紙の本
2つのお話
2017/03/25 17:01
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投稿者:ぽんぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「水色の指」「サヨナラ・シンドローム」の2部構成。
男の子目線と女の子目線と。
金魚の町でいろいろ考えながらも成長していく的な話でこどもは共感できるところもあると思う。
紙の本
『金魚たちの放課後』
2016/12/27 19:22
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京の東のはずれにある金魚の街を舞台に
子どもたちの友情と成長を“ゆらゆら”描く物語
前半は生き物を育てるのが苦手な小学5年の灰原慎の視点で
後半は3年後、3度目の転校を前に心ゆれる中学2年の遠藤蓮実の視点で
しずかに進む日常が語られる
はやりの児童文庫タイプではないけれど
高学年に手にしてほしいしっとりと心にしみる一冊
“人”が描かれていないカバーは児童書にはめずらしいが
読了するとカバーのさまざまな金魚たちが登場人物に見えてくる
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あらゆる生物たちを育て続けることができないと思う少年と、転勤族の親を持つ少女、それぞれの視点から金魚畑のある街で成り立つ2つの物語。
この話を読んで金魚について詳しくなった気がする。まず金魚畑というものがあるということを知らなかった。卵から稚魚を育てる過程、そして金魚は太平洋を渡れない。
家族のあれこれ、引っ越し、進路、そしてその街に居続けるということ。
小学校高学年からから中学校までの子どもで、でも子どもすぎない微妙な繊細さを巧く描いてる。
が、あまり心には響かなかったかなぁ…前作良かったんですけどね。
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中学生くらいなら、共感する部分が多そうな一冊。大人が読むと、なんだか懐かしくなるノスタルジックな一冊。子どもの頃に読むのと、大人になってから読むのでは、異なる登場人物に共感できたり、また違った読み方・感じ方ができそう。静かに、でも確実に流れていく時間のなかで、人間関係であったり、大きなくくりで言うと、いきものを大切にするとは、命とは何なのかについて、考える機会をくれた。
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金魚。小学校。中学校。2編。
生き物や植物の世話をしてもしても死んでしまうという少年の話。転校を繰り返し、同級生との関係に儚さを覚える少女の話。
読んだ時期が時期だけに、胸がつまってしまった。
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『水色の指』
5年生の灰原愼(はいばらしん)には、人知れず悩みがある。飼っているペットや育てている植物が、必ず、死んでしまうのだ。ちゃんと飼い方を調べてケアしていても、だ。金魚の産地でもある地元では5年生になったらメダカではなく、金魚を飼う。卵の状態からクラスで孵化させ、ある程度大きくなったら、みんな自宅に持って帰るのだ。
親友のタビは、いい加減に飼っているようなのに、植物でも生き物でも元気に長生きさせている。これは、外国の児童文学『緑の指』にあるような、植物を元気にさせられる才能があるってヤツじゃないか、そしてオレは、それとは反対の「死の指」を持っているんではないのか、と思う。
そして、自分の金魚の弱ってきたやつを、タビの水槽に入れ、タビの水槽から元気なやつを自分の方に入れる・・・という事を早朝の学校でこっそりやっていたのだが、それを遠藤さんに
見つかってしまい・・・。
『サヨナラ・シンドローム』
前作の4年後。主人公は遠藤蓮実。中2になった蓮実の家には、金魚が増えて11匹になっている。
灰原くんはかっこいいし、勉強もスポーツもさらっとこなせてしまうからモテるし、いろんな部活から勧誘されていたみたいだけど、放課後は金魚畑でお手伝いをしていたりする。
親友の花音が灰原くんを好きだから、蓮実も金魚畑に行ったりするし、金魚は好きだ。
けれど、父親の仕事の関係で4月からアメリカのボストンに引っ越しをすることになった。日本人学校がないとも聞いたし、大変な事がたくさんあるなか、金魚はアメリカに連れて行きたいと思う。
4年前に賭けで「蓮実が勝ったら」、もし自分が引っ越しするような事があったら金魚は灰原くんに引き取ってもらう、と言ってはいたけど、さすがに何年も前の約束で11匹に増えた金魚を預けるのは申し訳ない。そして、蓮実自身も金魚を連れて行きたいのだ。
アメリカ行きが決まって、親友の花音にもなかなか言えずにいた。そして・・・
灰原くんが金魚を丁寧に飼っているにもかかわらず、死なせてしまうことの悩み。「死ぬこともあるよ、生き物だから」そして、金魚畑の企業秘密。死ぬということ、選んで、生かす、育てるということの現実を知っていくのがいい。
蓮実の視点で、少女たちの友情、転校してリセットする人間関係、サヨナラが決まってからまつわる感傷的な出来事に共感。
おまけ的にでいいから、タビの視点で灰原くんやクラスのかんじがわかるお話も読みたかったな。インド人のサミルも。
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2つの小説が入っていて、登場人物は共通。一つ目は男の子が主人公で、次は女の子。ああ、川上未映子の『あこがれ』みたいな、と思ったが、こちらの方が正統派の児童文学という感じ。
初めの「水色の指」は、生き物を上手く育てられないことがコンプレックスの慎が、成長する様子を描く。確かにテキトーにやっているみたいなのに動植物を上手く育てられる人とそうでない人といるが、育てられる人はテキトーに見えてもちゃんとすべきところはきちんと押さえていることが多く、そうでない人はやっぱり世話や手入れをめんどくさいから先延ばしするタイプ。だからこの主人公のようにきちんと手入れしているのに死んでしまうなら、仕方ないんじゃないかと思うが、子どもって、変に真面目なところあるからね。育てられる人の水槽の金魚と入れ替えたりするシーンはおかしい。もうちょっと家庭の事情なんかも突っ込んで書いても良かった気はした。
2作目は1作目の4年後で、登場人物の子ども達は中2になっている。急にアメリカに引っ越すことになった蓮実の心の動き、女の子の友人関係のややこしさはリアルで、本当に気が合ってるのか分からないのに、一旦「友達」ということになっちゃうと、その関係からなかなか抜け出せない不自由さはよくわかる。歳をとると、合う合わないもわかるようになり、合わないなら無理せず、一人でいたってどうってこともないが、中学生くらいって、一人でいること自体が難しいからなあ。本当に窮屈な年頃だと思う。しかし、そういう経験を重ねて自分や人間関係が分かるようになってくるのだ、ということが上手く書いてある。
良い作品だった。
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前半と後半で主人公が変わり面白い作品。小学校高学年から中学校の繊細な男女それぞれの心の動きが描いてある。
〜小学校4年生
金魚、友達、学校生活、東京、海外引っ越し
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6年。真面目なのに生き物を上手く育てられないことへの周りへの妬みや自分への不安を持つ少年と、転勤族の親を持ち、変わらない存在の金魚を連れて行こうとする少女のお話。文学的で、淡々と不安感やネガティブさが見える中で、金魚に想いをかける姿で子どもながらに持つ繊細な心を描く。