投稿元:
レビューを見る
平成天皇が、生前退位を表明した時に、
『平成』が どのような経緯で つくられ発表されたのか
と言うことに、興味があり、読んでみた。
天皇と言えども、ニンゲンであるが故にさけられない事実『死』。
神でないことの証明。
そして、天皇として、生まれたのが 宿命と言うか ウンの尽き。
『生前退位』というべきか『禅譲』というべきか。
その決断は、かなりのルール破りとなる。
著者 青山繁晴は、現在 国会議員。
そして、昭和から平成に変わる時に、
ここで登場する楠陽が、自分のモデルと思われる。
新聞記者で政治部に所属していたが、
特命として、天皇担当をしていたようだ。
『楠陽』というネーミングが
楠木正成と陽明学をイメージする。うがちすぎか。
『主権在民』をうたった憲法のもとで、
天皇が 吐血し、死に至までの経過の報道と
昭和から 平成に年号が変わる時に、
どのように 平成が決まったのか という2点に焦点が当てられる。
天皇を太陽とあがめ、そして、文体まで違う丁寧さ。
この主人公 楠陽は どういうわけか 鼻血をたらす。
なぜか、それが もどかしい。主人公がぼんやりしている。
なぜ 鼻血が出るのか?よくわからないし、医者にも行かない。
それに、女子に対しては殆ど鈍感でありながら
白馬の騎士たろうとするところに 人格的な不鮮明さが出る。
そのことを、記者たちは 噂する。
ふーむ。記者クラブも なれ合いと談合と言うシーンが、
やはり、新聞って あかんなぁと思ったりする。
日本社会の慣例に 反発する 帰国子女 天田原。
セクハラで、尊厳をきづつけられたと思う 佐久木綿子。
逃げないで、天皇を特別におもう 記者 元寇。
総理の官邸で働く、赤錆の母親への想いと理不尽。
そういうものを、必死にうけとめようとする 楠陽。
良いと悪いの腑分けができ、悲しいことには涙する。
昭和天皇の死への報道は まったく 分を争う競争の中にあり
人とのコミュニケーションで成り立つ。
しかし、昭和につづく 新しい年号は、
誰がつくり、それを決定していくのか という過程の暴き方は
おもしろいが、やはり 記者という身分では 起こっている事実が
よくわからないところがある。
そして、安岡正篤が出て来ることに、なるほどと思わせる。
彼は、正統派の 陽明学者なのだ。そして天皇が死ぬ前の昭和58年に死んでいる。
その時間軸を どううまく国民をごまかすか に腐心する。
たしかに、平成天皇がこの本を読めば、報道、自粛、ルールの確立など、生前退位をきめかねない面倒臭さがある。
投稿元:
レビューを見る
フワフワとしている。昭和と平成の狭間のとき、いわば「真空」ともいえるような時間と空間がそのように見せているのか。ノンフィクションとしては書けない、あえて小説として表現しているためなのか。
昭和天皇の崩御。読んでいてそんな掴みどころのない時間の流れと昭和が終わっていったことの重みのようなものを感じた。
投稿元:
レビューを見る
20160919
ジャーナリストとして、我が日本の事を熱く語り、歯に衣着せない論評が好きで、テレビやラジオを好んで聴いている青山繁晴氏。
この度参院議員となったタイミングと、天皇の生前退位が話題となり、文庫として出版された本作を購入。
早速読んでみるが、最初から一体何を言いたいのか、いつの話しなのか、誰が話しているのか、なぜ主人公は鼻血ばかり出すのか、情景描写が多い割りに全く情景が伝わらないのはなぜか、どれくらい読み進めれば面白くなるのか、とにかく疑問だらけで、我慢しながら読み進めてみたが、自分には理解不能と判断し、残念ながら30ページ程で読了とする。
せめて中古で買ってたらここまで残念に思わなかった。
そもそも、ドキュメンタリーとして記すべき内容を、なぜか小説の体をとっている事が間違いのように思える。
また、少し期間を置いて、気がむいたら読んでみようかな。
投稿元:
レビューを見る
昭和天皇が重篤な状態になられた時、日本が、だんだんと、おかしな雰囲気になったのを思い出しました。自粛ムードとか自然発生して、天皇の存在の大きさが表に出た時でした。今の退位発言を取り巻く雰囲気はあの頃を連想させるものがあります。青山さんの解説は面白いけど、作家としてはどうでしょう?小説にする必要はあったのでしょうか?
投稿元:
レビューを見る
平成もわずかだな、との思いと、アマゾンのセールが奇跡的に出会い購入。昭和天皇崩御にまつわる記者の活動について、恐らく実体験を踏まえた小説。昭和から平成に変わることの意義、元号に込められた同時の施政者の思いと某略など、大変熱く、一気に読めた。フィクションの薄そうな部分ほど面白いという気がする。記者の仕事の意義にも触れられた良本。燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや、という謙虚さを持って、今後の政治も見つめたい。
投稿元:
レビューを見る
昭和の終わり、新しい元号(平成)が何になるのかいち早く知り、報道するミッションを受けた通信社の政治部記者のお話。
どこまでがフィクションなのか全く分からないほどリアルな描写でグイグイ引き込まれて、あっという間に読み終えてしまった。
この平成ももうすぐ終わり。
今も記者の方達が命を削って、次の元号が何になるか駆けずり回っているのだろうか?
時代と、実体験をベースにした内容が「ボクたちはみんな大人になれなかった」に近い気もするけど、共感レベルはこちらの方が遥かに高い。
投稿元:
レビューを見る
記者の視点で昭和から平成への転換点を描く.「平成」が選択される過程はもちろん記されているものの,解説書的なドキュメントとは異なる.それよりも当時の空気感みたいなものが主人公の行動を通して伝わってくる.
投稿元:
レビューを見る
青山氏の現在まで変わらない原点の考え方が込められています。元号の決定がコアですが、天皇陛下への思い、女性差別など色んなテーマが読み取れます。
投稿元:
レビューを見る
平成天皇にいたる数年間の間の記者目線の物語。
少し構成の組み立てを考えれば、もっと読み易く、意義ある一冊になる可能性は感じました。
題名負けしてる感じだけど、歴史の瞬間を間近で見た人の日記と思えば、悪くない。
手に取ったタイミングが、令和発表でなければ★5じゃないかもだけど、半ノンフィクションとしてなかなか知りえない内容で良かった。
改元のことが毎日のようにニュースでやっているので、漢文の事や学者の選定、政治がどう絡むのか?、憲法の穴や象徴天皇制の課題など、たかが改元、されど改元、なんだなーと。
「平成」になる時の色んな方々の苦悩が、ものすごく理解出来た時間になりました。
投稿元:
レビューを見る
泣けた、とかいう狭義の意味ではなく、もっと広い意味での感動のきわめて少ない一冊であった。
天皇崩御、新元号決定。どのような人がかかわり、どのような苦労や思惑があるのか…といったことを間近にいた青山氏の等身大の存在である主人公の記者を通じて知ることができる。
ただ、読んでいて盛り上がることなく、ふうん、ここまで心血注いで、取材なり報道なりせなならんもんかな?報道、記者って不思議な生き物やなあと一歩二歩さめた感想を抱きつつ読み、それが最後まで変わることはなかったのは否めない。
その、過熱報道や自粛ムードの日本に対するむなしさが、作者がこの作品に込めたメッセージなのだろうか。
今という、歴史的な、平成から令和への過渡期においては、ふうん、と読むくらいの価値はあるのではないでしょうか。
投稿元:
レビューを見る
令和に変わった時、元号を誰が決めてどういう裏話があったのかなど恥ずかしながら正直何も興味がなかったです。しかしこの本を読んでふと「令和」はどうだったのだろう、昭和のジャーナリズムと令和である現代のジャーナリズムは何か違うのだろうかと興味を持ちました。
日本の象徴である「天皇」の崩御の前後、縁のある目の前の仕事に真摯に向き合い、自粛とジャーナリズムの狭間で揺れ動く筆者の心情に自然と引き込まれてしまいます。
「令和」は万葉集にある(漢文での序)「初春(しょしゅん)の令月(れいげつ)にして 気淑(きよ)く風(かぜ)和(やわら)ぎ、...」という文から採り、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味が込められているそうです。
「令和」に決まった瞬間は「ふうん」としか思わなかったけれど、様々な人が心をかけてこの世に産み出されたものだと思うと、急にこの元号が愛おしく感じるようになりました。
どんな出来事にもたくさんの人の思いがつまっている。流れゆく日常のなか、ふと足を止めさせてくれる一冊です。