紙の本
ヴェネツィアの黄金時代をゆく
2023/06/01 14:30
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
美の都と称されたヴェネツィアが黄金時代。絶頂期を迎えたのはルネッサンスが始まったころ、つまり、15世紀ごろ、このころのヴェネツィアは海上だけではなくて、内陸部にも植民地を増やしたいた裕福な都市国家だったようだ
投稿元:
レビューを見る
書名だけだと(特に著者を知らなければ)通史や概説書と誤解する可能性があるが、美術史の本である。ヴェネツィアがまさに美術の宝庫であることが改めてよくわかる。
投稿元:
レビューを見る
ロシアに興味を持ったのはアイスホッケーとフィギュアスケートが
きっかけだった。そうして、私をイタリア、なかでもヴェネツィアに
導いたのは漫画家・森川久美と作家・塩野七生だった。
ロシアとヴェネツィアのキーワードに過剰反応する私の書庫には、
本や漫画にこのタイトルの入っている作品のなんと多いことか。
当然のように積んだままの作品も多いのだけれど。買ったら早め
に読めよ、自分。
本書も新刊書店の棚を眺めていたら目に飛び込んで来たのだ。
買うでしょ、当然。ヴェネツィアだし、芸術だしね。
ロシアには何度か行っているけれど、ヴェネツィアには未だ足を
踏み入れていない。それでも、本やテレビの紀行番組で目にする
街の建物や絵画、彫刻は「アドリア海の女王」と言われ、繁栄を
誇ったヴェネツィア共和国の素晴らしい遺産なのだと感じた。
その都市の歴史と共に芸術作品を追うのが本書なのだが、新書
という形式上、教科書的であり、駆け足になってしまうのは仕方ない
のかな。
ただ、トゥカーレ宮殿やサン・マルコ大聖堂などにある絵画や彫刻
を解説しているので、芸術巡りでヴェネツィアに行くのであれば、
下手なガイドブックよりも役に立ちそう。
カラー、モノクロのでの写真も豊富なのだが全体像ばかりなのが
少々残念。新書だとどうしても写真の大きさも限られて来るし、
細部が見たいと思っても無理な注文になってしまうのだもの。
彫刻も、絵画も、私にはほとんど知識がないのだが、それでも
西洋美術には惹かれるものが多いんだよね。なんで絵なのに
こんなにも光を描くことができるのだろうかとか、布の優美な
ドレープ感まで表現できる彫刻とか、見る度に「凄いな~」と
思うわ。
やっぱり行かなきゃな、ヴェネツィアに。特にサン・マルコ大聖堂の
祭壇の後ろに飾られた「パラ・ドーロ」が見たい。黄金の背景に、
惜しみなく宝石を使った、まさにヴェネツィアの繁栄の象徴では
ないか。
尚、1586年に日本からの大正遣欧少年使節がヴェネツィアを訪問
した際に、ヴェネツィア側は元首はじめ、大歓迎してくれ、等身大の
肖像画まで描いてくれたそうだ。この肖像画が現存していないのが
惜しい。日本とはこんなところで繋がりがあったんだね。
ああ、益々ヴェネツィアへの想いが募るわ。本書巻頭には全島を俯瞰
した地図に、主要な建造物の場所が記されているのでヴェネツィア中
を隈なく歩き回りたくなる。
やっぱり長期滞在で行かなきゃいけないだろうな。まずは資金調達
が問題だ。私にヴェネツィアに興味を持たせた森川久美と塩野七生
を恨むわ。