紙の本
蔵太の懐深さに感銘。
2019/02/05 09:30
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投稿者:satonoaki - この投稿者のレビュー一覧を見る
解説にもありましたが、「目を覚ませ」と澪に何度言いたくなりながら読んだことか。
結婚前に一度契りを結んだとはいえ、澪がついていく相手は笙平ではなく蔵太なのに。
蔵太が澪の何もかもを受け入れて見守ってくれているというのに。
笙平には彼の人生があり、澪は遠くで笙平の幸せを祈れば十分なはずなのに。
今回の騒動を通してやっと澪は自分の心がどこにあるのかがわかったようでした。
読んでいると澪に対して腹立たしくなることもありましたが、恋に限らず日常のことで、人は戸惑い、道を踏み外しそうになることがあるのだ…私もそうなのだ、と、思えました。
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
黒島藩の2冊目。
「蜩ノ記」「陽炎の門」と違って、
誰が希望で、何が救いかが分かるシステム。
やっぱり読んでいて、
登場人物と一緒に同じ方向を違わず向けるというのは、
すごく楽というか、スッキリ読める。
思ったより殺陣のシーンが多かったのは、
無駄な殺生が多いな、という気もする。
紙の本
タクタク読み
2016/11/05 16:21
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投稿者:たくちゅん - この投稿者のレビュー一覧を見る
初恋の男が、藩内抗争に巻き込まれ逃亡し、夫と主人公の人妻・澪が3人で対決するストーリー。
人妻・澪の心の揺れ、夫・蔵太の誠の愛情。妻として母として女として対峙する主人公・澪…
また、主人公・澪と蔵太らの子供と祖父母とのやり取りが本書の肝でしょう…家族が信じて…力を合わせて守る…紫草が見ている…
こんな家族愛。イイですね…○です…
紙の本
穏やかながら温かく見守る夫の愛情
2021/06/05 12:42
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投稿者:トッツアン - この投稿者のレビュー一覧を見る
過去に愛した男の一大事に昔を思いながら心騒ぐ澪。気づいてか、気づかずか平素と変わらぬ穏やかな夫、蔵太は何も聞かず、澪の想いを受けて助成する。
過去の様々な想いの中でようやく夫の温かさ、優しさ、芯の強さに気づき、今が一番幸せであることに気づく。
心揺れる女性と見守る夫の夫婦の情愛が丁寧に描かれている作品。
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一度契りを交わした過去の想い人が
突然主人公の澪の前に現れ過去の思いと
共に心が揺れる。
誰もが過去を美化し一度はあの時別な人生があったのではないかと考えてしまう。
過去の恋人を匿い危うい橋を渡る澪を
寡黙ながらもすべて受け入れ、二人を救おうと
する蔵太は懐が深い。
この物語は過去を美化し、今ある幸せを
見失わない様に澪に試練を与え自分の今ある
本当の幸せを気付く物語だ。
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知恵を働かせようとすれば、迷いは深まるばかりだ。しかし、己にとって最も大切だと思うものを心は寸分違わず知っている、と私は信じておる
わからんこと、迷った事は、我が心に問ばいい。その通りだ、と澪は思った
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天の目に見守られたジェットコースターロマンスも無事着地、、。紫草の花の性根…蔵太、小一郎、由喜が白過ぎる♪。
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初めから息詰まるような緊張感が続く。寝る前にはとても読めなかった。
葉室麟さんの小説の常で、必ず成功するとわかっていても何度も窮地に陥りながらの長い長い道のりだった。
夫婦とは、子育ての芯とは、家族のありようとは、女性の生きざまとは…など、感じることのとても多い作品だった。
心から信じる相手がいることの強みを目の当たりにして、自分もそうありたいと思った。
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内容(「BOOK」データベースより)
寡黙で実直な夫・蔵太と共に平穏に暮らす澪の前に、一度だけ契りをかわした幼馴染みの笙平が現れた。藩内抗争に巻き込まれ咎を受け逃亡した笙平を匿う澪に、朴念仁であるはずの夫は意外な優しさを見せる。武士の妻が持つべき義と交錯する想いに、二人の男の狭間でもがく澪。日本人の心性を問う傑作時代小説。
令和元年7月23日~25日
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これまでの人生の岐路で選択に後悔していたり、選んだ道を疑問に思っている人。それは、恋愛や結婚の場合や、あるいは就職の際もあるだろう。
そういう人に、是非読んでもらいたい作品である。
実直な夫と暮らす人妻が、昔一度契りをかわした男が現れることで、男と夫との狭間で心が揺れ動く。
通俗的な恋愛ドラマかのような設定だが、著者は夫に強靭な心を持ち度量の大きな武士を据えることで、清新清冽な作品に仕立て上げている。
妻の危難に鮮やかに登場し、いささかも意志のブレを感じさせない夫に、妻もようやく心の在りところを見出す。
著者は、この夫を読者にもまた惚れ惚れとさせるような漢(おとこ)に造型し、憎いばかりである。
武士の矜持を持つ夫の言葉に、書き留めておきたい文言がいくつもある。
「剣法に<一息の抜き>という教えがござる。何事も追いつめてはならぬ。一息だけ、隙間を空けておいた方がよいとの諭しでござろうか」
「なに、ひとは皆、不心得者だ。自らにいたらぬところがあるとわかっておりながら懸命に努めるところに、ひとの生き様の清々しさがあるとわたしは思っている」
「知恵を働かせようとすれば、迷いは深まるばかりだ。しかし、おのれにとってもっとも大切だと思うものを心は寸分違わず知っている、とわたしは信じている」
取りも直さず、著者葉室麟氏の思いでもあるだろう。
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「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」につきる作品だと思えた。
武士の生きざまと夫婦愛、人間愛に対する著者のブレのなさは、いのちの3部作、雨宮蔵人の生き方、人となり、夫婦関係と同様。
主人公である澪は幼なじみの笙平に想いを残しながらも寡黙で実直な蔵太に嫁し穏やかな生活を送る中、夫の素朴な暖かさは感じる反面、武士としての美しさにかけると思ってしまい笙平と比べてしいる自分の気持ちに後ろめたさを感じている。
が、夫婦と笙平に襲いかかる危機に立ち向かう夫に真の男、人間としての魅力を見出す。
古い考えかもしれないが、恋愛結婚した夫婦と見合い結婚した夫婦の結婚後の人間関係の展開に似ているところはないだろうか。
多くの恋愛結婚は二人の関係性が頂点に近いところから始まり、見合い結婚のそれはゼロに近いところからスタートし日々の生活をこなして行く過程で相手を理解して行く。そこで伴侶に光る魅力を見出すならばそこから愛情は二人で豊に育まれて行きそう。恋愛結婚の行手が右肩下がり一方と言うわけではないのですが。
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人生は長く豊かな時間を許されています
男性の本当の優しさや大きさ寛容さを
一組の夫婦がゆっくり教えてくれます
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良かった
「義か情か、武士の妻の選ぶ道」
武士の生き様、矜持、夫婦愛を感じる物語。
しかし、これ、現代劇で語られるとかなりドン引きのストーリだと思います(笑)
主人公の澪は、寡黙な夫の蔵太とともに暮らしていますが、ある時、一度だけ契りを交わした幼馴染の笙平が現れます。
実は笙平は藩内構想に巻き込まれ、逃亡中
そんな笙平を匿う澪
澪は笙平と蔵太の間で心が揺れます。
しかし蔵太は澪を信じ、その逃亡劇をサポートします。
澪、笙平、蔵太は逃れることができるのか?
3人の関係はどうなる?
という展開です。
何よりも蔵太が素晴らしい。
武士としての矜持、芯の太さ、ぶれない考えがしっかりと伝わってきます。
その蔵太の想いにようやく自分の心の在りどころに気づく澪。最後、芯が通ります。
で、どうしようもないのが笙平。
この男どうなのよって感じです。
最後は、落ち着くところに落ち着きます。
読みどころは3人の逃亡劇と、蔵太の矜持、澪の人間としての成長?
といったところでしょうか。
お勧めです!
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ネタバレを嫌うので装丁から時代モノとわかるような本は手に取らなかったのだが、とりあえず読み始めた。身持ち軽そうな澪がむかし結婚に至らなかった男に思いを寄せる出だしなのだが、なんとなく藤沢周平っぽいようないい感じで、さらに夫の萩蔵太というのがなかなかの好男子で、全般的に読みやすい時代小説というところ。他の作品も読んでみたい。
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葉室麟らしい清々しい登場人物が出てくる小説。
しかし、その清々しい人物は主人公ではなく、その妻が主人公。
結婚前に一度だけ契りあった、かつての男笙平が江戸を追われて国元に逃げ帰ってくる。笙平をかくまう主人公の澪。若き日の思いを清算しきれずにいる澪と笙平に敵の追手が迫りくるとき、澪の夫蔵太が現れる。武士の矜持と夫としての優しさを体現する蔵太を目の前にして、澪の心が次第におだやかになっていく。
蔵太が理想、修正を行える澪もまた理想。しかし、笙平や彼を追う悪役のようなダークな部分を持って生きているのが現実。であるからこそ、蔵太のほれぼれする生き様を読んで、少しでも彼のように生きていこうと思うのである。
今回も葉室小説に精神を洗われるような気持ちよさを感じた。