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『探偵ブロディ』シリーズ2作目。
1作目でもいい味を出していたブロディだが、今作では群像劇ということで存在感はやや薄め。但し他の登場人物もかなり『キャラが濃い』人物ばかりなので、けっこうお腹いっぱいになるw
最近ではなかなか見なくなった四六判の2段組で、長めではあるが、殆ど長さは感じなかった。謎解きよりもサスペンスに近い味わいも良かった。
3作目の邦訳も楽しみだ。
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あらすじ
探偵小説で有名になったマーティンは、たまたま運転手同士の喧嘩の仲裁になる。地元の不動産王の妻グロリアは、夫がロシア人タチアナと過ごしているときに緊急搬送されたと知る。元探偵マーティンは、恋人の女優についてきたが、観光がてら島で女性の死体を発見する・・・。
ミステリーというよりは群像劇。本作はシリーズ2作目。1作目は未読なので、主人公の人間関係のつながりはわからなかったが問題なし。作者はもともと文芸作家らしい。謎解きの過程というか、謎になる前の段階での、登場人物一人一人の心情が丁寧に書かれている。それが重たくなくて、むしろ滑稽で、細かいのにすいすい読める。量は上下2段だけど、あっさり読めた。
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エディンバラのフェスティバルを舞台に、複数の登場人物たちが巻き込まれる事件が、やがて収束してくる。
ちょっと長かった。
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人には全て裏面がある。善良な常識人に見えたグロリアとマーティンの意外な正体と過去。母親のルイーズを失望ばかりさせたアーチーの意外な変心。罰せられる罪もあり、まんまと逃れる場合もあり。人生はスラップスティック。
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なんだかんだ言っても面白かった。最初は人を食ったような、ひねくれた癖のある作者だなーと読み進み。主役は一応ブロディで元探偵、今は隠居してる人なんだけど、他の登場人物視点の比重がでかすぎて、どこに向かってんだいと思う。しかし少しずつ人物達に親近感が沸いてくると、結局はこの作品にハマっているという。結構パートナーに好き勝手やられてた人らが立場を逆転させる話となっていて、まあ、いい話かなー。前作読んで変な本、としか覚えてないけど読み直そうかな。恋人のジュリアがひたすらムカつく女なんだが、出てこないで欲しい。
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探偵ブロディシリーズ第二弾も、前作と変わらぬ雰囲気で、「ジャクソン・ブロディ」だけでなく、ほとんどの登場人物が、作者の緻密な観察眼に基づく、血肉の通った味のある人物ばかりで、そこに作者自身の、知的で、感傷的で、シニカルで、ユーモラスで、センスに富んだ表現が加わることで、アトキンソン劇場が完成するわけです。読んでいて、笑ったり、共感したり、為になったり、視野が広がったりで、ため息ものの素晴らしさです。どうすればこんな文章がすらすら出てくるのか、彼女の頭の中って、どうなってるのか気になるくらいに。
また、主要キャラの人生が、事件によって、わずか四日間でこと細かく変化していき、新たなステージに行き着く様には、善や悪といった、はっきりしたものでは計り知れない、人間の奥深さや人生の思いがけない面白さを、教えてくれる気がしました。
マーティンに、グロリア、タチアナにしても。あと、ルイーズも。
そして、個人的にいちばん印象に残ったのは、ジャクソンのパーソナリティを、より知ることができたことです。愛すべき人の良い悲観論者よ。
彼は、結婚指輪をセーヌ川にドラマチックに放るつもりが、気恥ずかしさでそっと投げ入れたり、彼女から、わたしのでなく「わたしたちのカメラ」と言われるだけで胸を熱くしたり、変化を好まない主義でも、逮捕されて、へっぽこ野郎と言われたりする反面、自殺した兄や、亡くなった姉、最愛の娘マーリー、父や母、そして、元女房のことさえも、何度も何度も胸に思い起こす一面もあり、彼の愛情の懐の深さには、目頭を熱くさせるものがあります。
これだけ味のある彼なら、自分の名前を聞かれたときに、「デイヴィッド・ラスティンガム」と答えるくらい、何の問題もないだろうし、死体に対しても、優しく接することができる人柄も納得できます。最も心に残った文章。
「女の頬に触れた。なぜそんなことをしたのか自分でもわからなかった。死んでいるのは一目瞭然。それでも優しい手のぬくもりを感じさせてやりたかったのだろう。命の尽きる瞬間から検死医のメスで切り裂かれるまでの途中に、この不運に心痛める者がいたということを彼女に教えてやりたかった」