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占領とかホントに未来を暗示してそうでこわい。
最後まで読んで空恐ろしい感はあるけど
スカッとはしないかなあ・・
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7編の反社会的(?)な物語。
特に印象的なのは、「無能児はバラ色の夢を見るか?」(タイトルは間違いなく、フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』からとっている)だ。
出生前診断で異常ありとされた実に9割異常が中絶を選択しているという(出典:毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20160425/k00/00m/040/119000c)。
それは仕方のない部分もあるだろう。
やっと授かったから、社会保障もある、そんなことを言っても、育てる親の責任は重い。
私が死んでしまった後は誰がこの子の面倒を見るの、仕事は続けられるの、育てられるの、どうして私が。
不安や恐れはあまりに大きな現実としてやってくる。
私は8ヶ月の時に子供に内部障害が見つかった。
当然中絶できる期間は過ぎていた。
ショックではあったが、望んでいた子だったし、きっと、大丈夫、と言い聞かせた。
でも、もっと前にわかっていたら、違う障害が見つかっていたら、どうしただろう?
命の選別だ、そう言われたとしても、それをせずにいられるほど、この社会は温かく思いやりがあり、充実しているだろうか?
なぜ私たちの税金で役立たずを見てやらなきゃいけないんだ、生きる意味なんてあるのか、そんな考えから起きた神奈川の事件を他人事と思えない親は私だけではあるまい。
ラストには愕然とした。
医療は100%はなく、命は神の領域だと思わざるをえない。
「命の重さ」も考えさせられる。
献血が趣味で、よく行く。
ドナーにもなりたい、そう思うけれど、家族はいい顔をしない。
そして私も、今、死んだとしたら、自分の年齢以下の人に使って欲しいと思う。
それは命に優劣をつけているのだろうか?
他にも老人福祉、不倫、不妊、......どれも興味深いテーマばかり。
単なるSF?
いや、これは自分の中にある、自己中心的な心が体現されたパラレルワールドである。
それを否定するか、受け入れるか。
どちらにせよ、それによって、我々は自分の醜い姿を実感させられることだろう。
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なかなか皮肉っぽい内容ばかりの短編集。初の作家だけどまあまあ。それなりに面白かったけどイマイチ好きにはなれない…話の系列かなぁ。
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医療に関する事項をベースにしたミステリーの短編が7つ.どれもニヤリとするような話だが,「不義の子」が面白かった.岩倉右幸には弟の左幸がいて,医師としてやっている右幸とは全く違う人生を歩んでおり前衛芸術家として一応の成功を収めている.右幸の妻のりゅう子が懐妊したが,彼の海外の学会で出張中に出来た計算になり,右幸は悩む.同僚の杉尾に相談したり,左幸の仕事場を訪ね,弟の日頃の行動を同僚から聞き,安堵の気持ちをもった.が,りゅう子のしたたかさには唖然とするものがある.女の心はわからない.
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医療問題を基調にした短編集。人間の屑、無脳児はバラ色の夢を見るか?、占領、不義の子、命の重さ、のぞき穴、老人の愉しみ。ちょっと後味が悪い。
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法に護られた高齢者と、死にものぐるいで働く若年層に分断された社会。若者は圧倒的な劣勢で。(「占領」)「働かないヤツは人間の屑!」と主張する愛国一心の会が躍進した社会で、病人は。(「人間の屑」)七編。
医療の近未来を描く、キケンな短篇小説集!
+++
いま現在、本書に描かれた世界はまだ想像の域を出てはいない。だが、完全に絵空事だと言い切れる自信はない。いずれこんな社会になったとしても不思議はないとどこかで思ってしまうことが恐ろしくもある。何かきっかけがあれば、人々があっけなくある流れに呑み込まれ、流されていくことはよくわかっている。本作はその心理をとらえて見事であると思う。こんな世界にならないことを強く願い、安易に流されないように身を引き締めていかなければ、と思わされる一冊でもあった。
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自分勝手な立場から見れば善でも
反対側から見れば とんでもない悪にもなる
自分の信じる善が
偽善じゃないと思えるのは
大層幸せなことなんですね
人のことを考えなければ
お花畑な自分の正義が一番
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どれもこれも面白かった!
近未来的。現実的。「のぞき穴」はミステリーそのもの。
今の医療保険制度ってもっと議論検証されるべき。崩壊直前だもの。言い出す勇気がないヒトばかりだわ
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短編7つ。高齢、少子化、障がい、といった問題を医事に関わる話題でシニカルに触れる。2017.9.29
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努力を称え心を病む者に屑と吐き捨てる社会、出生前診断の結果に悩む妻と世間の強い声、高齢者に有利で若者に厳しい近未来の三編が、問題提起の風味もありながら説教臭さのない独特の軽妙さ、斜に構え掛けても嫌味のない絶妙さで引き込まれた。他、劇団主宰なDNAの同じ双子の弟の不義疑惑、ドナーの葛藤と落胆等、全七編。
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医療をテーマにブラックな読み心地でまとめられた短編集。とことん皮肉で悪辣な読み心地なのだけれど、まるっきりの絵空事ではなく。さすがにここまで極端ではないものの、こういう要素は現実にもあるということを忘れてはいけないよなあ、と考えさせられます。
お気に入りは「不義の子」。これが一番ミステリ的にやられました。なんとも皮肉だけれど、くすりと笑わされる部分もあるかも。当事者だったら、笑えないでしょうが。知らないのが幸せですよきっと……。
「無脳児はバラ色の夢を見るか?」はひどく考えさせられた作品です。出生前診断、たしかに手軽になった分余計な不安をしょい込むことにもなってしまうのですが。それが良いことなのか悪いことなのか、いくら考えても明確な答えは出そうにありません。
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医師ならではの知識と視点から痛烈に社会を皮肉る短編7編。ブラックと切り捨てるのは簡単ですが、全くの絵空事と片付けられる人が何人いるでしょうか。もうほとんどホラーのようで途中から読み進めるのが怖くなって、逆にすごい勢いでページをめくってしまいました。近い将来、いったいどんな世界が待っているのか。私たちはどんな選択ができるのでしょう。
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『老乱』がよかったので、続けて読んだが、こちらは私にはもうひとつだった。暗いというのか、希望がない感じが読んでいてしんどかった。
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医療や制度に対する問題点を取り上げているが、SFの短編集を読んでいる気分。
ブラックユーモアというか…所々含み苦笑いが出てくる。
全体的にテンポよく読みやすい。
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最初の寝たきり老人の皮肉ってる話、読んで鬱々とした。
そんなに暗くしないでも、、と迷惑に思ったくらい、読むのが嫌になりそうなレベルの、
クセつよつよ爺だった。