投稿元:
レビューを見る
男はなぜ壁に絵を描くのか、
男の半生を紐解いてゆくことで明らかになる男の喪失感とそれを埋める手段としての描画。
このエピソードの順にきて、このラストは切なさを倍増させる。
投稿元:
レビューを見る
町の家々の壁に、絵を描く男・伊苅。決して巧い絵ではなくむしろ稚拙なのに、その絵が人々の心を慰め愛されるのは何故なのか。伊苅の人生を探っていく物語で、広く言えばミステリともいえないことはないかな。
なかなかにつらいことが多い伊苅の人生。でも誰にでも不幸は多かれ少なかれあるものだし、と思えども、やはりこれは読んでいてつらいものです(闘病に関する部分は特に)。そんな中で彼の心の支えとなり、絵の原点になったものは……まさかそういうことだったの!? とてもしんみりと、そしてじんわりと来る読後感でした。
投稿元:
レビューを見る
あらすじ
田舎町で、町中の家の壁や塀に、落書きのような絵が描かれていると話題になる。書いたのは一人の中年男性で、他の家の住人は希望して描いてもらったらしい。ルポライターは、彼の過去に興味を持つがわからない。彼が絵を描き始めたきっかけは、画家だった母、別れた妻、友人夫妻、愛娘の関わりだった…。
最後まで純粋な気持ちで読めます。主人公が関わった人物とのエピソードが細かく描かれている。主人公がいい人過ぎるのでさらさらとストーリーは進むが、一つ一つのエピソードはドラマチック。
投稿元:
レビューを見る
最初どういうお話かわからなかったけど読んでるうちに伊刈さんの人生に引き込まれる!途中から涙が止まらない。最後読み終わってもしばらく涙が止まりません。最後の章は辛すぎて読みたくなくなるくらいでしたが、でも読んでよかった本。
投稿元:
レビューを見る
生まれ育ったふるさとへ独りで帰り,稚拙ながら皆を惹きつける絵を書き続ける主人公。いつしか田舎町は彼の絵でいっぱいに…。なぜ彼は書き続けたのか? ラストで悲しい過去とその動機が明らかになる。静かで透明なストーリー,読後感。
投稿元:
レビューを見る
こんな形で一人の男の半生記を描けるんだ。巧み過ぎる。読み終わって、静かで強い悲しみと、その裏に数々の喜びを感じた。こんなに悲しくても人生に喝采を送りたい気持ちでいっぱい。
投稿元:
レビューを見る
絵をかく男の過去について
じょじょに明かされていき
だんだんなぜこんな街になっていたのかが
分かってくるのが面白かったのだけど
ラストがどうにもありきたりで
もったいない。
期待していただけにねぇ。
投稿元:
レビューを見る
新聞で知り手に取った。
主人公の伊苅以外の人間の、
劣等感、排他的態度、狡猾さ、意固地さ、恥も外聞もない様が非常に色濃く迫って来て気持悪くなる。生身の人間感たるや。
あたしも劣等感だらけだから同族嫌悪だ。
そんなあたしでも身の丈をわきまえた伊苅に感情移入して読めた事が嬉しい。
過去に行ったり、戻って来たりする進み方も無理がなくするすると読めた。
そしてラストで真実を知る。
「そうだっのか。」
とすすり泣いちゃった。
新聞とってて良かった。
投稿元:
レビューを見る
いやあ、それにしても…。
特に第二章がつらくてつらくて、読むのが苦しく、ほんと、神はいないのか、と言いたくなる。こんなに過酷でいいのか。
小説としての質が低いのでは決してなく、むしろよく出来てると思うが、どのように胸に収めていいのか、つらくて見当がつかない。
投稿元:
レビューを見る
毎日空き時間に少しずつ読みました。
本当は一気に読みたかった。
辛くて辛くて…
伊苅さんのこれからが気になります。
投稿元:
レビューを見る
+++
ある北関東の小さな集落で、家々の壁に描かれた、子供の落書きのような奇妙な絵。
その、決して上手ではないが、鮮やかで力強い絵を描き続けている寡黙な男、
伊苅(いかり)に、ノンフィクションライターの「私」は取材を試みるが……。
彼はなぜ、笑われても笑われても、絵を描き続けるのか?
寂れかけた地方の集落を舞台に、孤独な男の半生と隠された真実が、
抑制された硬質な語り口で、伏せたカードをめくるように明らかにされていく。
ラストには、言いようのない衝撃と感動が待ち受ける傑作長篇。
+++
民家の壁に幼児が描いたような原色の絵が描かれている集落があると話題になり、ノンフィクションライターの鈴木は、本にまとめるのもいいかと、その集落に取材に訪れる。描いた当人の所在は容易に判り、インタビューを試みるが、伊苅という男は口が重くてとっつきにくく、ほとんど何も聞き取れずに取材を終えることになる。近所の人に聞くと、どうやら壁の絵は、それぞれの住人が頼んで描いてもらったようなのだが、その理由がどうにもよく呑み込めない鈴木なのだった。鈴木の目線で語られる部分と、伊苅を主語として語られる部分が交互になっていて、伊苅の部分では、彼の来し方が少しずつ明らかにされていく。初めは取りつく島もない不愛想な男としか見えていなかった伊苅が、次第に体温を持って生きてくると、読み手の壁の絵に対する気持ちも変わってくるのが不思議である。子どもの落書きのような、一見無邪気にも見える壁の絵の裏側に、これほどの深い人生があったのかと驚愕するばかりである。いいものを読んだという気持ちに満たされる一冊である。
投稿元:
レビューを見る
登場人物の生い立ち、人柄、性格、名前までが、よく考えられていて、最後に、それぞれが、しっかりとあるべきところに収まることが、感動をより深めています。
投稿元:
レビューを見る
大好きな作家さん。それなのに、スキマ時間に細切れに読んでしまいました。ごめんなさい。星が4つなのは、この2倍の長さでも良かったから。主人公に関わる人の人生も読みたい。妻、同僚、両親、ルポライター…次なる作品も心待ちにしています!
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに一気読み。
劣等感を抱いていた子供時代に母親が伊刈に言った言葉が心に残った。
そしてラスト・・泣いてしまった。
なんだろう穏やかな気持ちになれる本でした。
投稿元:
レビューを見る
北関東の小さな集落で、家々の壁に描かれた子供の落書きのような奇妙な絵。決して上手ではないが、鮮やかで力強い絵を描き続ける寡黙な男に、ノンフィクションライターは取材を試みるが…。
ネットで読後感を調べてみると涙腺崩壊した人が多いようだけれど、正直「本当?」と思う。確かにラストの一行は「そういうことか!」とは思わせるが、なんか作り過ぎ感が否めなかった。でも映像化したら面白い作品かも。
(C)