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各所で話題になっている本だが、想像を超える面白さ。あまりに面白くてページを繰る手が止まらないので、平日の深夜に読むのをストップしたほど。
裏社会のフィクサーによって数千億円もの金が不正に引き出され、自殺者・逮捕者を出すこととなった「イトマン事件」について、金の出所となった住友銀行の行員であった著者が、当時の克明な手記を元に何が起こっていたのかを解き明かすノンフィクション。自ら「Letter」と呼ばれる内部告発文書を大蔵省・マスコミ・住友銀行上層部へ送り付けながら、住友銀行・イトマン上層部の退任を迫る様子は、読み物として非常にスリリング。
バブル時期と比較して日本のコーポレート・ガバナンスは、少なくとも表面上は整備されつつあり、このような裏事件が今後日本で起こるかどうかはわからない。しかし、いったん大企業におけるガバナンスがおかしかくなると、このような狂気の沙汰が繰り広げられる可能性があるという点で、後世の我々が学ぶべきところも大きい。
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この本を開くと最初に登場人物を紹介するページが3ページほどあります。そこに出てくる名前をみただけで手がちょっと震えました。
私が住友銀行にいたときの頭取、取締役。(私はぺーぺーでした)
イトマン事件がどれほど根の深い事件だったかが一番身近にそれを見た著者國重氏のメモをもとに解きほぐされます。
最終的には、背任罪として告発された事案ですが、検察、大蔵省(今なら金融庁)、マスコミ、銀行内部、で全く見方が違う。
当時なく、その後整備された制度として「個人情報保護」(個人情報保護と同時に、法人間で情報を漏らさない、というルールが引きずられる形で確立したと感じます。この本では情報リークと引き換えに別の情報得た式の記述が多数。)「反社会的勢力」(今ならどんな形ででもやくざと接触があった、とされればそこでシャットアウト、イトマンに伊藤や許が食い込んだようなことはもうないでしょう)、あとは根本的なところで「不良債権」の定義。これはこのあと、金融検査マニュアルにより明確な線引きがされました。その金融検査マニュアルもいまは昔、実質廃止…
克明な記録です。しかし、その当時を知る人でなければ、特に何の感傷も呼び起こさないテーマでしょう。
当時住友銀行に在籍した人間、今、三井住友銀行に在籍している人、金融庁関係など、この本を手に取る人は多いはず。
付随して、「経営者とは」「バンカーとは」「企業のガバナンスとは」「男にとっての晩節とは」を考えさせられます。
登場人物のほとんどが既知(もちろん、お名前は存じております、というレベルですが)なので手に汗握って読みました。
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保身、出世欲といった当然の感情よりも会社のために行動した國重さんには頭が下がる。自分なら同じ行動ができるかと言われれば、即答できない。
少なくともイトマン事件がどういう事件かという前提知識がないとスムーズには読み進められないと思います。当時のメモがネタになっていて、臨場感がすごい。
#読書 #読書記録 #読書倶楽部
#住友銀行秘史
#國重惇史
#2016年96冊目
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ビジネス街の書店を賑わすこの本。しかしどう評すれば良いのだろうか。
一つ言えるのは、著者は相当なメモ魔であるということ。イトマン事件についてはこれまでもいくつかの本が出ているが、ここまで克明な記録を25年経って出せた人はいない。それは、彼が内部・外部の人たちとのやり取りを克明にメモしていたから。日経の大塚さんもおそらく取材メモを残していて、その成果は日経新聞社刊「ドキュメント イトマン・住銀事件」(1991年)などに反映されているのだろうが、彼が書けなかったことも、多くの主人公が引退しまたは鬼籍に入った今日となっては書けるということもあるのだろう。
ただ、仕事上知りえた秘密を本にして出版できるんだったら、世の中何でもありになってしまう。その点も一応、念を押しておかないといけないので、星を一つ減らして四つとしたい。
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イトマン事件の影の当事者が残した手記をまとめた本。おじいちゃんが自分の過去の武勇伝でも語りたくなったか、というテイストなのがちょっと気になるところと、終わり方が非常にイマイチだったのは残念。
イトマン事件は全く詳しくないが、当事者が書くとこうなるのかな、という印象を持った。
研究者が様々なインタビューや公開資料から書き起こした日米安保と沖縄返還と比べると良い対比となっていた。
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▶︎2016/11/19-2017/02/10 一割読んで断念
▶︎誰が頭取になるかは、「誰を頭取にするか」の権謀術数に優れた者の通りになる。人の実力才能など大したものではない。渦に飲み込まれた浮遊物は、結局深く底まで沈んで行けるか、渦の外に追いやられるかである。そして潮流が変わらない限り、結果オーライなのである。▶︎民主主義は一寸先がわからない。イギリスのEU離脱。トランプの大統領就任。古くはベルリンの壁崩壊。
▶︎これはやはり記録であり、ノンフィクションと言える代物ではない。
▶︎
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★2016年11月18日読了『住友銀行秘史』國重惇史著 評価A
話題の作品。ここまで書いていいのだろうかというところまで、詳細に書き込まれている信じがたい稀有の作品。ビジネスマン必読です?!
國重惇史は、68年、東京大学経済学部を卒業。同年、住友銀行(現三井住友銀行)に入行。渋谷東口支店長、業務渉外部部付部長、本店営業第一部長、丸の内支店長を歴任。94年に同期トップで取締役就任。日本橋支店長、本店支配人東京駐在を経て、97年、住友キャピタル証券副社長。銀行員時代はMOF担を10年務めた。その後、99年にDLJディレクトSFG証券社長になり、同社を楽天が買収したことから、2005年に楽天副社長に。楽天証券会長、イーバンク銀行(現楽天銀行)社長、同行会長を経て、14年に楽天副会長就任。同年、辞任。現在はリミックスポイント会長兼社長。
まさに、國重氏はイトマン事件の現場に居て、自らの住友銀行を救いたい、正しくあるべきだという信念に基づいて、得てして易きに流れようとするマネジメントメンバーを叱咤激励して、巨悪を追い詰めていくそのプロセスは本当に凄まじい。
綿密な自らの詳細メモに基づいて書かれている経緯には真実の持つ重みとそこに描かれる自己保身に汲々とするサラリーマンの姿が描かれる。また、銀行エリートの弱みに付け込んで、甘い汁を吸いつくす伊藤寿永光、許永中らの巨悪、國重氏からネタをもらい記事にして自らの存在価値を誇示しようとする記者と各方面から圧力から記事を葬り去ろうとするマスコミの上層部など、事実は小説より奇なりとはこのこと。
そして、組織とは恐ろしいもので、外から見ればあり得ない議論を経て、あり得ない結論が正論とされてしまう危険性があることが、この作品でも十二分に描かれている。そしてそのことは、住友銀行だけではなく、ほとんどの組織で動く会社、団体がもつ危険性でもある。依って、組織人すべての人が心に強く持たなければならないのが、『何が社会のために最善の結論、方向性なのか』ということである。組織のための最善の結論ではない、社会の公器たる企業、組織は、つねに社会への貢献を意識することを我々組織人は常に考えておく必要があると改めて感じた。そして、その実現は時にいかに困難かをこの作品は教えてくれる。そして、そこに國重氏が今回あえてこの作品を発表した目的があると理解した。
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読んで後悔。事件のことより「自他共に認める10年に1人の逸材」だの「上司や会社のためではなくただ真実を知りたいだけ」「俺が動かなければ被害は5000億で済まなかっただろう」といった自慢フレーズが頻発。「秘史」というからには根拠や証言を示してもらいたいがそれはなく、あるのは自分のメモだけ。自己陶酔をベースに都合良い部分を激動の経済ドラマ風に書き起こしたものであり、がっかり。
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バブルの象徴であるイトマン事件に関する住友銀行側の内部事情を、その時に活躍された著者の國重さんが取っていたメモをまとめたもの。イトマン事件がなぜそこまで大きな問題に発展して行ったのか、巨額を引っ張った方ばかりに注目が集まるが、その弱さというか構造的欠陥が、引っ張られた方にあるのではないかという視点はとても勉強になり、そして、それほどの権力闘争をする銀行という組織体の怖さを感じる書籍でした。
なんですが、とにかく書物としては読みづらい…。それだけ腐ってるという話なのですが、本当にたくさんの人が出てきて、十分な説明もないので全然誰だか分からないw NHK
か何かで、数夜に分けてドラマにしてまとめなおして欲しいw(2016年11月ごろ読了)
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「ただ、何かが起きている、このバブルを謳歌している日常の裏で、恐ろしい出来事が起きているという直感はあった。
行動を始めなければならない。何かしなければならない。
私にはできる。いや、私にしかできない。」
その決意の表れとして1990/3/20から約2年間國重氏がつけたメモがこの本の元になっている。この本そのままであれば当に孤軍奮闘。保身に汲々とする上司を時には煽り、匿名の告発文を駆使して週刊誌や新聞を動かし、ついに住銀の天皇と呼ばれた磯田一郎を追い詰めた。
主要登場人物が70人ほどで、うち半分ほどが住銀社員。肩書きだけでなく入行年次出身大学が書かれているのがおかしい。銀行というところはそんなもんなんだ。磯田会長、辰巳頭取を筆頭に副頭取が2人、専務が4人、西川善文氏など常務が8人恐らく実際にはもっと役員がいるのだろう。そんな人数で頭取になるのを争ってたら行内がぐだぐだになるのも不思議ではない。
それにしてもだ、MOF担もやり、一選抜中の一選抜だった國重氏も当時の肩書きは業務渉外部の部付部長でしかない。ここまで行内政治の情報に通じているのかというのも驚きだが、これが本当なら同じような情報はそこら中に溢れていたのではと言う疑問はある。メモにも数多く行内で情報収集とある。國重氏のリークを知っていて利用してた人がいるのではないか。
イトマンの伊藤須永光ー許永中が住銀を食い物にしたのは間違いないとして、この本では川崎定徳の佐藤茂は住銀を救う側として描かれているがどうなんだろうか。いずれもグレーゾーンの人々に見えるのだが。
國重氏自身も面白い人でリークのlettterを投函した時にはハワイで休暇を取っている。「私は、こういう休みはきちんと取る。日本人のサラリーマンにありがちなのが、土日も構わず休みも取らず、一心不乱に働き続けるというタイプだ。それは私の流儀ではない。」と書いているがその後の佐高信氏のインタビューでは「女と行ってたんですよ」とあっけらかんと話をしている。その後楽天の副会長を辞任したのも68歳にしてダブル不倫の末の暴力沙汰と言うスキャンダルがあったりとあまり典型的な銀行員らしくはなさそうな人物だ。それくらい突き抜けてないと当時の銀行システムをひっくり返そうとしなかったのかも知れないのだが。國重氏の言い分だけを全部信じるのは難しいが大きな役割を果たしたのだろう。とにかく生々しくて興味深い告発だ。
http://honz.jp/articles/-/43433
普段書いてるパターンのレビューはもっと上手くここにまとめられていた。
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イトマンという中堅商社にまつわる5,000億円規模の事件。5000億円ものお金が闇に流れたということで、バブルの時代を象徴するような事件を、住友銀行元取締役が、秘密のメモの公開という形で当時の事件の真相を白日のもとに晒した話題の本。
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バブルからバブルの後始末・・・。イトマン事件を巡る住友銀行内の人間の動き。住友銀行「秘史」というより、人間の多くって実はこんなにみっともないんだという事実の暴露。そして、そんな人たちが当時も今も、この社会を牛耳っている、ということに気づかせてくれる本。
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帯文:”保身、裏切り、多数派工作 幹部たちの激しい人事抗争を実名で明かす” ”早くも10万部突破!”
目次:プロローグ 前史、第1章 問題のスタ-ト、第2章 なすすべもなく、第3章 行内の暗闘、第4章 共犯あるいは運命共同体、第5章 焦燥、第6章 攻勢、第7章 惨憺、第8章 兆し…他
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いわゆる暴露本。ここまで書いて大丈夫か?という内容だが、当時のことは随分と話題になったし、ここまで銀行も腐敗するのかって,実に面白い。しかし、権力者ってなんだかなぁー。
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読むのにずいぶん時間がかかった…。
自画自賛のきらいが。
バブルの終焉。
経験をしていないと、やはりよくわからない。今では考えられない。
ただ、サラリーマンの本質は変わってない。自分もひたすら保身と日より見に走ったと思う。作者のような行動はとれないだろう。
それにしても、今、ゆとりゆとりと非難しているこの世代の方々とは一体…。
イトマン、秀和、住友、野村證券、大昭和製紙
これが面白い。