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201609/食の安全安心をテーマにした長編。主役のエイミ達より、堀田や片岡・フィリピン女性陣のキャラが秀逸で面白かった。日頃「なんとなく気にはなるけど…」と思いつつ便利さに頼ってしまう食品類、今迄以上に手に取るのを躊躇してしまいそう。
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ハイテク農業がテーマの本。
自分はビバ自然農法、みたいな考えはしないけれども、子供が食べるものはという点では、やっぱり安全で美味しいものがいいなと思った。
植物工場やGM作物にそこまで抵抗感はないけど、農作物を工業製品みたいにいつでも安定的に生産しようってのは間違ってるように思う。
野菜は安すぎなのかも。スーパーで5000円買うとしたら、野菜は1000円もいけば多い方だしな・・
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農業や工場システムの専門的な説明部分は難しかったが、とにかく、先へ先へと読ませるパワーがすごい。
大学の農学部出身で、父親の代の『食えない農業』『閉鎖的な農村社会』を否定し、新しいやり方で仲間たちと農業を営んでいる、三浦剛。
しかし彼は、大企業に「野菜工場」として土地を提供する羽目になる。
投資顧問会社の人気経済アナリストだった、加藤栄実は、社長の不祥事に巻き込まれ、マスコミにさんざん叩かれた末、故郷に逃げ帰る。
深夜の野菜工場で働き始めるが、そこでの外国人労働者の悲惨な労働事情に驚く。
市川聖子は、玉の輿で開業医と結婚したが、セレブ社会ではじかれた末離婚、栄実と同じく故郷に帰る。
彼女は一念発起して資格を取り、4つの学校で栄養教諭として働くこととなるが、子供たちの健康状態の変化に危機感を感じ始める。
3人は同級生。
彼らが、食品の裏の『ブラックボックス』に疑惑を持ち、つぶされたり、巻かれそうになったりしながらも戦っていく物語だ。
これはある意味、『食品クライシス』?
日本が、いや、世界中が、向かっている先は、やはりハイテク野菜工場なのだろうなと思う。
スーパーでの買い物もなんだか怖くなってしまう読後感。
諦めるしかない部分もあるのだろうが、やはり、給食には安全なものを使って欲しいと思う。
圧力に負けずに子どもたちを見守りつづけた聖子に、MVPを送りたい。
ヒールとしての片岡の存在が面白いアクセント。
映像化もいいかもしれない。
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久しぶりの篠田節子。面白かったけど こわかったなぁ。ふだん手抜きでカット野菜とかお手軽なもので生活してるから ほんとこわかった。手作りが1番安心でいいのはわかるんだけど いったんラクを覚えると元には戻れません。
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食品工場や植物工場を題材にした怖い小説。いろいろな出来事が起るにつれ、だんだん気分が悪くなってくる。自分が食べているものは大丈夫かと困惑が広がっていく。また、そこで働く外国人研修生の過酷な環境と彼らの事情などにも思いをはせる。登場人物がもつ多面性にも多く触れられている。感覚的に受け入れられないものと対比的に描かれる太陽のありがたみを実感する。
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ひと言で言うなら、会社の同僚に「読み終わったんで、よかったらどう?」と渡されて。読み始めたら「あのヤロー」と思う本、って感じ?(笑)
いや、面白いんですよ。それも、かなり。
ページもどんどん進む。
でも、それは個々のエピソードであって。600ページの小説として面白いかとなると、うーん…、みたいな(笑)
(評価の★を一つ減らしたのはそういう理由)
篠田節子はかなり好きで。実は、唯一サインをもらいに本屋に並んだことがある作家だったりするんですけど。でも、一時期ヨーロッパのホラー(?)みたいな、似たような本が続けて出た時があって、あれでイヤんなっちゃったんですよね(笑)
そんな久しぶりの篠田節子でしたけど、やっぱりさすがだなぁー。
この同じようなエピソードが延々、延々、延々…続く、続く。さらに続く600ページ弱を一気に読ませるんですから(笑)
いやもう、盛り上がりなんて、ほぼナシ!(爆) ←100%褒めてます
そんないやはや…な小説ですが(いや、面白いんですよw)、小説としての面白さはともかく、何がスゴイって、篠田節子節(ややこしいw)な耳の痛い文が目白押しなのがスゴかったです。
もう、食品会社は元より、技術系の会社、というより仕事している人なら読んでおいた方がいい、示唆に富んだ文章のオンパレード。
読んでいて、カツンとくる人もいると思うんですけど、でも必ずカツンとくる人の立場にたったことも書いてあるのが、またスゴイ!
「科学的」じゃないと世間から馬鹿にされ相手されなくなっちゃった結果、逆に「科学的」という言葉さえ付いていれば、その「科学的」の論拠がいいかげんでも“科学的なんだから正しい”ともてはやされる今の日本。
個人的には、最初の方、サラダ工場のパートであり、チーフでもある堀田が「科学的に安全だと言っても、体が拒否するものはおかしいんだ」みたいなことを言う場面、あれはちょっとガツン!ときました。
だって、ついこの間まではそういう人はいっぱいいたのに。今は私もそうですけど、みんな、ネットで調べて。ネットで専門家がこう言っているから、それが絶対正しいって思いこんでるじゃないですか。
そう言っている「専門家」なんて、何がどう「専門家」なのかわかりゃしないのにさ。
堀田みたいな人って、ちょっと前までは普通にいたんですけど、今はそんな風に肌感覚で物言う人ってあまりいないですよね。誰もが「科学的」な理屈で物言っている。
もちろん、肌感覚だけの物言うが困るのは確かしょう。でも、人間である以上、間違いは必ずある。人智の及ばないことだって起こる。
そういった事態に対処するために理屈と肌感覚は両輪で、とても大事なことのように思うんだけどなー。
ただ、そうは言っても理屈をパーっと並べた方がカッコいいというのはあるし。
また、テレビやそれに出てくる人なんかだと、科学的な理屈で話さないとウケない(つまり、お金が儲からない)というのはあるもんなぁ~(笑)
ま、それはそれとして。
出てくる食べ物の話は確かに恐ろしいんですけど、今やその手のサラダは言うに及ばず。様々な調味料や加工食品を同時に食べているわけですからね。
本当はずいぶん前からヤバいんだけど、体が異物を輩出してくれていることで何とか平常を保てているみたいなところがあるんじゃないでしょうか。
いや、完全に素人考えですけど。
個人的には食べ物のことよりも、外国人労働者の扱いの方が怖かったですね。
だって、日本はどんどん人口が減っているわけでしょ。何年後かには東京でもマイナスになるとか言われているわけです。
人口が少なくなれば、サービス業は元より、さまざまな産業が成り立たなくなるはずです。
となれば、今度は日本人が外国に出稼ぎに行かなければならないわけで、つまり、この『ブラックボックス』で描かれている外国人研修生の実態は何十年後か(たぶん20年後くらい?)の私たち日本人の姿かもしれないわけで。
って、今や野菜工場以上に、日本そのものがブラックボックスってこと?
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篠田節子さんの小説、初読破。
食の安全という難しい題材を色んな立場の視点で時系列に進めていって読みやすかった。身近な題材だけに色々考えさせられた。
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7月-5。3.5点。
マニュアルされたハイテク農業。その野菜からサラダを作る工場で働く主人公。かつては東京で脚光を浴びたが、田舎に戻りパート勤務。周囲で健康被害が出て、安全なはずのハイテク農業生産物に疑いが。
解説に「この小説は瘴気が漂う」と書かれているが、その通り。外国人研修生の過酷さや、食物の危険性などが理解できる。ただ、少し専門用語が多すぎる気が。読むのに時間がかかる。
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現代の食の恐ろしさを、3人の目を通して描く。
最後には希望が持てるが、楽観できない現実を思うと気が滅入りました。
内容が濃く、非常に面白かったです。
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安心安全無農薬・完璧なはずのハイテク野菜工場周辺で広がる健康不安。
外国人労働者・派遣・パート等の労働格差や地方格差も大きく関わり、テーマは重く、辛い。人間の限界を感じる。
とりあえず一番の感想は、「生協入っててよかった」だった。
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この間、農業の問題を取り組んでいて、野菜の硝酸態窒素の過剰に関して、疑問に思っていた。この本を読みながら、さすが篠田節子は、「硝酸態窒素の過剰問題」に綿密に、着実に組み立てていることに驚いた。日本人は硝酸態窒素の過剰の野菜を食べて、人体に何が起こるのかの壮大な実験を行っている。
硝酸態窒素が多い野菜は、徒長しており、水ぶくれ状態になっていて、軟弱で、葉の厚さは薄く、また見かけの重量も軽くなる。炒めたりすると少なくなってしまう。その上、美味しくなく、エグ味があり、糖度も低く、旨味がない。そして、日持ちが悪く、腐りやすい。
そのような過剰な硝酸態窒素を未消化窒素という。その未消化窒素は、気孔から溢れ出し、虫や細菌の餌となり、繁殖することになる。未消化窒素が溢れることで、虫害や病気になりやすく、健康とは言えない状況となり、農薬をかけざるを得ない状況になる。それは、不健康な土壌で育った不健康な野菜で、その多くは窒素などの過剰施肥であり、熟成していない不完熟な有機堆肥を使っている。
「有機野菜には虫の食べた後があり、また虫がいたりする。それは、農薬を使ってないから安心できる。」などと言う有機野菜農家がいるが、それは、明らかに違う。その農作物が窒素過剰で、硝酸態窒素やアミノ酸が気孔からあふれ出していて、虫はそれを餌にして集まるわけだ。健康な野菜とは、虫も寄せ付けないような体力がある。ヒトが摂取する硝酸イオンは、そのほとんどが野菜由来であるといわれている 。硝酸イオン自体は直接人体に害を及ぼすことはないが、ヒトにとって全く必要のないものであり、体内で還元されると悪影響を及ぼす恐れがあることも指摘されている。それは、硝酸態窒素が高いと、人の体内に入ると口の中で唾液とともに亜硝酸に変化する。高い濃度の亜硝酸は乳児にメトヘモグロビン血症(ブルーベイビー)を引き起こす。また、亜硝酸は、体内でジアルキルアミンと反応して、発がん性が疑われているニトロソアミン化合物の生成に関与している。EUでは、野菜の中の硝酸態窒素は2000ppmという上限が決められているが、日本は上限基準はない。
オリンピック村の料理は、日本の野菜が硝酸態窒素が多いことで、使用できない。ヨーロッパから輸入せざるを得ない状況だ。というのが、今のところ硝酸態窒素に関する私なりの理解したところだった。
篠田節子は、その問題に深く切り込んでいく。光や環境も含めて完全に制御された植物工場。バクテリアも虫もいない状況で作られるのだから、農薬もいらない。無農薬ということが、身体にとっていいことは確かだ。そこでできる野菜は、硝酸態窒素が過剰なのだ。現在の水耕栽培の野菜の問題も硝酸態窒素が実に多い。しかし、農水省はなんら問題ないとしている。
一方で、野菜カット工場の現実を浮き彫りにする。そこで働いているのは外国人研修生。劣悪な環境の中で働き、労働者でなく、研修生だから労災も適応されない。また、管理者からセクハラを受ける。それを訴えても、管理者の意見が通る。また、野菜カット工場の不衛生問題やセクハラをパートリーダーが内部告発すると、簡単に首を切られ、その街に住めないようなことをする。
そこに、野菜がパサパサして、美味しくないので、カットした野菜にタンパク質分解調味料をナノテクを使って、美味しいと感じさせるようにする。それは、プレドレッシングと言って、タンパク質分解調味料は、表示の必要性がない。ところが、硝酸態窒素とタンパク質分解調味料が組み合わさることで、発ガン物質であるニトロソアミンが作られる。その野菜を食べた子どこたちは、アトピーやアレルギー症状、そして白血病なのど発がん現象が見られる。また外国人研修生は日常的に食べているものの中から、奇形児を産む。ただしその因果関係は分かっていないとされる。つまり、科学的な根拠がないとされる。まるで、日本の現実である。
よく考えてみれば、日本が、先進国だと言われていたが、PCR検査はしない。病院はすぐに満床になって自宅療養になる。自国のワクチンもできない。そして、ワクチンは外国だのみで、一体いつまでに希望者に行き渡るかの状況もわからない。官僚たちは接待づけに応じている。これが、先進国かと言いたくなる。やはり、野菜の硝酸態窒素は大きな問題なのだ。篠田節子のこの本による警鐘は実にタイミングよく、読んでほしい。現代のホラーは、身近にある。
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コンビニでサラダをよく購入する。
仕事の昼休みに。
カット野菜は栄養がないとは聞いていたけど、危険だとは考えてもいなかったので怖くなった。
弟が弁当工場でバイトをしたことがあり、それ以来コンビニ弁当やサラダ、惣菜を口にしない。
床に落としたハムをアルコールを吹きかけてレーンに戻したオバちゃんを見たと言っいた。
これとはむしろ逆で、この本は清潔・安全を考えぬいたからこそ生まれる危険性について書かれていた。
最終的には運が味方して、ドミノのように解決へ導かれるが、もっと3人で戦って勝ち取る結果も見たかったかな。
リアリティはなくなるだろうけど。
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野菜、やばいよね。『弥勒』と同じく後味悪い読了感。これ褒めてますよ。最近も、冷やし中華製造工場で働いている方からの告発を目にしたが、汚い長靴、長時間の立ち仕事、身体の冷え過ぎ等、まんま同じやん。うっかり食べてはいけないよな。まして野菜はF1種。固定種は稀少。
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いただきものの無農薬のキャベツから、虫が出てきて仰天したことがある。それから、食べきれないほどの
泥つき野菜に辟易したことも。
そのてん、カット野菜って便利で楽だよね。
ただこの本読んで、今更だけど農薬怖いなって思った。