紙の本
西村文学の最高傑作!
2018/05/31 09:30
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投稿者:BBS - この投稿者のレビュー一覧を見る
私が知り得る限りにおいて、西村賢太氏の作品で最も秀逸な出来栄え。貫多が次々に繰り出す人倫にもとる罵倒や行動の数々、爽快なひとでなしっぷり。婦女子に推薦できない図書、堂々の第1位!
紙の本
様変わり?
2016/10/30 22:01
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
安洋食屋でアルバイトを始めた北町貫多。その3か月の物語。私小説家を自称するだけあって、フィクションの部分が少ないのが、この人の特徴だが、本作は珍しく逆方向の作品だろうか。むろん、小説だから、どうでもいいことで、今回もまた、さすが芥川賞作家の筆力を見せている。癖のある文章が生き生きと輝くのは、いかにも西村氏らしい。
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相変わらずの『西村ぶり』
2016/09/21 08:53
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投稿者:燕石 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マンネリ感のきらいはあるが、やはり購入・一読してしまうのは、そのギャップ(一種の「平成擬古文」とも言えるリズム感ある文体と、それで表現されたお下劣な内容との)と、徹底的に自らを嗤い者にする冷めた視点ゆえだ。「中卒」「性犯罪者の息子」「その日暮らしのアルバイト生活」等々全てがマイナスばかりの「北町貫多」の、「自尊心の高さ」「常に自己を正当化する自己愛の強さ」は、ある意味、現在のワーキング・プアの若者のヒーローではないか?
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かくすれば、かくなるものと知りながら、止むに止まれぬ貫多魂(松陰先生申し訳有りません)
貫多17歳にして飲食店勤務のおかげで、つかの間の平穏&人並みの極ささやかな幸福を手に入れつつあるかに思えたが・・・結局は貫多の妙に気高い性格により、クライシスを迎えてしまう。
こんな貫多の性格は程度の差こそ有れ、誰の心にも有るに相違ない。それ故に人を引き付ける小説なのであろう。
貫多は江戸川区船堀辺りの出身だったのか。個人的にはかなり馴染みのある土地であり、都築道夫を愛読するなど、もはや他人とは思えない。
そろそろ予定調和でない何らかの進展を期待しています。
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痛快な下衆っぷりの貫太を久方ぶりに愉しむことが出来た。
P198以降が本作のキモ。
人倫の道を疾風のごとく転落していく、小心者のクセして
無駄に気高い彼の心中描写は秀逸。
文庫本が出たら是非購いたい傑作。
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いつもの北町貫多である。アンチヒーローというか、そのヒールっぷりは、読んでいて爽快でさえある。僕は西村賢太の本をせせこましく、図書館で見つけて、ただで読む手合いの作者からすると一銭の得にもならない読者のひとりだが、2016年7月5日発売の単行本が9月に図書館で借りれてしまうことは嬉しいんだけど、これって、どうなんだろう。
今の時代にマッチしない業界は様々あるが、出版界もご多分にもれず、泥舟なんだろうことは想像に難くない。それとも、全国の図書館にいきわたるだけの部数が担保されるのなら、出版してたちまち図書館に並ぶのもアリなんだろうか。
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結末は分かっているのが、いつになく長い長い平穏に親心のような安堵がすっと胸に流れる。最後までこの調子でいってもらいたいと祈るように行を追うが、終盤に進むにつれ、少しずつ道を外れていく。あっと思った瞬間にはいつもの展開。だけれどもなぜか不思議に明るい希望がある。人生のレールを大きく踏み外しながらも向かうところがあるし、目指すものがある。人としてのあるべき姿をその生き様に垣間見る。
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ジャンルは私小説なのだが、この「貫多」シリーズは水戸黄門やサザエさんとジャンルを同じくする「すばらしきマンネリもの」だ。目指すゴールは主人公、貫多の爆発。
中卒、職なし、家賃滞納中である貫多がまず行動するのは職探し。この設定は本シリーズのお約束。ベストセラー「苦役列車」では倉庫管理に就いた貫多だが、今回の仕事は洋食店で弁当配達と調理場の片付け。
この設定だけでただものならぬ不穏な空気が漂うのが本シリーズの特徴。その空気をさらにどす黒く染めるように、店主の奥さん、バイト仲間の女子大生が登場。その上、よせばいいのに、店主は店の屋根裏部屋を貫多に提供するという暴挙。
これで燃料は揃い、後は貫多の爆発。今回の爆発も実に美しく、芸術的に見事だ。
最大の見せ場は女子大生のロッカーから着替えを匂い、後悔する貫多。これほど変態中の変態を描いた小説は他にないだろう。
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西村賢太氏の諸作に於いて2冊めの読了。相変わらずの私小説としての主人公貫太シリーズであるが、あまりのそのいさぎの良いクズっぷりに溜飲と安堵を覚えつつ読み進めた。やっとこ得たその小さな幸せを覚える生活の中で、結局は最後に破綻に至るさまは、まさにみっともささに頭を抱える僕たち自分自身を投影するに不足なしのだらしなさっぷり。だけどそこがとても人間臭く、微塵もの嘘や詭弁のない人間の業の描写に溜飲を下げられる。これこそ西村賢太の書作を読む際の醍醐味である。
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行状の身勝手さや浅ましさが突き抜け過ぎてて爆笑すら催す大傑作。清々しいまでのクズで嫌悪感すらない。あー俺もこう言う気持ちわかるよ、と思いながらも、ここまで酷くはないけどな!と読者を慰めてもくれる。
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相変わらずの西村節、ほんとに楽しい。どうせいつかしょうもないことをやらかすんだろうなーいつそれが来るのかなー辛いなーと負のドキドキ感があるのがたまらなくいい。
著者の作品では珍しい長編だけど、溜まって溜まってカタルシスが来るのがほんとにたまらなくスカッとする。負のスカッとだが。
やっぱり女性に対する期待が毎回裏切られるが故のミソジニー的な記述が一番面白い。昔付き合った女の口が臭かっただとか、バイトの女子大生が臭そうな気がするだとか、新しく入ったバイトの女の子のキュロットを臭ったら卒倒しそうなほど臭かったとか、著者の中では女とにおいというものが不可分に結びついている感じがする、
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馬鹿と天才は紙一重というか、もはやクズとかろくでなしとかを飛び越え、貫多こそ真のエンターテイナーなのではないかと疑ってしまうほど。
やっていることがもはやコントの域。下手な芸人より面白い。本人は切実なのだろうけれど。
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貫多、十七歳。
「自分の駄目の上にも駄目を塗り重ねてきた人生」。
頑張って、欲望を我慢して週払いの食堂の仕事に就いたものの、貯められず、家賃滞納。食堂の上に転がり込んで寝泊まりするも、ビール飲んだり翌日のお店の食事食べたり、募金箱からお金取ったり。自意識も過剰で、人とやっていくのもむずかしい。足掻いてるけど、つらいー。
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相も変わらず屑だ。だがそれがいい。人間はかくしてこうあるべきなのではないか?そう考えずにはいられない。そんなわけはないんだけれども。