投稿元:
レビューを見る
ちょっと素人には難しい内容だが、数学をそこそこやった人には面白いだろうなという無限ではない巨大数に関するレアな数学史アンド豆知識的内容。数学史なるものがちゃんとジャンルとして存在していることすら初めて知った。また指数を入れ子状態にする記述法がいろいろあることも知った。アルキメデスが、(10^(8x(10^8)))^(10^8)を宇宙を埋め尽くす砂の数として計算していること、またそれをさすと思われる文献が仏教経典にあるらしい。
投稿元:
レビューを見る
新聞の書評にあった'天女の薄衣が岩を摩耗するのに要する時間'といった内容に惹かれ、想像を絶する巨大な数をどう取り扱うのか興味を持って読んだ。物理的な概念としては記述できるのだろうが、数学的にどう表記していくかが、気楽に読めるレベルでなく、数学の素養が求められる難解さである。
投稿元:
レビューを見る
とにかく大きい数、巨大数が歴史的にどのように発見され、数学者や巨大数愛好家「グーゴロジスト」がどうやってより巨大な数を手に入れてきたかを説明する数学読み物です。面白くて一気に読んでしまいました。古代の巨大数はパッと見て把握できないくらいの数、例えば4以上でしたが記数法の発達、特に指数表示によって表現しうる巨大数は大きくなりました。近代に入るとただ大きい数字を書き並べるのではなく小さな数を入れると爆発的に増加する関数を構成する方法に関心が移ります。これら巨大数は数学のあちらこちらの分野で発展していった際に副産物として生じたとのことでした。
投稿元:
レビューを見る
色々と説明が端折られていて読みづらかったが、巨大数がどんなものであるのかというイメージは掴めた。著者は身近で面白いものと言いたいようだが、ちょっと身近とは言いづらい。たしかに化学のアボガドロ数の様に教科書に載っていたり、インターネットで使われるRSA暗号のように身近なところにもあったりもするが、やはり巨大数の多くは数学の解に関わるものなので身近なものとは思いにくい。
投稿元:
レビューを見る
160917 中央図書館
今までにあまり読んだことがなかった、「大きな数」をめぐる数学史とエピソード。宇宙が一巡するまでに必要な時間、とか、クヌース先生まで登場する。数学チックな難しさは抜きにして。「巨大数人物伝」が、なかなかおもしろかった。
投稿元:
レビューを見る
在野の数学史家による巨大数の概説。数学(史)や自然科学(史)はもちろんのこと、文化史やさらには人類史との関連で巨大数にまつわる興味深い話題を豊富に取り上げていて、読んでいて楽しい。
巨大数とは、無限ではなく有限ではあるのだが、日常感覚による理解を受けつけないほどに巨大な数のこと。我々は、可算無限や連続体無限など無限を概念的に扱うことに慣れてしまっているせいか、有限数であるならばどれだけ巨大であろうとも本質的には確実に捕捉できるはずだ、と思い込んでいる節がある。しかし、巨大数を前にすると、それが浅慮でしかないということを痛感する。無限を概念として思い描くときよりも、よほど途方もない何かを眼前にしているような感覚が、巨大数にはある。これが巨大数の魅力の根本的な要因ではないか。抽象的概念に過ぎない無限と、有無を言わさぬ圧倒的実在としての巨大数、という対照の面白さ。
有限数についてすら十分に捉え切れていないのなら、無限に対する理解も実際は相当貧しいものでしかないのではないか、という反省に駆られた。
そしてもうひとつ気づかされるのは、巨大数に対して宇宙のスケールが余りにも小さいということである。
□
各章では以下のような話題が取り上げられている。主な項目を挙げておく。
第1章
文化史の中に現れる巨大数。アルキメデス「砂の計算者」「牛の問題」「小筥」、仏教典「劫」「恒河沙」「不可説不可説転」、太古の人類の個数把握能力(ひとつ、ふたつ、みっつ、たくさん)から導かれる「原始の巨大数」など。
第2章
ミクロ世界とマクロ世界をともに扱う自然科学に現れる巨大数。アボガドロ定数、ディラックの巨大数仮説、宇宙に存在する全陽子の数であるエディントン数、猿の無限定理(十分な時間があれば、ランダムなタイピングによっても、あらゆる文字列が実現し得る)、ポアンカレの回帰定理による永劫回帰時間の算出、チャイティンによる BusyBeaver 関数を用いた「インテリジェント・デザイン説」(神の目的論的存在証明の現代版)への反論、現実の宇宙のスケールを根拠とする「ボレルの法則」など。
第3章
数学、とりわけ組合せ論・グラフ理論・計算論などを含む離散数学に現れる巨大数。素数定理と関連するスキューズ数、ラムゼー理論に関連するグラハム数、巨大素数の素因数分解の困難性によりその安全性が保証されるRSA暗号、無限小数を計算する有限のチューリングマシンのコードとしての記述数など。
如何にして巨大数の巨大さをコンパクトに表現するか、という問題意識から考案された様々な表記法。指数表記、クヌースの矢印表記、コンウェイの鎖状矢印表記、スタインハウス‐モーザーの多角形表記。
巨大数論の発展とともに、巨大数そのものから、巨大数を効率的に生成する急激な増加関数の構成へ、問題意識が移行する。あらゆる原始帰納的関数よりも急激に増加するアッカーマン関数、アッカーマン関数を含みそれよりも急激に増加する多重帰納的関数、あらゆる多重帰納的関数よりも急激に増加するグッドスタイン関数、あらゆる一般帰納的関数(計算可能��数)よりも急激に増加する計算不可能な関数としての BusyBeaver 関数。こうした急激に増加する様々な関数を、順序数と対応付けて階層化し整序する尺度としての急増加関数 FGH 。
□
巨大数を数学的な厳密さを以て理解したいならフィッシュ『巨大数論』を、巨大数を数学(史)だけでなく哲学や文化史など広範な知的領域との関連において位置付けたいなら『現代思想2019年12月号 巨大数の世界』を、それぞれ参照するといいだろう。
投稿元:
レビューを見る
“大きな数”という直感的なテーマから、巨大数という深淵へ。SI接頭語のような普段使いしているものでも、実はかなり巨大な数を扱っているということに気付かされる。面白かった。
投稿元:
レビューを見る
岩波科学ライブラリーは、著者の思考を追いかけながら科学がなんだかわかったような気がする良シリーズ、と勝手に位置づけている。
その最新刊(のつもりでいたら、『クモの糸でバイオリン』が出ていた。これも楽しみ)、巨大数。
歴史の中に現れた巨大数を探る、などなんだかワクワクするではないか。ところが、ページを捲って間もなく、数式が登場してしまう。数式というか、ただの巨大数を表しているべき乗なんだけど、僕はどうにも数字や数式が嫌いでのう…。それだけで読むのやんなっちゃうのだ。
まあ、数式が出てこない話も結構ある。仏教にも巨大数がある。
けど後半またも数式だ…。数学は徹底した抽象化技術で、がわかると世界がわかるらしい、ということはなんとなく感じているのだけど、やっぱ苦手なんや…。
というわけで、本書に罪はなく、僕の浅学に罪がある。だがこのテーマやよし、ではないか。頑張って読むよ、もう一回。