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紙の本

トランペット奏者の人生から音楽・性・家族を描き切った良作

2020/05/06 00:28

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る

トランペット奏者ジョスが亡くなったことを機に、ある秘密が露呈する。その秘密を共有しながら最期まで愛し続けた妻ミリー、父の死後に秘密を知った息子コールマン、その家族を取りまく関係者・世間・マスコミの視点から一人の黒人トランペット奏者の人生を描く。

ジョスに近しい者ほど、彼の人間性と音楽の才能に惚れ込んだからこそ「秘密」が死者の名誉を傷付けることはないと理解している。しかし、世間は秘密に飛び付いてしまう。マスコミは扇情的な新聞記事で一度死んだ彼を再び殺してしまう。こういう面は英国でも日本でも変わらなくて、読んでいて悲しくなる。中盤の苦しい場面を越えると、ミリーとコールマンそれぞれの心の整理の過程を通して、どれだけ奇妙でも家族は家族なんだと感じさせるエピソードがある。同時に、一人の人間が死ぬとき、様々なかたちで残された人間の中で生き続ける、なんて陳腐だけど本当なんだろうなと思わせる強い説得力を感じた。

作家であり、詩人でもある著者の言葉遣いがかなりレトリックで確実に翻訳者泣かせなんだけど、独特なリズムと味を醸し出していて、ジャズの神様に愛されたジョスの人生を書き下すのに相応しいのかなと思ったりした。愛・性・家族・音楽・人種、様々なジャンルを取り扱った良い海外文学作品だと思う。

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2017/03/16 19:49

投稿元:ブクログ

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2023/10/08 15:49

投稿元:ブクログ

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