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我が国最大の説話集『今昔物語』が現代語訳で楽しく読めます!
2020/03/08 10:44
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、我が国古代に編纂された最大の説話集と呼ばれる『今昔物語』(全31巻で構成)の中から本朝(日本)説話を収集した原書の22巻から31巻までをおさめたシリーズです。同シリーズは上下2巻に分けて出版され、同書の下巻では、そのうち27巻から31巻までの説話が収録されています。「冷泉院の水の精」、「人の形となりて捕へらるる語」、「東三条の銅の精」、「人の形となりて堀り出ださるる語」、「在原業平中将の女」、「鬼にくはるる語」などが現代語訳で楽しく読めるようになっています。ぜh、この機会に我が国最大の説話集に親しんでみてはいかがでしょうか。
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巻第二十七 本朝 付霊鬼
巻第二十八 本朝 付世俗
巻第二十九 本朝 付悪行
巻第三十 本朝 付雑事
巻第三十一 本朝 付雑事
訳者:武石彰夫(1929-2011、文京区、仏教学)
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高校の古典の時間には意味を掴むのでいっぱいだったが、現代語訳なので古典がスイスイ読め、話自体の面白さを味わうことができる。
だいたい一話2.3ページ程度で、この巻だけでも180もの話が連打され、目眩がする。
付霊鬼、怪綺談に興味があって読む。
知らない山小屋に泊まろうとして鬼に食い殺される話が多い。
どの話も最後に一言、教訓めいた総括がなされるのだが、知らない家に泊まってはいけない、ってそりゃそうだろと思う。
また、鬼に襲われるのには道理があるものの、狐や狸は理由なく化かそうとしてくるらしく、ほとんど逆に狐が殺されて話が終わる。
羅生門、藪の中、鼻など芥川作品の元になった話が出てくるほか、聞いたことがないくらい奇妙な展開の話があったりして昔の日本人やべえってなる。
巻第三十一、本朝、付雑事、第十三〜第十五の異郷説話、かくれ里の話が特に好きだ。
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評価は上巻と同じで、「本文は面白い。解説はクソ。」
人間は千年経っても本質的には変化していないのだと感じさせられる。エピソードの範囲も広く、風流の世界から庶民の生活、僧侶の世界、オカルト、武士(侍)など様々な階級の人々を扱っているし、(基本的には京や近畿中心だが)蝦夷の話や東国の様子も扱っている。
一方、解説だけなら2点がつくかも怪しい。
何につけても仏教と絡めようとするが、「今昔」の説話すべてが仏教に通ずるとは思えないし、内容も独りよがりで著者の興味のあることを書いているだけ。あれは「解説」ではない。
物語の背景には当時新興の仏教以外に神道の影響も強く感じられるし、貴族と庶民の生活や価値観の違い、共通点(当時の常識)についても解説が無ければ「今昔」の幅広いエピソードを理解する助けにはならない。
時代背景も、武士の台頭する時代=非貴族階級の活躍や社会不安について論じなければ一部エピソードの残酷さや生きづらさの意味が伝わってこないのでは無いかと思われる。
女性を物語の中心に据えた説話も多く(特に庶民の女性の話もいくつもある)これも当時としては珍しいことのようにも感じるが、その点の解説もないようだ(;解説は途中で読むのをやめたため詳細は不明)。当時の男女の扱いの差は大きく、それぞれの生き方の違いは解説すべき内容だと思うのだが・・。