紙の本
表紙がコミックっぽくて
2023/05/30 00:54
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作者さんの、小説は、けっこう、過去に読んできていますが、この「夢も定かに」、は、文章もストーリーも澤田瞳子さんにしては、軽めのタッチです。なにより、表紙がコミックっぽくて、澤田瞳子作品が初めての人、オススメ。
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平城京のワーキングガールなんて軽く一言で済まされてるなんてもったいない。
若子、笠女、春世とそれぞれモデルがいるようだし、当時の女性は堅苦しく生きにくい面もありつつ、それでも生き生きと己の道を模索する姿が読みやすく共感しやすく描かれており面白かった。
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翔べ、平城京のワーキングガール! 聖武天皇の御世、後宮の同室に暮らす若子、笠女、春世の日常は恋と友情と政争に彩られ……。〈宮廷青春小説〉開幕!
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奈良時代、しかも聖武天皇の時代を描こうと思えば、藤原四兄弟と長屋王との権力争いや彼が大仏建立に至った気持ちの小説になるのだろう、ふ・つ・うは!
だが、この作品で描かれているのは宮中で働く菜女と呼ばれる女性たちである。幾分、ライトノベルズのように描かれているのが不満だが、そこにあるのは現代の働く女性にも通じる結婚、仕事、同僚への不満や嫉妬だ。
権力争いをする男たちの向こう側で女性もまた同じように戦っている。それは現代でも奈良時代でも変わらない。
読み終えて思う、女はいつも戦い続けてるんだなぁ。でも負けてもへこたれないから、女って強い!
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平安時代の小説はよくあるけど、奈良時代のお話ってあんま見ないな?とおもいまして、発売してからずっと気になってた本。やっと読めた。
専門用語が意外と多いし、人名も覚えにくいかもですが、内容はわかりやすいのでサクサク読めました。
いつの時代も女は強い!
男に頼らずに生きれる強さ、うちも身に付けたい。
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いつの時代も女はすべてと闘っている。
友のために、家族のために、愛する人のために、なにより自分のために。
ラストまで読んでタイトルの意味がすっと落ちてくるところもまた良い◎
1300年前の彼女達もがんばっていた。
残念なのは1300年経っても同じ理由で泣かなければならない女がいることかしら。
嘆いてばかりはいられないから、せめて1300年後の後輩達のために、私達はまだ闘わなくては。
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奈良時代の後宮で働く下級女官3人の後宮暮らし生き様が、短い物語の中にも生き生きと描かれていたと思います。自分の身の施し方にきりきり舞いだった新人の頃の若子が、二年のうちに友人の身や男女の仲について思いを致せられるようになった成長ぶりに感心です。現代の会社で働くОL社会のようにも見えてきました。
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巻末には宮廷青春小説とありますが、少女が大人になっていく日々を描いた物語。
女職場ならではの対立やら陰口や、将来への漠然とした不安など、どこかにありそうな話もたくさん。
ただし、主人公たちは、後宮で働く采女たち。
聖武天皇の御世、藤原四兄弟と長屋王をはじめとする旧勢力の対立など、昔、日本史で聞いたような話が背景になっています。
女同士の軋轢やらなんやらを超えたところで、自分の力でどうこうすることのできない世の仕組みに直面した時、身一つになってでも、凛として生きようとする姿は、やっぱり私にとってのエールです。不条理に出会い非力さを思い知るのは、女性が故とは限らないとも思うのですが、女性ならではの不条理を知っている分だけ、女性の方が強いのかも知れないです。
お気に入りは、ぽやぽやとお菓子を食べて日々を送っているかのようなあの人のすごみのある決断で物語の幕が下りるところ。私にもずどんと渇が入りました。
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聖武天皇の御代、つまり奈良時代を舞台にした本作。
珍しいところに題材を取ったものだ。
それもそのはず、著者は日本古代史を専攻していたというではないか!
始めに慣れない読み方の登場人物や女官の位、皇族の名前などが一覧になっている。
これは親切に、ありがとう、たすかります。
これがないと読めないのだ。
馴染みのない、采女やナントカの司(職場名)など、慣れてしまえば物語の面白さに気にならなくなるが、慣れるまではこの箇所に何度も戻る。
18歳でもはや行き遅れ、10代で子を成すのは当たり前、愛人にだってなる。
しかし処女信仰はまだなく、皆が性に奔放。
かと思えば、男性も女性もキャリアを積めるのに、女性にはガラス(このころは玻璃かな?)の天井があり、生まれによってさらに二重三重に重なって行く手を阻んでいる。
それがわかるのが、笠女が主人公になる章。
現代女性も、残念ながら、頷けてしまうかもしれない。
春世の物語は、政争に巻き込まれ、自らの子を本妻に取られ、息子自身も実の母より今の高貴な暮らしを望むというある意味悲惨なものだ。
しかし、志斐弖と海上女王の姿に救いを見出せた。
女性は男性になろうとしなくていい。
それをしなければ自己実現できない事だってあるだろう。
だが、なぜ二つの性があるのか。
それは、互いが互いを認め合い、補い合うためだ。
古と今。
この共通点から学べることは何か。
本書は古に言葉と姿を借りた、現代に生きる人々へのエールなのだ。
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奈良時代の後宮女官のお話。とても興味深く読んだ。性に奔放というか寛大な時代…というのが面白い。へえ。読み終わった感想としては、強かに生きる女と女の友情と、悲哀。甘く華やかな話ではないですが、ただ振り回されるだけでもない感じが、いい。成長の話だった。
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歴史の表舞台に立つ人たちの話ではないけど、ちゃんと実在のモデルがいるところが、単なる物語(作り話)に思えなくてワクワクした。奈良時代って、平安時代よりも帝や妃との距離が近いのかな?
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表紙は苅田ほんとは違いますが、作品のイメージをうまく表しています
田舎豪族の娘が宮中で生きていくさまですが、気分はクララ白書(氷室冴子)みたいに、若い女子の本音あふれる展開が面白いのですが・・・ラストが唐突すぎるなあ
あと二話くらいあった方が・・・続編あるかな?
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平城京の後宮に務める采女達の物語。
主人公達が10代だからラノベな雰囲気が満載だけど、人生50年時代の10代は今時の10代と違うし、地方から単身上京の寄る辺無さは現代に通じるか。
実在の人物をベースに造形されてて、周辺人物達(聖武天皇とその妻子、藤原4兄弟や長屋王ら)とその情勢は史実にかなり忠実。奈良時代の後宮を舞台にした話ってのが、まず貴重よね。
地方豪族の娘は「采女」、機内氏族の娘は「氏女」。キャリアとノンキャリ並みの待遇格差があったとは知らなかった。
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奈良時代の女官たちの働きぶり。
キャラ設定がわかりやすい歴史小説です。
1300年前の平城京、聖武天皇の御世。
宮廷を支える後宮には、多くの女性たちが働いていた。
表紙のイラストのようなキャラ設定で、読みやすい。
おっとりした若子が上京し、しっかり者の笠女、色っぽく可愛い春世と同室に。
3人とも10代後半で、地方の出身。
若子は出仕するはずだった妹の代わりに急遽仕事に就いたため、覚悟も準備も出来ていなかったが…
後宮には12の司(部署)があり、13歳から30歳までの女性が登用される。
地方の豪族出身だと采女(うねめ)になり、畿内の貴族出身の氏女(うじめ)とは身分の差があった。
総合職と一般職みたいな感じ?
氏女からのいじめみたいなこともあったり(笑)
若子は膳司という職場に配属され、食事の世話をする、といっても料理ではなく主に貴人に食事を運ぶのが仕事。
仕事があまり向いていないと感じ、将来も思い浮かばない。
春世に相談したところ、結婚相手を見つけてもいいと勧められるが…?
笠女は、書司に勤めていて優秀、忙しい時期に男性のする仕事を頼まれて立派にこなすが…
縫司に勤める春世はもてまくり、浮名を流す目立つ存在で、貴族の愛人となって子供も生んだが、子供は本妻に育てられている。
春世の本心は…?
藤原家の有力者である四兄弟と長屋王の権力争いが続いている時代。
どの妃が先に男子を生むかどうかが、勢力図を大きく変える。
3人の娘たちは妃に仕えているわけではないので、直接は関わらないが、やはり影響は出てくるようです。
後に疫病がはやった時代を「火定」で骨太に力強く描き切った作者。
これはまだ、そういう事態になる前、ある意味では平和な時期の物語ということもあり、雰囲気は全く違います。振れ幅大きいですね。
時代考証が詳しい分、最初はわかりにくい部分も、しっかりした背景の裏付けで、読みごたえにつながっています。
藤原四兄弟はのちに疫病で死んでしまうのだが…
娘たちは藤原家とも関わりながらも、働き続け、生き延びる。
それぞれに生き方を探してあがく娘たち。
実はちゃんとモデルがいるというのが面白く、笠女のモデルなどは高位にまで出世し、長生きしたこともわかっていたり。
全く違うようで、現代にも通じるような、女性のつらさ、いやむしろ、たくましさ。
あっぱれです☆
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奈良時代、三人の采女たちの青春群像劇であり、難しく弱い立場で生きねばならない彼女たちの、意思と強さの物語。
宮人である彼女たちの、現代の会社勤めに通じるような人間関係や様々な縛り、男女の差、その中でもがきながら友情を育む様がよく、終盤での大きな権力にしたたかに舌を出して守るべきものを守る姿に感動した。というか、素直におもしろいし泣ける!
そして古代史専攻の作者のこと、時代考証もしっかりしていて勉強になる。特に彼女たちのモデルがいて、その記録に触れ、作品がまた広がる感じがよい。
(その後の大事件や疫病を思うと……な部分もあるけどそれも含めて)