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みんなのレビュー624件

みんなの評価4.5

評価内訳

高い評価の役に立ったレビュー

13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2017/01/12 13:27

最後のページは絶対に先に読まないように気をつけてください

投稿者:まこと - この投稿者のレビュー一覧を見る

ストーリー等は、たくさんレビューされている方がいらっしゃるので、省きますが、最後のページは先にみないように気をつけた方がいいです。
私は、読んでいる途中で、作者の恩田さんが「なんてたくさんのピアノ曲に造詣が深いのだろう。何か参考文献があるのかな?」と思い3分の2程読んだところで、一番後ろのページをめくってみたら、コンクールの順位表が載っていました。これは、誰がコンクールで優勝するのかがお話のすべてのストーリーではありませんが、最後の感動は半減したと思いました(泣)。
それにしても、作者の恩田さんは凄いですね。本職は小説家なのに、こんなにピアノ曲の知識があるなんて。曲を全部こんなすばらしい文字で表せるんんて。

私は高校3年生まで趣味でピアノを習っていましたが、聴いたことがある曲は7割弱くらいです。
恩田氏のそれぞれの曲の描写を読むと、まだ聴いたことのない曲に俄然興味が沸き、全部聴いてみたいと思いました。
弾ければもう最高なんですが、それはレベルが完全に違う話で夢のまた夢です。

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低い評価の役に立ったレビュー

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

2017/09/14 12:00

魅力がよくわからない。

投稿者:暴れ熊 - この投稿者のレビュー一覧を見る

無聊を慰めるために、ある方が貸してくれたので読んだ。
最初はなかなか物語が動き出さず、第二次予選ぐらいまでは苦痛だった。そのあと、ようやく物語に入っていけるようになった。
だが、正直この本がそんなに売れるほどの魅力があるのか、よくわからなかった。
物語が多くの人の視点で語られているのも、物語に入って行きづらいひとつの要因だろうか。
この人の作品は前に『夜のピクニック』を読んだことがあって、そのときも自分にはあんまりフィットしないなあと思った。今回、本作を読んでみて、そのひとつの要因が文体の軽さにあるということもわかった。
もう一つは人物造形である。
風間塵という天才少年が登場するが、どうもイメージしにくかった。リアリティがなさ過ぎるというのもあるが、リアリティがなくても感情移入できる作品はあまた存在するというのに。
よい小説というのは、読み終わったあとも、じいんと心に残って、登場人物たちの世界から抜け出せない、抜け出したくないという思いを抱かせるものが多いのだが、本作は、全くそういうことがなかった。分厚い本を、はあ~、読み終わった、というだけの感慨だった。
ただ、音楽に関してはよく勉強しているんだろうなとは思った。
そのうち、ドラマ化か映画化でもされるのだろうか。
もう恩田陸さんの作品は読まないかもしれないな。
もっともこういうレビューはごく少数派なんだろうけど。

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624 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

恩田さんの奏でる音楽

2016/10/21 07:47

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ピアノコンクールで闘う天才少年たちの物語。丸々一冊コンクール物。
文章だけでピアノの音を表現できるなんて凄いって思いながら読みました。
コンクールの緊張感や臨場感が凄い(コンクール行ったことないけど・・・)
予備知識なしで読み始めたので、正直「もしかして、誰か殺されたりするミステリー?」とか思いながら読み進めたけど、誰も死にません。
恩田さんらしい結果。期待を裏切る結末に「そう来る?」って苦笑いしちゃいました。

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紙の本

読みごたえあり!

2016/10/22 10:17

5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:雨かんむり - この投稿者のレビュー一覧を見る

『チョコレートコスモス』を読み返したくなったというコメントを書かれていた方に感謝、です。
恩田作品の中で『チョコレートコスモス』はお気に入りの一冊。ならばと購入したところ夢中になって読み進めました。同じような充足感が味わえます。
ちなみに私は自分の音楽鑑賞の耳にさっぱり自信はありませんので、小説だからこそ大いに楽しめたと言えると思います。作者さんの表現力のお陰。
ところで「塵」の命名の由来が気になります。作中、塵の口から、これこれこういった意味合いで親は名付けたらしいというようなことが語られるかなと思っていたのですが、そんなことはなく残念。どんなふうな意味づけができるだろうなぁと考えてみるのも楽しいけれどね(笑)。

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紙の本

今年一番の小説!

2016/12/18 15:04

9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る

恩田陸さんの小説しばらく出ていないなあと思っていた時の新刊。
5年の歳月をかけて書き綴ったと何かで読んで、少し心配していた。
しかし、本作は5年間恩田さんが一曲一曲、
一人一人の演奏を表現するために書き綴ってきた集大成。

ピアノコンクールで優勝を目指すコンテスタント達。
無名の謎の蜜蜂王子、突然舞台から去った元天才少女、楽器店店員28歳の高島明石、そして元天才少女の幼なじみのマーくん。
みんな素敵で、みんなを応援したくなる。

最初、表紙を捲ると推薦状と書かれている。
ユウジ・フォン=ホフマンって誰?
読んでも意味が分からないので、さらに分かりづらい目次が続き、いよいよエントリーを読む。
ここで初めて推薦状とユウジ・フォン=ホフマンが重要な意味を持つ事を知る。
一次予選、二次予選、三次予選そして本戦。
それぞれの予選の演奏、結果にハラハラドキドキしながら読むのが楽しい。
そして一曲一曲を描く恩田さんの表現に体が宙に浮かんだり天に昇ったり幸福な気持ちにさせられる。
4人のコンテスタント達がそれぞれの演奏に進化され、
そして同時に共演している。
この本から世界中に音楽が溢れ出して来るようです。
長編だが読むのを止められず、いつまでも読んでいたい一冊。
私の今年のベスト。

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紙の本

最後のページは絶対に先に読まないように気をつけてください

2017/01/12 13:27

13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まこと - この投稿者のレビュー一覧を見る

ストーリー等は、たくさんレビューされている方がいらっしゃるので、省きますが、最後のページは先にみないように気をつけた方がいいです。
私は、読んでいる途中で、作者の恩田さんが「なんてたくさんのピアノ曲に造詣が深いのだろう。何か参考文献があるのかな?」と思い3分の2程読んだところで、一番後ろのページをめくってみたら、コンクールの順位表が載っていました。これは、誰がコンクールで優勝するのかがお話のすべてのストーリーではありませんが、最後の感動は半減したと思いました(泣)。
それにしても、作者の恩田さんは凄いですね。本職は小説家なのに、こんなにピアノ曲の知識があるなんて。曲を全部こんなすばらしい文字で表せるんんて。

私は高校3年生まで趣味でピアノを習っていましたが、聴いたことがある曲は7割弱くらいです。
恩田氏のそれぞれの曲の描写を読むと、まだ聴いたことのない曲に俄然興味が沸き、全部聴いてみたいと思いました。
弾ければもう最高なんですが、それはレベルが完全に違う話で夢のまた夢です。

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紙の本

久しぶりに面白い本

2017/01/15 12:35

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:runrun - この投稿者のレビュー一覧を見る

大学2年の娘 女房 自分の順で読みました 展開が面白くてはまりました 。直木賞を受賞すると思います。

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紙の本

言葉で奏でる音楽

2017/01/21 13:45

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:j_j_ichi - この投稿者のレビュー一覧を見る

言葉でこんなにも音楽を奏でられるものか

というのが、読み終えて、いや読みながら、感情を高揚させられながら、感じ続けた率直な気持ちだった。2段組500頁のボリュームにもかかわらず、物語が終わってしまうのがとても惜しかった(近しい興奮を覚えたのは、『ピアノの森』『のだめカンタービレ』そして『BECK』。全部マンガだが)。
そして、祝!直木賞!!(つーか、恩田さんまだ直木賞とってなかったんい、という感があまりにも強い)。

ピアノ・コンクールで熱戦を繰り広げるコンテスタントたちが主人公。違ったタイプの複数の天才的なピアニスト、天才的なピアニストを見守るヴァイオリニスト、世界的ピアニストの卵を発掘する審査員、コンテスタントをステージに送り出すステージ・マネージャー、調律師…彼女ら/彼らの言葉と感覚が絡み合い、積み重なって、物語の中で音楽は立体的に鳴り響く。
こうした表現が見事にエンターテイメントとして昇華しているのは、この物語の基底に音楽への敬意と畏怖、そして音楽がこの世界に存在すること、それを人間が奏でられることへの感謝と祝福が満ちているからだろう。それゆえに音楽をすることの喜びを大前提としながらも、関われば直面せざるをえない厳しさなども的確な表現でしっかりと描かれている。
ちょっとだけなのだけれども、演奏する側として楽器を触ってきた人間として、共感できる言葉がたくさんある。

例えばあるコンテスタントは、

「一流のアスリートの動きには、美しい音楽と共通するものがあるし、音楽が聞こえるように感じる時もある」

と感じ、別のコンテスタントは、

「演奏者たちの中に、その自然はあった。彼らの故郷の風景や心象風景は、脳内に、視線の先に、十本の指先に、唇に、内臓に蓄積されている。演奏しながら無意識のうちになぞっている記憶の中に、彼らの豊かな自然は存在していた」

という心地を覚え、コンクールの審査員は、

「編集、という言葉はいろいろに使えるが、こんにちの音楽家には絶対に必要なものだ。自己プロデュース能力と言い換えてもいい。どういう音楽家になりたいか、どういう音楽家としてみせたいか。そういう客観的視点を備えている音楽家だけが他と区別され、生き残ることができる」

と分析し、別の審査員は、

「オリジナリティなんて言葉、ある意味幻想なのにね。やたらとみんなが口にするのはほとんど呪縛だわね」

と溜息をつき、そして本選に残ったファイナリストは、

「目に見えず、現れてはその片端から消えていく音楽。その行為に情熱を傾け、人生を捧げ、強く情動を揺さぶられることこそ、人間に付加された、他の生き物とを隔てる、いわばちょっとした魔法のようなオプション機能なのではないか」

という1つの答えを見つけ出す。…キリがないのでこれくらいで引用はやめておく。

恩田さんの作品はこれまでいくつか読んできたけれど、今作は何というか、ある種の頂点にまでいった感がある。抽象的な文章表現も多々あるけれど、それがコンテストの展開やコンテストを巡る人間関係のドラマティックな要素を邪魔することなく、非常に良いバランスで溶け合っていて、とんでもなく読みやすい、というかグイグイ引っ張られる。
色んな場面で色んなキャラクターに感情移入して、吹き出してしまったり、泣いてしまうところもあったりした。
ということで、なんか面白え小説ないかなぁ、と思っている人も思っていない人もとりあえず最初の50頁くらいを読んでみてほしい。そしたらもうきっと最後まで読むだろうから。

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紙の本

彼らのファンの一人に

2017/02/27 19:25

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:にんじん - この投稿者のレビュー一覧を見る

大長編で読み応えがあり満足したのと同時に
もっと読みたい!と思わせる作品です。

音楽がとても繊細に描かれてあり本当に聴いているかのようでした。
最終的に順位が決まることを考え、私は想像しながら読み始めましたが次第に私の気持ちとして優勝してほしいと思う人物が現れ
私はいつのまにかコンクールの聴衆者の一人になっていました。

そして登場人物がとても魅力的でもっと彼らの物語を読みたいと完読した後、少し惜しい気持ちになるほどでした。

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紙の本

蜜蜂と遠雷

2017/03/08 21:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:えいぷるる - この投稿者のレビュー一覧を見る

恩田陸さんの直木賞作品。
まず、彼女が直木賞を受賞していなかったのに驚きました。そして、私も恩田陸さんの作品を初めて読みました。四時間。のめり込むように読みました。ピアノコンクールという経験したことがない世界。でも、ピアノのタッチやメロディーが浮かんでくる文章。
私の中では最近の1番です。
一気読みしたのは久しぶりです。ぜひ読んでいただきたいです。

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紙の本

大満足

2017/03/14 17:13

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukka - この投稿者のレビュー一覧を見る

面白かった。面白かった!!
読み終わった直後の素直な気持ちです。「あ〜読み終わっちゃった」という寂しい気持ちもあります。ずっとあの世界に浸っていたかった。
登場人物がみんな魅力的であることにまず惹かれ、コンクールで奏でられる曲の描写の素晴らしさに惹かれ、コンクールの緊張感に浸り。
出てくる曲をネットで探して試し聞きをしながら読んだせいもありますが、私にしては珍しく時間をかけて読みました。読み終わってしまうのが勿体無いというせいもありましたが。
とにかく面白かった!大満足の作品でした。

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重厚・力作

2017/03/16 17:22

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

国際的なピアノコンクール。出場者のうち、神童というレベルを突き抜けた破天荒な少年、一度は音楽界を去りながら、戻ってきた少女、その幼馴染…この3人を中心に物語は展開。個性的なキャラクターが深く掘り下げられ、また、コンクールや、音楽することだけに固執し、一切の無駄を省いた文章は見事。クラシック音楽の世界、そして本のボリュームから、やや読むことに躊躇いがあったが、一部を除いて重厚な力作と評価。一部は、読み手の音楽の知識の無さ。

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紙の本

初めて恩田陸さん読みました

2017/03/20 15:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あきんどあつこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

ある書評サイトで気になり、直木賞受賞されたときき読みました。まさかここまでの作品とは。普段眠っていた感性が呼び覚まされました。今後の作品にも注目したいと思います。

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紙の本

最高傑作

2017/03/21 03:19

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ちょき - この投稿者のレビュー一覧を見る

最高傑作であることは初めから判っていた。作者、厚みと表紙、タイトル、目次を見てすぐに購入を決意。それぐらいの判り易さ。そして読んで納得。最高の音楽、演奏のすばらしさを文章で様々に表現するという難しさ、天才コンテスタント達の豊かな人間性、それらを情熱的にさらりと書き上げてあった。ストーリーに至っては、まるで作中の演奏家たちのように聴き手(読み手)を魅了し、ラストまでグイグイ引っ張る引っ張る。そしてこうして読み終えた。まさに立ち上がって拍手を贈りたいくらいである。ごちそうさまでした、ありがとう。

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紙の本

すごい小説だ

2017/03/25 22:07

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者: - この投稿者のレビュー一覧を見る

小生、生意気にも、高校時代、友だちに史上初の芥川賞・直木賞同時受賞を目指すと豪語していたそうな。両方やってもいいよ、という小説に初めてお目にかかった。最初手に取ったときは、読むのやめようかな、とも思った。500ページのボリューム、上下段に分かれた構成。到底読む気にならないものだった。でも、評論家たちの口々にほめる批評の数々を読むうちに、これは読まねばなるまいと思わされた。裏切られはしなかった。これだけのものをよく書けたものだ。ネタバレになるので、細部には触れぬが脱帽。ただただ脱帽。こんなおもしろい小説は、60年生きてきて初めてめぐりあった。小説家になるのはやめた(笑)。ありがとうございました。

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紙の本

ブラボー!

2017/03/31 10:53

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「色モノ」なのか、「本物」なのか?風間君の演奏をドキドキしながら待っている自分がいるような気にさせられる。音楽家の感性と機微の表現に脱帽。

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紙の本

人間と音楽とのラブストーリー

2017/04/30 11:46

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

いや、すごい。
歴史的な快作ではないか。

直木賞受賞で話題、さらに本屋大賞とのW受賞でさらに話題になったこの小説、
ここまで音楽と人との関わりを描ききった小説はちょっとないのではないかと思った。

もちろん馴染まない読者もあるだろう。
ちょうど作中にも書かれているように、音楽との関わりはたぶんに個人的なもので、
その音楽観とか態度のようなものが違えば反発があるのもわかる。
思い入れのある人ほどそうなのかもしれない。
しかしこういう仕事をしてくれた意義は大きいと思うし、
音楽好きで共感する人も多いのは間違いないだろう。

冒頭ちょっと読んだところで、主人公の一人である少年がピアノを弾き、
最初の音を鳴らした途端、電流が流れたようだった、みたいな描写がある。
ここは読んでるこちらもビリビリ来た。
なんでも良いわけではない。ストーリーテリングの勝利。

文体も物語構成もやや軽めやや饒舌で、タイプとしては必ずしも自分の好みではない。
しかし描写、表現、その熱気が半端ではなくて、これは読めると思ったし、実際最後まで面白く読めた。

音楽作品そのものを小説の中で描き出すという点では、
個人的に知る限られた範囲で言えば、奥泉光の『葦と百合』が一番印象に残っている。
この小説もそこまでではないだろうと思っていたら、恩田陸のやったことは別のことだった。
奥泉光はシューマンの幻想曲を、再現というか、自分の感性を通して再創造してみせた。
恩田さんが書いたのは、もちろん音楽の描写でもあるのだけれど、
何より人と音楽の絡み合う様(演奏だったりそれを聞くことだったり)だった。
それがすごかった。
奥泉のシューマンはあくまで小説の構成要素だが、
ここでは人と音楽との関わりがそのまま物語であり、至福のエンターテイメントになっている。

とくに才能の表現の仕方がすばらしいと思う。
主人公の一人である栄伝亜夜が「春と修羅」を弾くところはほとんど泣けた。
この曲は架空のものだが、宮澤賢治の詩をこのように活用したところにも作家の音楽観が現れていると思う。
ほかにも、何というかこちらの感覚とか感情を揺さぶられっぱなし。
ちょっと乗せられすぎか。
一方で頭でウンウン、なるほどね、と、「読ませる」箇所がいくつもある。

結果的に音楽論にもなっているし、音楽へのラブレターでもあると思う。
この域まで行くとほとんど信仰か。
そういえばちょっとオカルト的要素も入っている。

直接には一つのコンテストの物語なので、
誰が優勝するのか、という意味ではミステリーでもあり、
途中で人物(の音楽)がどんどん進化したりで相互にも作用し合う様は、
点を取り合うスポーツの試合のスリルでもあるだろうか。
というわけで娯楽性も豊か。

なぜこの人物?というのが、あとでその意味がわかるようなこともあって、
仕掛けも見事だと思う。

コンテストは3段階の予選から決勝という長丁場。
登場する曲も多く、一つ一つに語られる言葉に、
あらためて作者のクラシックに対する熱意が実感され、驚かされる。
私などは知らない曲も多いが、いろいろ聴いてみたくなったし、
知っている曲でもあらためて聴きたくなる。
もしかしてこの本をベースにCDが編むような企画はないのだろうか。
と思えばちゃんとありますね。皆考えることは一緒ですね。
来月末に出るらしい。
You tubeでは既にそれらしいことをやっているようだし。

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