紙の本
ささやかな清流の美味い水
2016/12/23 21:35
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投稿者:j_j_ichi - この投稿者のレビュー一覧を見る
ええと、これはどんな感想を持ったと語るべきなのだろうか、というのが感想。
“短編集”と銘打たれた帯に従うのであればこれは小説なのだろうし、文芸誌に掲載されていた文章であることも考えれば小説なのであろうと思うのだけれども、これが小説であるという先入観を持って読み始めたら、とてつもなく戸惑うことになった。
タイトルがつけられた4つの文章があるのだけれど、それぞれが緩やかにつながっていて、とりとめもないような思考と意識がこちら(=読み手)の存在をほとんど気にしないような感じで、ささやかな清流のように静かに音を立てて流れていく。その水をすくいとろうとしても、すくいとった水はすでにすくいとろうとした部分の水ではなく、すくとろうとした部分の水は既にかなり下流に流れていっている、でもすくってみた水をちょっと口に含んでみたら美味い、そんな心地。こんな感じで何を言ってるのかあんまりわからないのだけれども、本当にこの本についてはあらすじを語るのはナンセンスというか、あらすじをまとめることがほとんど不可能なので、ページをめくってもらうしかない(…と、書いているこの文章も保坂さんの文章に多分に影響を受けている気がする)。
するすると読み進めていくことができるようなタイプの文章ではないけれど、読み終えるとなんだか不思議な余韻が残り続ける。文法的にはおそらく正しくない表現が多数出てくるのだけれど、その引っ掛かりも含めて。小説の中での自由な表現を求め、小説という枠を静かにブチ壊しにかかっているような。
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年々保坂さんの小説は変化していき、どんどん読みづらくなってきている。しかし、それでも読みたい何かがある。
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考えたことを原稿に書いているというより頭に浮かんだことをそのまま原稿に書いている印象を得ました。話はどんどん脇道に逸れてすごく遠回りをしながら最後は落ち着くところに落ち着くといった感じです。保坂氏のお気に入りのデレク・ベイリーをYouTubeで聴いてみましたが私には不向きでした。保坂氏はジャズではフリージャズでおそらくメロディーが印象的なものよりジャズに明るくないひとが聴いたなら雑音にしか聴こえないものを好まれるのですね。まあ、保坂氏の文章もだんだんそのような雰囲気を醸し出してきました、でも好きですよ。
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好き嫌いが分かれまくるだろうなあ!
読み難いったらありゃあしない(笑)
のに!つるつるとするすると読み進めてしまう謎の一冊でした。相変わらず何も、驚くような出来事は怒らない、急に思考が始まり、テーマから逸れたり大回りしながらも何気なく再び主題に戻るという。
この人の頭の中を散策しているのかな、という不思議な1冊。913.6なのか?これは…。
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キースリチャーズに関する短編集でも言及されていたように、ステレオタイプな小説のフォーマットから逸脱して自由になっていく感じ。時系列もわかりにくいというかもはや気にしなくて良い感じもするし、話の焦点がどんどん横滑りしていって後から読み返して話の筋を把握したところでだからなんなんだ、という状態。なんなんだ、動きはないのにやたらの疾走感。
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これは…小説なのか? エッセイのような感じに思えるのですけれども、小説コーナーにあった本だからおそらく小説なのでしょう…。
ヽ(・ω・)/ズコー
私小説みたいなものですかねぇ? まあ、それはともかく相も変わらずの保坂節でして、何の事件も起こりませんねぇ…まあ、それが保坂氏の持ち味なんですけれども、こうも何も起こらない小説ですと読み手を選びそうなことだけは確かです。
ヽ(・ω・)/ズコー
まあ、僕は慣れていますからいいんですけれど…そうですねぇ、結構アレですね、慣れたら保坂氏の文章は心地よいですよ! まさに読書の喜び、みたいなものを教えてくれる作家さんだと思います…。
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー
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独特な文章なので、慣れるのに少し時間がかかった。最後まで読み通せないかと思ったけれど、最後までたどり着いた。
保坂さんの思うあるべき小説の姿があるのだろう。いつも保坂さんの小説を読む度に小島信夫さんの本を読んでみたいと思いつつ、まだ読んでいない。