紙の本
ハッピーエンドじゃないけれど…童話のような読後感
2008/10/14 20:20
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たそがれ1212 - この投稿者のレビュー一覧を見る
重松節炸裂の文庫オリジナル短編集。
どのお話もハッピーエンドというわけではないけれど、ラストにはささやかな優しい光が一筋、人物たちを照らします。その光が導く先は幸福かそれとも不幸か…ここでは完結しない諸々のお話たち。「描かなかったその先の世界は、読んだ皆さんが紡いでいってください」そんな作者からのメッセージを感じます。
陽のあたる午後に、そっと読みはじめてみてください。童話のような語り口に心が静まり、刻が心を温めてくれるはず……
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カバー絵が
2020/08/03 07:18
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投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても良い!「みぞれ」が空から降ってくるものではなく、かき氷の「みぞれ」を思い出しそうな…そういえばノストラダムスの予言は「7の月」などと言われ、夏に不吉なことが起こるように言われていたな。
夏に読むのと冬に読むのと、感じ方が違うかもしれない。
紙の本
疲れた心に
2012/11/07 09:34
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
重松作品はいつもストックしてあって、何だか心がささくれ立った時や疲れた時に、手に取ります。どの作品の主人公も、大体悩みを抱え苦しみを抱え、それでもまた前を向いて歩いて行こうという物ばかりだから。本作品もまた、そんな人々の短編11編。
11の短編にはもちろん、11の生活や人生が描かれています。それらを順に読んで痛感するのは、やっぱり人生色々って事。至福に満ち溢れた何の不満も苦しみも無い人生なんて、ありはしない。でもみなそれぞれ、一生懸命生きているのだという事を感じさせられます。
この作品の主人公たちはみな、大きな夢を持っているわけではありません。ただ幸せに平凡に暮らしていたいと、そう願っています。そしてそれはそんなに難しい事じゃない、自分の周りを見つめて手の中にある物をしっかり掴まえて、満足する事。それが望み。でもそんな小さな幸せにさえ、困難が付き纏ったりもする。そこをどう乗り越えて行くのか。
実はこれ、現実では中々難しかったりもします。どうしても人と比べてしまう、色んな情報に惑わされてしまう。そうすると自分の手の中や、足元が見えなくなってしまう。次第に心はささくれ立ち、どんどん疲れてしまったりします。だからそんな気持ちになった時は、ぜひ重松作品を手に取ってみる事をオススメします。きっとまた「幸せのあり方」を、思い出させてくれるに違いありません。
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気分じゃなかった、それだけだけど、
本読んでまで、嫌な気持ちになりたくないなあ・・・と感じてしまった。。。
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冴えない中年を書かせたら右に出るものがいない重松さんの短編集。
今回の話は中年半分、若い人半分の割合。
石の女はズルい、犬ズルい。
へなちょこ立志篇はもう少しロングでもきっと面白かった。
望郷波止場は、そりゃもう泣くよね。
重松さんらしい、日常のちょっとしたあれこれを暖かく抜き取ったよい短編でした。
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重松さんは、人の心の中の機微を書くのがうまい作家だなあと改めて思う。
誰もが心に秘めている悲しみや淋しさを人には伝えられず頑張って生きている。
でも、どこかにはわかってくれている人も居る。
一人居てくれるだけでも、明日へのエネルギーが湧いてくるのである。
そんなに強い人間ばかりではないはず、とちょっとホッとする。
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昨年の夏。
角川文庫から発売された『みぞれ』を今頃、読みました。(苦笑)
短編集だったので、読む物が無い時にポツポツ読んでいたのです。でも、読んでみて思ったのですが。
この本発売は夏でしたが…今の時期、冬に読んだ方が向いてますよね?と思いました。
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いろんな世代の人が読んで、「あ、自分に当てはまる」って思うような短編集じゃないかな。
私は拝啓ノストラダムス様とか電光せっかちがよかった。
人によって、全く感情が描かれてない人物もいるからその人をどう取るかとかもかなり読書力も要するんじゃないかななんて考えたけど。
温かくなるそういう話だたかな。
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人生は一度きり。
だから、たくさんの人生を読もう。
あー、重松清だなぁ。って納得の11のお話。
どうしよーもないような、まいっちゃうよっていうような
そんなことばっかりなのかな、誰の人生も。
わたしだけじゃなくて、みんなうまくいかないことばかりなんだ。
それでも、ささやかな喜びで笑顔になって、
少しの方向転換で前を向けるようになって、
そうやって、とまどいながらもなんとか
頑張っているんだなぁ。なんて。
重松清の作品を読むといつもいつも、
どうしようもないことが当たり前で、
だからこそ小さな幸せを大いに幸せだとかみしめるのが
凄く大切なんだって、気付かされる。
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短編集。この人の書く家族の物語って、ほんとにあったかい。涙が出つつも、前向きになれる。
個人的にはやはり、表題にもなっている「みぞれ」がオススメ。
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「息をするように「お話」を書きたい」
あとがきに重松さんがそう綴っていました。
その言葉が物語っているような、11の物語の短編集。
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11の短編集ではあるが、いずれも秀逸な作品。
その中でも「メグちゃん危機一髪」「石の女」という2編が気になった。
「メグちゃん危機一髪」は、40歳を過ぎ同期入社の2人のどちらかがリストラ出向となるという話。
そんな事情をよそに、目黒川に出現したアザラシの「メグちゃん」が登場。(当然、多摩川のタマちゃんがモデル)
サラリーマンの悲哀さと、メグちゃん人気で川べりに集まる人間の集団心理のノー天気さの比較がリアリティがある。
「石の女」は結婚16年の41歳の夫婦の物語。この夫婦には子供はいない。
しかし女性友達についた嘘がキッカケとなり、子供がいるという芝居を打つことになるのだ。
実は我が家も結婚して7年目にしてようやく長男が生まれたが、それまでは不妊に悩んだことがある。
カミサンも自分には子供ができないのか・・と真剣に考え、専門医にも通っていた。
世の中には色々な夫婦の形があり、それは「子供がいる・いない」には関係ない。
この物語の夫婦も、この嘘の芝居が契機となり、また絆が深くなっていく・・。
いずれも人生の機微を上手に描いた作品であり、★4つというところ。
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紀美子のふくよかな笑顔を思い浮かべると、こっちまで頬がゆるんでくる。
たとえば何か負い目があってのことだとしても、こんな愛情で包まれたいと思った。
重松さんの話には短編にも長編にも、少しの希望と沢山の現実が詰まってて、時々逃げ出したくなってしまう。
だけど結局捨てきれない、そんな力のある作品。
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重松清って苦手です。
若者の会話部分が、すごい作り物っぽいから。
「中年の思う若者の話し言葉」っぽくて。
よくこの人、話の中で
「家族のあたたかい風景がうそ臭く感じられる」
みたいなのを書いているけれど、
作品が全般的にうそ臭い、
というか、うわっつらなほのぼのぶりだから、
いまさらそんなこと言われてもなあ、
と、読みながら思ってしまうのです。
まあ小説自体がうそといえばうそなのですが。。
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優しく、重く、深い。短編集ですがとても心に残りました。少しずつ、元気と強さをもらえた作品。何度も読み返したいです。