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綱吉のイメージが変わりそう!
2018/08/18 23:41
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投稿者:しんごろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
代将軍徳川綱吉の生涯の話!現在、綱吉の政治が再評価されてるみたいですね。武から文治政治への転換をはかる中で、度重なる災害、赤穂浪士の討ち入り(忠臣蔵)など、いろんな苦難を乗りこえて、政策をするわけですが、民には伝わらない綱吉の苦悩がすごく伝わりました。そして、正室の信子との愛はもちろん、家族との愛に、綱吉の人柄がわかる作品ですね。ラストは綱吉と共に歩んできた感情で読んでましたので、切なく悲しくちょっぴりウルッとしてしまいました。
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最悪とあるが
2020/12/04 22:02
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投稿者:雪と華 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最悪とあるけど、むしろ綱吉の名君としての側面が強く描かれています。見どころは、正室である信子との仲睦まじい関係です。オランダ商館長の日記にもあるらしく、信子は、若々しく、知的で好奇心旺盛で、魅力的な美人として書かれています。徳川将軍を題材とした小説で、御台所との関係をここまで丁寧に書いた作品は他にはないと思います。
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かつては綱吉の評価は一方的に悪かったが、最近は多様な見方が出てきている気がする。この小説もそんな立場から。
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史上最悪の将軍と言えば、誰を思い出しますか?
と問われれば、多くの日本人は、
江戸幕府五代将軍「徳川綱吉」と答えるでそぅ?
それ程までに、「生類憐みの令」は悪法とされ、
「忠臣蔵」の顛末から、悪名も高められました。
(日本史の教科書の功罪?も、あるでそぅね…)
本作品は、
そんな徳川綱吉の行政と生涯を、描いています。
そんな徳川綱吉は、近年の研究では、
戦国時代からの「死」を誉れとする行政から、
「命」を尊ぶ法と秩序を定めて、行政を行い、
戦国時代から続く専制的な「武断政治」から、
法と秩序により世を治める「文治政治」へと、
転換を図ったとして、再評価をされています。
「生類憐みの令」は、その集大成とも言えます。
しかし、惜しむらくは、
「善き」事も、行き過ぎれば「悪き」事となり、
関東・東海・南海地震に、富士山大噴火といぅ、
大災害も重なっての、世評、悪政評でそぅか…?
本作品も、この「生類憐みの令」を境として、
前半の善政と、後半の(結果としての)悪政を、
主要人物を、善人、善行として描いていますが、
後半、押し切れていない歯がゆさは残ったかも?
それでも、
偏った印象を与えられた歴史上の人物を、
可能な限りフラットな視点で描いた点は、
とてもよぃと思いますし、面白かったです。
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生類憐れみの令で知られる江戸幕府の五代将軍・徳川綱吉は、旧来の慣習を改め、文治政治を強力に推し進めて日本の礎を築いた。だが、その評価は大きく分かれている。加えてその治世には、赤穂浪士討ち入りや富士山噴火など、数々の難事が生じた。綱吉は暗君か、それとも名君だったのか。
今も世間に誤解される将軍の、孤高かつ劇的な生涯を、綱吉とその妻・信子の視点で描ききった歴史長編。
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歴代将軍のなかでも、やっぱ悪評をもって名を残しているのかなあ。綱吉公の話。大奥レディースのなかでは、千姫のつぎに(厳密には千姫は大奥内ではほぼ暮らしてないけど)“THE玉の輿”のお玉=桂昌院=綱吉の母、が関心あるので、そのどちらにも絡んでいる綱吉目線の物語は、面白かった。生類憐みの令のひと、というのが教科書の印象でのこっちゃうけど、こうして想像力をもって生い立ちから半生をたどると、生まれながらの将軍ではないし、子を亡くしたり天災にたびたび見舞われた不運も重なったりで、決してわがままな暴君ではなかったんだろうなあ、と思いを馳せる。そうかもなあ。長くながく続いてきた武家社会の君主として、はじめて、「いのちをだいじに」という視点をもって施政したひとなのかもしれない。決して贅と権力を満喫していたわけではなく、変わりゆく時代を統べる責任者として、もがいたんだろうなあ、なんて、しみじみ手を合わせたくなった。正室の信子もじつに聡明で、すてきな女性。妻としても見習うとこたくさんあった。桂昌院もすごい人生だよなあ。桂昌院メインの本も世にはたくさんあるけど、朝井さんに、町娘時代から大奥に上がるまでの若かりしお玉の半生も、描いてほしいなあ。強運と我愛の強さはもはや清々しい。
将軍目線で、あの「松の廊下」事件も起こるし、わりと皆が歴史的出来事のあらましをふまえている時代の話なので、読みやすいとおもう。朝井さんの風景描写はとても風情があるので好き。時代もの読みたいひとに、おすすめです。
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朝井まかてさんの5代将軍綱吉を描いた「最悪の将軍」(2016.9)を読了しました。感動しました。今日は数ヵ月ぶりの都内への通院日、電車内で感涙の涙でした。父から子でなく、兄から弟への異例の世継ぎ。先例を破り、敵を作ることを承知で我が意を通す。「民は国の本(もと)也」御成りの道筋で飼い犬が横切りそれを子供が泣きながら追いかけ・・・。市中で刀を抜くでない。斬ってはならぬ。飼い主も構い無しと致せ。綱吉の乗り物に一家が手を合わせ、沿道の皆が拝んでいた。人より犬猫が大事との民の誤解にも揺らぐことがなかった名将綱吉!
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読めて良かった
本当にそう思う。
「現実そのものは
物語ではない。」
徳川綱吉将軍がこの小説通りの
人であり人生だったとは思いませんが、
だからこそこれは
本当の物語なのだと思う。
真実であってほしいし、
確かにあった事実なのかも、
そんな思いでこの世界に
浸った一時が幸福でした。
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綱吉とその御台所信子の視点で綱吉がどのような気持ちで政治に臨み生きたのかが書かれている.本当の思いなど今はわからないながら,犬公方と謗られるばかりではない事もよくわかる.夫婦の仲睦まじい様子が救いである.
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朝井まかてさんにしては淡々としていた。主人公が将軍だから、自由に創作できる部分が少なかったのかな。綱吉と信子の、会える時間は少なくても互いを思いやっていることがわかる関係が素敵だった。
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五代将軍徳川綱吉の生涯を描いた物語。
以前は悪いイメージで評価された綱吉だが、近年の再評価に基づいた賢君としてのアプローチから描かれている。
愚君か賢君かは置いておいて、綱吉が権力に溺れたような人間ではなく、兄の想いを受け継いでいかにすれば世が良くなるかを悩みに悩んで政に向かっていたことはまぎれもない事実なのではないかと作者の想いに同意である。
文化的発展と、人も動物も含め容易く殺生しないようにとの意味を込めた法令というコンセプトで、天下泰平を具現化するという政は、確かに理想的ではあるがいかに難しいことかが、愚君として評価されてしまった理由だったのだろう。
また、赤穂事件の浅野家、吉良家に対する評価も非常に真っ当で、忠臣蔵というただの物語が一人歩きしていたことががよくわかるし、残念なことにこれも評価を落とす一因になっていたのだろうということも推測できる。
政治的なアプローチはもちろん、綱吉を支える周りの人々の素晴らしさもこの作品の面白さの一つ。
最後まで寄り添う妻、綱吉を立てる老中、綱吉にひっそりと堅実に付き従う側用人達、等々、政は思い半ばだったかもしれないが、自分を立ててくれる周りの人間に恵まれたのは15代中随一だったのではないだろうか。
そういったもっと人間らしさという部分を知るためだけでも価値ある作品ではないかと思う。
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まかてさんの綱吉像に興味がありました。でも、やはり生類憐みの令は博愛主義の押しつけです。庶民の反発に理解ができていません。討入りも田舎侍の感情がわからないのですね。義士と祭り上げる世評は更に理解できないでしょう。これ程、世間とずれた施政を行なったのも小藩故の人材不足があるでしょうね。富士山噴火の臨時徴税に多額の流用がありました。出だしは面白かったのに、新たな綱吉像を描き出すには至っていないようです。
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徳川綱吉といえば“生類憐みの令”、人の命よりお犬様の命が大事という悪政のイメージがあったのですが、この本を読むとそんなイメージが払拭されます。思いがけず舞い込んだ将軍の椅子。その座にふさわしいように、民のためを思い政務を行ってきた真面目な人という気がします。正室信子との夫婦愛を書いた本でもあると思います。こんな風に伴侶に信頼してもらえたら、きちんとしなきゃと思うでしょうね。
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この一行のためにこの本ありというほどの言葉して言葉なしの名言。 「徳川右大臣綱吉は断じて最悪の将軍にあらず。天よ、あなたがそれを知らぬとは言わせぬ」 将軍綱吉、妻信子の生き方を通じ人を愛し慈しみ敬うという人生における大切なものを、まかてさんの筆に乗っていると痛感させられる。 文章の中にさりげなく置かれている言葉にも心を打ち胸をおどらせ目頭を熱くするするものが随所に散りばめられている。史実としての将軍綱吉から生類哀れみの令そして悪印象の発想を打ち消し、人間味溢れた素晴らしい将軍という像を描い筆力に改めて脱帽
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命を大事に というのは
本来はとても 尊いこと
今は当たり前だけど
昔はそうじゃなかった
綱吉は
権力者の側から民に
命の大事さを理解してもらおうとした
慈悲の心ある 名君だと読めます