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紙の本

検閲前のテクストで旅愁を読むべきもの

2016/11/28 11:37

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:マハラオ - この投稿者のレビュー一覧を見る

旅愁は横光利一の代表作であり、日本文学史上最大の問題作でありながら戦後文壇では継子扱いされて来た。文学全集ではメジャーな新潮社、中央公論社、筑摩書房などメジャーな全集には採録されず、わずかに河出書房のグリーン版、平凡社の小型全集(外国文学もこみ)があった程度で、文庫版ではかつて刊行されていた旺文社文庫に入っていた。
 しかし今回の文庫版の最大の特徴はテクストがGHQ検閲以前のものであることだ。具体的には1982年刊行の定本 横光利一全集(河出書房新社刊)に倣い、第三篇は戦前刊行の初版本、四、五篇および梅瓶は雑誌掲載の初出稿を定本とするテクストを作成していることだ(裏を返せば定本 全集以外流布してきた旅愁テクストはすべて占領下の検閲済みテクストだということだ)。定本 全集版テクストの刊行からすでに三十有余年。毀誉褒貶に曝されて来た旅愁を先入観なく読み、新しい読者を獲得するため、著者の当初の意図が歪曲されないテクストが手頃な文庫版で提供されるのは悦ばしい。

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紙の本

壮大な舞台仕立ての“自分探しの旅”

2017/09/03 00:53

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コピーマスター - この投稿者のレビュー一覧を見る

長い小説である。ちびりちびりと読んで、読んで、それでも遂には読了に至ったわけであるから、面白い小説であったと言って差支えなかろう。ただし読んでいて爽快な小説だったとは言えない。事実はその逆で、辛気臭いことこの上ない。辛気臭いからこそ面白い。いや有意義であるとでも言っておこうか。
横光利一は同じく岩波文庫で出ている短編集を随分前に読んでからこの『旅愁』が気になっていた。この岩波文庫版が出なかったら寸でのところで講談社文芸文庫版を読んでいたかも知れない。岩波文庫がこの小説を検閲前の稿で新刊で出したというのはアヴァンギャルドな所業だとおもう。現に『旅愁』の読者は多くないと思うのだが、さらに検閲前の稿となると或る意味ほとんどの人が初めて読むことになるわけで、岩波文庫がなぜ検閲前の稿にこだわったのかそのわけが知りたいという下心もあった。岩波文庫が単に奇をてらっただけでないことは上下各巻に主な変更箇所の対照表を附録掲載していることから明らかである。そこには如実に検閲を通すために変えたであるところもある一方判然としない変更点も多い。こういう大部で読後どこまでも覚えているものでもない筈だが、検閲変更箇所には、確かに読んだ記憶のある箇所が散見されるので、件の検閲がこの小説の味わいに与えた影響は少なからずあるのだろう。
この小説をやれ日本だヨーロッパだ、やれ信仰だ家柄だと高尚な論議にかこつけて結局は恋愛を描いているという向きもあるようだが、やはり本質的なのは恋愛でもなくて壮大な舞台仕立ての“自分探しの旅”であるように思う。本来『旅愁』とはそういうものではないだろうか。
主人公はひとり何か本質に迫ろうとしていて他の人とは違う感を打ち出しているようで論理基盤が脆弱で、まさに戦後七十余年経つも相も変わらず薄っぺらな日本人の頭のなかを覗き見てしまったようで何ともいえない不愉快さを感じてしまう。
ところで富豪の生活というのはうらやましい。船旅となるともっとうらやましく、ヨーロッパ旅行となると無茶苦茶うらやましい。加えてロマンスの一つ二つもあれば「爆発しろ」と言いたくなる。きっと現代の「豪華客船の旅」なるものもこんな風に面白くて有意義で、結局は凄く辛気臭くて、打ちのめされるものなのだろう。そういう私らはどうすればよいか。横光利一の『旅愁』を読んで消耗していればよいのである。

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