とゆっくりと統合されていきます。予想だにしなかった寛解後の日常のなかから病を振り返る元白血病患者や、薬剤耐性となったがんの再発に遭遇し自身の人間としての生の尊厳を守ろうとした今は亡き消化器系のがん患者の描写は印象的です。。。
それにしても。上巻の後半の記述を読んでいて、20世紀末も後半にいたってなお、外科的にも化学療法的にも、がん治療というものはかくまで狂気じみたもの、根絶のためには身体の「がん以外」の部分までをも跡形をなくさせ死の淵に追い詰めていこうとするものだったのか、とだいぶ引いてしまいました。
投稿元:
レビューを見る
大切な人が脳腫瘍になった。
彼の病気の根本を知りたい。
知らないことには戦う武器がわからない。
何がなんでも彼の腫瘍が暴れだす前に武器を探してみせる!
投稿元:
レビューを見る
http://catalog.lib.kagoshima-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB21737260
投稿元:
レビューを見る
本の帯より引用…(鳥越俊太郎氏)
「現役のがん患者も 将来のがん患者も がんの正体・治療法は知りたい。それがここにある。救いと絶望。興奮の書だ」
海外のノンフィクション部門で数々の賞を受賞しただけの内容です。
翻訳者の田中文氏は、医師でもあり、医療専門用語もありますが、きっと正確な翻訳をしているのだろうと想像します。
投稿元:
レビューを見る
がんの歴史。今では間違いだと判明している医療法、医者の間での確執、思い込みで何十年も遅れる研究など、読んでいて辛くなることも多いが、それを調べて文章にまとめあげた作者がとにかく凄い。
がん患者の一年は健常人の一生にも劣らないほど意味を持つとの表現が本書中に出て来るあたり、がん治療の過酷さともどかしさを感じます。
あと、緩和ケア(本書中では緩和医療)が1970年代に広がった記載があるが、それまではどのよあな壮絶な最期を迎えていたんだろうと想像するだけで脳が考えることを拒否してしまいます。
がんという、誰にでもなり得るのによく分かっていない(人と話をすることもない)分野が今どこまで来ているのか俯瞰するに最適な本でした。
投稿元:
レビューを見る
1850年代半ば、インドやエジプトから大量の綿
綿工業産業はイギリスで爆発的に増加
綿布の製造と違い、染色という仕事は産業化以前のままであり、布の染料は腐りやすい野菜から抽出しなければならなかった。
1865年イギリス、ウィリアム・パーキンスが染色産業の聖杯となる物質の合成に成功した。アニリン・モーヴと名づけられた。繊維産業にっとてまさに天からの授かりもの。
ドイツでは、合成化学はさらに爆発的なブームとなった。
1828年ドイツ、ヴェーラ、尿素合成。生体の科学現象はには神秘的な動物生気がかかわるという説を粉砕。
1867年ドイツ、パウル・エールリヒ、染料と細胞の反応
投稿元:
レビューを見る
人類のガンに対する取り組みについて、紀元前2600年頃のパピルス文書まで遡って述べられている。
実際には19世紀以降の外科的な取組み以降の記述が主となっている。
インタビューにもあるように、普通の読者にも分かるように書かれているのだが、初めて見る名前や医学用語が数多く出てくるし、年代も幾度も遡るので、なかなかついていけない。
投稿元:
レビューを見る
シッダールタ・ムカジー「がん 4000年の歴史」読了。人類は遥か昔からがんに悩まされてきた。がんの専門医である著者がその歴史を丁寧に紐解いていく。異常増殖する細胞に起因するがんに関わった人々の営みと移り変わりにただ圧倒されるばかりであった。
投稿元:
レビューを見る
シッダルータムカジー がん治療史「がん 4千年の歴史」上巻。
がんを知り、がんを攻撃しても 取り除けない歴史。19世紀になって初めて、がんの実体が、細胞の異常増殖であることがわかるが、外科手術によって取り除いても、化学療法や放射線という毒を用いても、転移と突然変異、異常増殖を繰り返す がん細胞の適応能力の高さ
驚いたのは がん と人類の進化の共通性
*がんは、生物学的に多様〜がんには気性、人格、習性がある
*がんは、一個の細胞から分裂し、変異、淘汰、異常増殖のサイクルを繰り返す
*どの世代のがん細胞も 親の世代とは 異なる細胞を わずかに作り出し、攻撃に耐えられる 変異クローンだけが生き残る
がんの特性や人類の敗北の歴史を知るほど「がんに立ち向かうことは〜人類より適応能力の高い種に立ち向かうこと」という言葉に恐怖を感じる
投稿元:
レビューを見る
人間が個々バラバラに(時にはチームを組んで)
闘ってきたガンとの戦いの歴史を
ざっと教えてくれる良書でした。
1940年から以降、やっと
勝利の場面が出てきて、
人類の知恵の蓄積に
ありがとうと言いたい。
まだまだ途上であり、まだまだ
ガンには泣かされている実情も
俯瞰できました。
怖い思いをすると、心拍数があがり、魂は縮み、
身体の一部も縮みます。
この本読んでいると、上がりまくり、縮みまくりました。
でも読まずにはいられない。
知らないうちが最も恐怖が拡大すると思うんで。
投稿元:
レビューを見る
多くの人々の命を奪ってきた病、がん。原著のサブタイトルにA Biography of Cancer とあるように、本書は正にがんの伝記である。
がんという病はいつから人類とともにあるのか、この病を人類が正確に認識したのはいつか、その病理が理解され、外科的治療、内科的治療、予防へとどのように対策が講じられたのか…。そして、医療者以外の、社会的、経済的、政治的要因。慈善家のラスカー夫妻のエピソードはとても印象的だった。
本書は「がんの伝記」ではあるが、医療者の活動の記録であり、何よりも、著者のムカジーがインタビューで答えているように、がん患者の闘いの記録でもある。現在の我々ががん治療の恩恵を受けられるのも、彼ら無名のがん患者の上に立っているからである。そのことを、本書を読むと強く感じる。
医療職ではないため、読んでいてもわからない単語や薬剤名がないとは言えない。しかし、本書にかぎってはそれは読書を妨げるハードルにはならない。圧倒的なノンフィクションの力が、またおそらくは翻訳の妙が、それらのハードルを取り払ってくれる。
まずは上巻。下巻に進もう。
投稿元:
レビューを見る
2016年時点では、癌に関する最も興味深く啓蒙的な本の一つだったのではないでしょうか。とても面白かったです。