紙の本
読みやすく引き込まれるエンタメ性の高い作品
2017/11/13 17:31
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投稿者:Unjx - この投稿者のレビュー一覧を見る
買った本を持って図書館に行き、数時間で一気に読み進めました。途中、読者を惑わすトリックもいくつかありましたが、全編通してとても読みやすく世界観に没入できます。
紙の本
この作家は凄い!
2016/10/21 22:21
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初のページを捲るのが恐ろしい。
この人は一体誰なんだ?
本当にこの人なのか?
次々に疑問と不安が増加して混乱する。
しかし、後半はストーリーが分かりやすく進んでいきじっくり読む事が出来た。
この作家の小説は読むのが辛くなる程人間の内面を抉っていく。
その辛さが読む者を虜にするのだけど、本作は辛かった。
他の人に自分を移す事で復讐を為し遂げようと考える。
自分も消滅を選ぶ。
なんと秀逸な題名だろうか。
いつまでも小説が続き、読み続けられる喜びを感じたい気分にさせられる一作。
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投稿者:えるべっく - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み物としては、この作者らしく面白い。
しかし、ゆかりが重度のうつ病である設定や
ECTを乱用することに違和感を感じ、
うつ病患者や心療内科治療に
誤解や偏見を与えかねない。
中村文則は好きなのだが
「教団X」から少しズレを感じる。
「掏摸」のような作風が懐かしい。
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重度の鬱病にかかった女性を愛した精神科医。彼女を死なせないために施した治療は、記憶障害を引き起こす危険を伴うものだった…。「悪意」が世の中に及ぼす影響を突き詰めた衝撃作。『文學界』掲載を単行本化。
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私が誰か判らなくて混乱します~私は母の連れ子として新しい家に入り、下に出来た妹に叩いたと言いつけられては義父に詰られる。母も暴力を振るわれ、そのまま性交に移ることも度々だ。妹が私に付いてきた崖の上から転落し、重傷を負って、母と共に家を追い出され、母はスナックで働きながら、客を連れて帰って暴力を振るわれ、性交に及ぶのを見て生活する。ある日、襖を開けて、客が逃げられた母に怒りがこみ上げ、台所用品に八つ当たりして母に通報され、私は施設に送られた。施設に来た医師は後で考えると、吉見で、ゆかりの診察もした男だったのだ。後に彼の同僚に引き取られ、小さな精神科クリニックを引き継いだ。他のクリニックから紹介された・ゆかりという女性は、不幸にも義父から性的暴行を受け、それを知った母が首を吊り、風俗で働きながら、多くの男から性暴力を受けて、自殺願望を持っていた。ゆかりは私に自分の内面に入って欲しいと云われ、得意でない催眠を施すが聞かず、最後の手段としてECTを試みる。麻酔で眠らせた患者の脳に直接100Vの電気を流し、てんかんと同じ症状を作るのだ。巧く行って記憶がすっぱりなくなったゆかりに、幸せな平凡な記憶を植え付ける。ゆかりが働きたいと言い出して勤め始めた喫茶店の経営者・和久井とは恋愛感情が生まれたが、過去を知る二人の客・木田と間宮が証拠を突きつけて、すっかり思い出したゆかりは母親と同じ様に首を吊った。復讐せねばと和久井は言い、紹介元のクリニックの医師だった吉見はマンションで私への治療を施そうとする。私と和久井は木田と間宮を攫ってきて人気のないクリニックに閉じこめて、私・小塚亮大の人生を植え付けてなぞらせ、最後には殺すことを決める。麻酔なしのETCで木田は廃人となり、間宮には手記を読ませることで私の人生をなぞらせるが,手記は私の書いたモノでなく、内容も誤っている。そもそも吉見は私を治療したと言っているが、性的問題を植え付け、自分の患者が通り魔事件を起こしたことで狂っていた。木田と間宮に情報を流したのも吉見であった。吉見を攫って、木田と一つの部屋にして殺させ、木田も命を落とし、埋めた。さあ、自分の人生を取り戻すために、ECTを自分に施す~宮崎勤にインスパイアされたらしいが、ピンと来ないな。精神科医が情愛に溺れてしまうとか、ソ連やアメリカがやったマインドコントロールとか、オウムも? 一人称をあやふやにする手はもう已めて欲しいな。男がちんぽこを性器とは言わないよね、少なくとも
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全く意味の分からないまま読み進めることになるので
多少興味深いものの序盤は物語に入り込みにくいです。
しかし、途中の宮崎勤死刑囚の話が入ってくるところあたりから
物語の世界観に惹き込まれていきました。
宮崎勤が犯罪を犯して捕まったのが私が小学校1年生くらいの頃で
幼女(といっても当時の自分と同じくらい)を殺害した変質者という
イメージくらいしかなくどんな罪を犯したのかも知らなかったですし
どういった人物だったのかもほとんど知りませんでした。
どうして犯罪者になったのかという作者なりの考察が随所に盛り込まれている
ということでその考察内容には読むべきものがあると感じました。
この物語の肝となるのは「私」とは何かというところだと思いますが
教団Xで出てくる認識論も踏まえつつ自分という存在を消され
新たな不安定な自己を植えつけられるという復讐には正直ぞっとしました。
この物語を読むと洗脳など簡単に出来そうな気がして
自分も誰かの意図した自分になってはいないだろうかと末恐ろしくもなりました。
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今は誰なのか、よくわからぬまま、進んでいくが、最後にちゃんと理解はできる。
こんなことが起こっていたら世の中不信感がいっぱい。
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読んでいないと思って図書館から借りたら、読んでた。でも結末とかすっかり忘れていて、そんな自分に驚いた。ブクログに「読みたい」で登録したのが11ヶ月前らしい…。
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初めはフムフム読んで、途中からザワザワして、あれ?って不安になって、後半にかけて吃驚して、最後の数ページでタイトルの意味を理解して鳥肌が立ちました。
殺人者は、周囲の環境が影響することもあるんだよなっていう当たり前のことを改めて思ったり。宮崎氏の、小鳥のくだりはなんだかいたたまれない気持ちになりました。
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最初は面白くて続きが気になり・・・だったけど、一気読みできる時間がなく間を空けつつ何回にも分けて読んでいたら途中からなんだかわからなくなってしまいました(汗)
時間空けたから記憶も薄れちゃって、どこまでが洗脳なのかとか、結局誰なの?みたいな感じになってしまって中途半端に読んだ事が残念。
話の中で宮崎勤の事が細かく出てきますが、私はこの人に興味があり、結構色々この人についての本を読んでたので知ってる話たくさんありで面白かったです。
ちょっと文章に難しい感はあるけど全てがつながって読めたら面白いんじゃないかと思います。
いつかまた機会があれば読み直したい作品です。
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「自分がどれだけ、彼女を愛していたかを思い知らされた。いつの間にか彼女は僕の全てになっていた。これほどまで、人を好きになったことがなかった」
、、、その感情に至る過程なりエピソードなりをもっとくれよ…!!
別に中村文則の小説にラブストーリーを求めてないけど、でもその二人の繋がりなり恋愛要素なりが深くあることで喪失感がより読者の胸に刺さるんだろ…!?
根本的な喪失感の欠如が著しい。すらすら読めちゃう。そのくせ性への暴力には饒舌だな。
中村文則の小説を全て読んだわけではないけどいったいいつになったらこの人が恋愛モノを書ける日がくるのだろうか。悪口しかでない。すんません。
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狂気と正気が交差して『私』という存在がどこに到達しているのか着地しないままこのまま浮遊を続けているのかわからなくなる。精神の異常は人の手によって簡単に洗脳という手法で作り出すことができる。『私』という人間の消滅が始まる。
物語の中に自分を組み込まれずにいるのは難しいのだが、客観的に見てゆかないとうっかり自分も飲み込まれそうになってしまうほどの恐ろしさを感じる。
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純文学ゆえの抽象的な意味合い…もしくはファンタジー的な要素を以ってした「私の消滅」かと思っていたが、読み進めるうちにストーリーが整いリアルな消滅が待っていた
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今んところ2018年に読んだ本ではベストかもしれんな。
途中で誰の話かわからなくなることもあるけどそれすら心地よい混乱。
人間の記憶って白紙にして新しく作ることもできる。これまでの人生で消したい記憶を持つ人は、消したい記憶だけを消すことは、難しく、全てが白紙になってしまう。そこにどんな記憶を書き込むか。自分で書き込むのか、他人が作ったストーリーを書き込むのか。
連続的な記憶だと思いんで無いだろうか?そう思ってしまう。
ゆかりと和久井と小塚の、3人の幸せな暮らしを見てみたかった。
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暗いなあ、暗いなあああ、と思いながらまんまと惹き込まれて2日で読破。
精神科医ならではの専門知識で繰り広げられていくどんでん返しのような展開、心の変化、闇、悲しみ、忘れられない過去のしがらみ等が次々と描かれていて、読んでいるこちらも苦しく、悲しくなってきました。
作者さんあとがきの「この世界は時に残酷ですが、共に生きましょう」に握手を求めたい気持ちマッハでございます。