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目の前の現実の中で、恵介は道を切り開いていく。 環境ではない。自分なのだ。 苺を通して、人生に大事なことがたくさん伝わる好著。
2023/03/11 13:45
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
会社を辞め、独立した人間は誰しも、一度ならず思う。
電話は怖い。
グラフィックデザイナーの恵介は、独立した今思う。
もっと怖い物がある。
それは、鳴らない電話だ。
腕には自信があった。
だが、仕事がない。
起業には向いていなかったのだろうか?
フリーランスは自由ではなかった。
そんなある日、静岡の実家の母から電話が入る。
「おおおおお、お父さんが倒れただよ」
4人姉弟の末っ子ながら長男の恵介は、2年前に父と喧嘩して以来、実家に帰っていない。
苺農家の跡取りだけはいやだった。
格好いい仕事がしたくて、美大に入学するために、故郷を後にした。
だが、困る。
嫌で嫌でしょうがなかった苺農園がなくなるのも。親父に死なれることも。
東京と静岡を往復するつもりが、いつのまにか別居状態で、恵介は素人ながら苺にかかりきりになっていく。
仕事にいかに取り組むのか。
家族にいかに向き合うのか。
争えない血と、伝えられないもどかしさと、目の前の現実の中で、恵介は道を切り開いていく。
環境ではない。自分なのだ。
苺を通して、人生に大切なことがたくさん伝わる好著。
紙の本
目の前の現実の中で、恵介は道を切り開いていく。 環境ではない。自分なのだ。 苺を通して、人生に大事なことがたくさん伝わる好著。
2021/11/24 10:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
会社を辞め、独立した人間は誰しも、一度ならず思う。
電話は怖い。
グラフィックデザイナーの恵介は、独立した今思う。
もっと怖い物がある。
それは、鳴らない電話だ。
腕には自信があった。
だが、仕事がない。
起業には向いていなかったのだろうか?
フリーランスは自由ではなかった。
そんなある日、静岡の実家の母から電話が入る。
「おおおおお、お父さんが倒れただよ」
4人姉弟の末っ子ながら長男の恵介は、2年前に父と喧嘩して以来、実家に帰っていない。
苺農家の跡取りだけはいやだった。
格好いい仕事がしたくて、美大に入学するために、故郷を後にした。
だが、困る。
嫌で嫌でしょうがなかった苺農園がなくなるのも。親父に死なれることも。
東京と静岡を往復するつもりが、いつのまにか別居状態で、恵介は素人ながら苺にかかりきりになっていく。
仕事にいかに取り組むのか。
家族にいかに向き合うのか。
争えない血と、伝えられないもどかしさと、目の前の現実の中で、恵介は道を切り開いていく。
環境ではない。自分なのだ。
苺を通して、人生に大切なことがたくさん伝わる好著。
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農業に携わる方々には頭が下がる。
(農業に限らず一次産業の方々は、生活の基盤を担ってくださっているのだし。)
でも、この作品には、どうにものれなかった。
主人公の行動が、どうにも中途半端に思えてしまって。
なので、あのラストにも、なんだか釈然としないまま。
個性豊かな3人の姉たちや、母親はなんともユニークで楽しかっただけに、残念。
自慢しいなガスくんも、どこか憎めない(笑)
あ~、イチゴが食べたくなっちゃった。
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まさに大衆小説
エンターテイメント小説で、
愉快な気持ちのまま 最後までスイスイと読めた
暗澹となる局面は無くて
淡々と進み、
これにて一件落着ー!!的な大団円を迎えておしまいに。
薄味で哲学は希薄、軽い作品
軽さを 悪く捉えるか
エンターテイメントとして楽しむかは
読み手次第
気軽に読めて楽しむエンタメ小説でした
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最初はなかなか読み進められなかったけど、
途中からこのイチゴ農園が一体どうなって行くのか、
イチゴを育てるためにはどうしていかなきゃいけないのかが凄く気になってしまって止まらなかった。
小さな人物設定も最後は素敵な伏線回収となって感動的なラストでちょっとうるっときました。
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ふむ・・・なんちゅうか、まぁ、荻原さんらしいのかな?w
なんか、苺尽くしの苺まみれになった気分www
いろいろあるけど家族っていいな、みんなそれぞれだけど夫婦っていいな、と思えるような奮闘記。
ま、こーんなに何でもいろいろ上手くいっちゃったりしないのが現実なんだって、わかっちゃいるけどさw
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明日1/11より読み始めます。楽しみ。
「業界」にいた方ならではのアイデアやストーリーがとても好きです。テンポや文章も荻原節が相変わらずで。
でも、いつもと違いページをめくるスピードが加速度的にアップしていかなかったかなあ。
苺の育て方とか、ハウス内の描写とか、図や写真があると理解しやすかったかも。(それでは育て方マニュアルになってしまうか。。。)
ラストは清々しかったなぁ。
P165:父親から物静かで逃げ出すことのないペット(苺)を軽い気持ちで預かったのはいいが、思いのほか手がかかり、しかもいっせいに子ども(ランナー)を産みはじめてしまった
P257:子どもと一日中一緒にいるのは大変だ。「自分が遊びたい時だけ子どもと遊んで、それを子育てだなんて言わないで」いつかの美月の言葉が身に沁みた。
P343:気づいたのだ。「大切なのは、どこに住むかじゃなくて、誰と一緒にいるかだ・・・・」
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新鮮味の無い良くある新規就農話で、栽培技術の説明に終始しドラマが無かった。現実はこんな簡単に生産販売出来ない、農業をチョット舐めているように感じた。
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実家に戻ったデザイナーのイチゴ農家奮闘小説。
作者らしい、ユーモアと優しさとで包まれたお仕事小説でした。
もうちょっとイチゴ農家の描写があってもよいと思いますが、絶対的な悪役も出てこないし、安心して読める作品でした。
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父が倒れたため、実家の農作業をちょこっと手伝うだけと思って帰省。ちょっとのはずだったのに、イチゴにはまちゃったのね〜。
努力が成果となって現れる農業、そりゃ、俄然ヤル気になるわな(笑)。近所の農家と足並み揃えてというよりも独自にあれこれ考えて発展していくのもアリだと思う。購入するほうも**さんのイチゴという風に名指しで買えるようになるといいのに。って産直市ではそんな感じなんだけどね。
1回買って食べて美味しかったら、同じ人が育てた野菜をしつこく購入しているもん。へへ。
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『海の見える理髪店』で、5回目の候補にして第155回直木賞を受賞した、荻原浩さん。本作は受賞後第1作であるが、何のひねりもない話だ。
広告代理店から独立したデザイナーの恵介。仕事が減って悩んでいたところへ、静岡で農業を営む父が、心筋梗塞で倒れたと連絡が入る。妻子と共に駆けつけた恵介は、妻子を東京に戻し、父が手がけたイチゴ栽培を手伝うことに。ところが、戻る予定はどんどん先延ばしになり…。デザイナーの夢はどうする? 何より、家族をどうする?
何のひねりもない話と書いたが、つまらないわけではない。ただし、『海の見える理髪店』で荻原浩を知った読者が本作を読むと、拍子抜けするかもしれない。一部例外はあるものの、大きな波風が立つことなく、物語りが静かに進む。これこそが荻原浩さんの作風なのだから。
物語を複雑にする要素はある。3人の姉を持つ恵介だが、特に上の2人は苦手。何より、農家を継ぐのが嫌で東京へ飛び出した。決して良好ではない家族関係だが、妙にこじらせるような演出はない。恵介は、ひたすらイチゴ道に邁進するのみ。
デザイナーの仕事は、PCさえあればどこでもできる。半ば開き直って、妻の美月と息子の銀河を放っておく恵介には、正直全面的に共感はできない。それで俺の女神なのだは、ないんでないの? とにかく、恵介は新しい目標を見つけた。デザイナーの経験や人脈も生かし、イチゴ農家に新たな風を吹き込もうとする恵介。
荻原浩さんの過去の作品で言えば、『愛しの座敷わらし』に似ている。クライマックスらしいクライマックスがない、イチゴ農家の地道な日常の積み重ね。読者の心理は、妻の美月の心理に近いかもしれない。もうしょうがないわねえ。よくできた妻を持ったものだ。
恵介と家族の物語がメインとはいえ、高齢化に悩む日本の農家への応援歌という側面もあるだろう。農家が頑張っているから、我々は米や野菜や果物が食べられる。当たり前の事実に思いを馳せつつ、農家がきちんと収益を上げられるしくみが必要だと感じる。
今回も、ひねりはなくてもほっとした。直木賞作家になっても、荻原浩は変わらない。
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田舎を嫌い農業を嫌い都会に出たはずが、父親の病気で家業のいちご作りを手伝うことになる。不本意のはずが引き込まれ、更に発展させようとする。人生のターニングポイントは何気なくやってくる。家族も巻き込み助け合い、生きていくことを考えさせられる。
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初読みの作家さん。都会でフリーのグラフィックデザイナーをしている主人公がひょんなことから田舎にUターン,嫌いだった農業をする羽目に。農業のリアルと家族のあり方をほのぼの描き,ひいては「生きる」ことを考えさせる。最後は大団円,爽やかな読後感。
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萩原浩さんのタッチがちょっと好きです。
意気揚々と独立をして、うまくいかずやさぐれている時の様子や、家計を支える奥様の様子、子供との微妙な関係、どれもこれも付箋として散りばめているが、それを意識させないのはとっても感じがいいです。
親父が倒れた→家業を継ぐ、という結構パテパテな展開だが、そのアプローチに周りの利害が絡んで面白く感じます。
「農業は大変だな」と、「楽しい」のメリハリがいいです。
賛否両論ありますが、物語がハッピーエンドで終わっているのが、読んだ後の気持ちを楽しくさせてくれます。
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グラフィックデザイナーが実家の苺農園を始める。ほとんど苺農園の話でひねりがないな~ 2016.10.28