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紙の本
食べることは生きることという当たり前のこと
2004/07/15 15:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kay - この投稿者のレビュー一覧を見る
「もの食う」という言い回しに惹かれてこの本を手にした。
バングラディシュの残飯市場から始まり、旧東ドイツの刑務所の食事、無人の村に残る老婆の作るスープ、観覧車の中でのディナー……。
食うということは、なんて様々なことを映し出すんだろうとと感心させられたが、すぐにそれは生きることすべてのことだと気付いた。そういえば、そうなのだ。
そういえば、人は食べずには生きていけないのだった。小腹が空いたからとか、お昼になったからとか、果ては健康にいいからなんて言うその前に、食べなくては死んでしまうのだった。
そんな当たり前のことを、この本はまず半ば荒療治的に思い出させてくれた。そしてそれに気付いたあと、再び読み進めながら思うのは、食べるというその行為を取り巻くものについてのことだ。「この人は、どんな思いでこの食べ物を口にしたのだろう」「こんな食べ物が存在する世界に生きている人もいる」と。
この本の放つメッセージは強烈で、揺るぎない。自分はそれにたじろいだ。人は毎日ものを食う。それ故、食べ物は嘘がつけなくなってしまう。それらの食べ物の語る言葉は、どんな直接的な表現よりもストレートに心に届く。そういえば、自分も毎日ものを食い、生きているからだ。
食べていけるって、幸せなことだ。
紙の本
もの食わねばならぬ人びと
2000/08/03 14:41
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投稿者:だいき - この投稿者のレビュー一覧を見る
人は生きていくためにどんなときでも食わねばならない、と言う事実をまざまざと見せつけ、感じさせる。
金持ちの捨てた残飯を拾い、売って商いをする人、それを買って食う人、紛争の続くクロアチアで、一人誰もいない村に戻り、死を待ちながらパンを焼く人、戦禍に苦しむ人々を見ながら、祈ることしかできない教会の中の人びと、従軍慰安婦という辛い過去に苦しみながらも、歌い、食う人々。どんな人々も、それでも今日を生きるためにものを食う。
作者は触れることを躊躇いながらも、「食う」ことを根幹に置いて、そこに足を踏み入れていく。そこで生きる人々の心に少しでも近づいてみようとする。
だが哀しい話ばかりではない。過酷な重労働の後の、「舌が踊りださんばかりの」最高の「食う」があり、絶大な権力を失った後の、穏やかな「食う」もある。
そこには、社会問題を提起しようなどと言う目的はなく、人はどんなときでも食うのか、食わねばならないのか、というただ一つの疑問を持ち、探っていく作者の姿があり、そしてその人々に対する温かい感情がある。
単なる社会派ルポではなく、純粋なまでに「食う」にこだわった、読み応えのある一冊。
グルメ番組が連日放送される、飽食の国日本。反省を促されるでもなく、考え直させるわけでもなく、ただ、何かを少しだけ知ることができたような気がする本だ。
紙の本
忘れられない本
2019/04/11 08:01
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投稿者:さなにょろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みながら百面相しました。
食べるという行為が持つ意味を、改めて考えさせられる作品
紙の本
食事という行為から国々の社会背景を浮彫にさせた一冊
2015/10/13 13:11
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投稿者:たる - この投稿者のレビュー一覧を見る
「調べる技術・書く技術」の本文で紹介されていた中で一番興味をそられたので手に取った。「食」という生き物の根本的なテーマにしたルポタージュ。 120円の猫缶を作る工場労働者の食事は一食50円。 以下引用‐「日本の猫のための缶を作っていること、どう思う?」(略)「関係ない。ただ働いているだけよ。」(略)「質問されなければならないのは私たちのほうなのだ。あなたの家の猫が食べているその猫缶が、どうやってできたものか想像したことがありますか?」-引用終わり