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いやぁ、面白かった。久々に睡眠時間と読書時間のどちらを取るかで苦悩した。
いかにも人を寄せ付けませんって顔した表紙の二人が近づいていく様に、部外者として思わずニヤニヤ……。彼らのような人が誰か特定の人物にほだされていく過程は見ていてこっちまで癒される。
ミステリ面は、本格派と言えるタイプのものではないだろうけど、二人の距離感を味わえた身からすれば不満なし。次巻を買いに行かなくては。
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霊の記憶が見える女子高生×人でなし教師の開示型ミステリー
高校教師としてそつなく日々を過ごす鈴宮一貴の
クラスには、如月零という奇妙な生徒がいる。個
性的な風貌で浮いた存在の彼女に一貴も当たり障
りなく接していたが、ある日慌てた様子の零にぶ
つかった時に「この変態!」と罵られる。更に
他人には知りえないはずの一貴の元カノのことを
言い当てて零は逃げ去ってしまった。
その後、零が取り乱していたのは彼女の中学時代
の友人が亡くなったからだと知った一貴は零を告
別式に連れて行くが、式場で何かを「見た」零は
その場で倒れてしまい――。
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何年かぶりの再読。
(再読のために改めて買い直した)
再読だから展開は分かっているのに、それでも号泣した。
嗚咽を噛み殺しながらの読書になった。
別の作品でも書いたが、風島先生は内面を掘り下げて書くのが上手いと本当に思う。
しかもそのキャラだって本当は見せたくない本性の部分を。
描かれたら痛いであろう弱い部分を。
人に興味が持てず、女性を使い捨てているようなロクデナシ、鈴宮先生だって、零ちゃんにかかれば暴かれたくなかったであろう内面が掘り下げられてしまう。
この洞察力、というかこの感受性。
彼女は霊の記憶が見えてしまう目になってしまったゆえに、ただでさえその世界に引っ張られて自分を見失いがちであるのに、人の隠していた内面を感じ取ってしまう部分もあるので心配になってしまう。
彼女の優しさではあるが、その優しさが外界からの圧力で潰されはしないかと。
負けてしまわないかと。
そりゃ弟くんも心配になる。
自分では彼女に真の意味では寄り添えないから余計に彼にしてみればもどかしいだろう。
でも、そんな零ちゃんだからこそ、あの鈴宮先生だって本来の自分を掘り起こされた。
(本人に本来の自分が掘り起こされている自覚があるかは分からないが、かつての自分からは想像できないほど零ちゃんに振り回されている)
疎遠になっていた親友だって、結局のところは彼女を愛していた。
誰よりも感受性豊かで、素直で、壊れやすいだろうに、人のために自分を偽って、それでいて誰もいないところで傷ついているような彼女だからこそ。
こういうキャラクターを描くのが本当に上手だとしみじみと思う。
話は親友の死の真相を鈴宮先生の協力も得ながら探っていくもの。
その中で暴かれるのは、本当にかなりえげつないもの。
このレーベルから出された作品にしては非常に重いものではないだろうか。
親友の「死」を扱っている時点で十分重いのだが、彼女が抱えてた問題も十代の少女が一人で背負い込むにはあまりに重いし、彼女を死に追いやってしまった「真犯人」の正体も、その理由も、その人が抱えていたものも非常に重い。
キャラクターに対して一切の容赦がない。
ないからこそ、他の綺麗な部分が、尊いものがより輝くけれども。
でも結局零ちゃんは唯一無二の親友を物理的に失うことになる。
(精神面ではきっと繋がっているだろうが)
この真相が暴かれるシーンは本当に何度読んでも泣ける。
そして何年かぶりの再読でようやく、隠されていたメッセージに気付く。
もう分かった瞬間に、涙をこらえることができなかった。
何て、何てものを残してくれたんだ。
確かに違和感はあったのだが、これが紙媒体ならではの仕掛けだっただろう。
ああ、零ちゃんは本当に本当に愛されていたなと、それが分かって涙が止まらなかった。
失ったものは本当に多い。
しかも真相を手に入れるまでに、零ちゃんは身体的にも精神的にもいっぱい傷ついた。
(そして、その度に鈴宮先生の精神もすり減る。過保護ゆえ)
でも、その中で零��ゃんも、そして鈴宮先生も唯一無二の相手に出会えたのではないかなと思う。
守ってあげたい相手と、誰よりも愛されたいことを見抜いてしまった相手と。
傍から見たら凸凹コンビかもしれないが、お互いもう手を離せない相手になったのではないだろうか。
辛い真相ではあったけれど、結ばれた縁もある。
その縁は、素直に祝福したいとそう思う。
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あーーー、つらい。センセイと零の関係性がとても好みでぜひ続編は読みたいんだけど、とにかく悲しかった。