投稿元:
レビューを見る
私の読書記録によれば、今から3年前の2013.11に、この本の共著の一人である、青山氏の本を読んで、日本にも素晴らしい資源がある、ということを知って驚いたのを覚えています。
その名は、メタンハイドレード:メタンの水和物で、燃える氷とも呼ばれているものです。東日本大震災以来、日本ではそれまでエネルギーの大きな柱であった、原子力発電が制限されることになり、その代案として、主に天然ガスを使った火力発電がカバーられていると聞きます。
その代わりになるのが、この本のテーマである「メタンハイドレード」です。青山夫妻の努力もあり、当時訴えていた、より簡単に採掘しやすい、日本海側の調査もできるようになったのが大きな収穫の様です。そこに至るまで多くの苦労があったようで、それらがこの本に纏められています。
アメリカは何年もかけて、シェールガス・シェールオイルの掘削技術を実用化レベルに持っていき、産油国世界一に返り咲いています。日本も、石炭時代には主力エネルギーを自給できていました、メタンハイドレードの掘削技術も実用化までの道のりは遠いかもしれませんが、日本政府も協力して、いつか花が咲かせられるように協力してほしいですね。
政府内にも、理解者が現れ始めたようで、特に、現安倍首相も理解されていることは心強いですね。安倍政権が続いている間に、メタンハイドレードの調査研究が進んで、実用化に一歩でも進んでほしいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・2013年の、メタンハイドレード層からの天然ガス採取成功の意義は、1)採掘技術が完成すれば輸出可能、2)現在の天然ガス価格交渉の切り札となる、3)失敗したデータがとれたので技術の改良に繋がる、である(p4)
・メタンハイドレートの賦存の仕方は2種類、表層型は日本海側、砂層型は太平洋側に多く分布している(p16)
・メタンハイドレートのメタンは、既存の施設を利用して、燃料として発電が可能である(p27)
・平成28年の終わり頃に、前回と同じ愛知県沖の海域で試掘を再度行う。2018年に民間企業が参入できるようにする(p46)
・2015年、インド政府が自国の東方海域にあるメタンハイドレートの調査研究に関して世界入札を行い、日本が落札した(p46)
・メタンプルームは使ったほうが、うまり燃やして発電したほうが、温室効果を大きく軽減できる。メタンガス(温室効果はCO2の25倍)が大気中に放出されているので(p60、115)
・シェールガスを採るときは、使用する潤滑用の薬品(酸、界面活性剤、潤滑剤、土壌安定化剤等)が原因となって地下水が汚染される。一方、メタンハイドレートをとる場合は、減圧法の場合、採取するパイプの圧力を減らせば、水とメタンガスに分かれるので採取可能(p96)
・日本海連合は、兵庫県・新潟県・京都府の、三府県が中心となって、さらに、秋田県・山形県・富山県・石川県・福井県・鳥取県・島根県が賛同して、2012.9設立となった(p101)
・メタンハイドレートは、石油や天然ガスと異なって、地球の活動がある限り出続ける可能性のある資源である。日本が高額で資源を輸入することで恩恵をあずかっている、官僚・学者・産業界が意図的に妨害する可能性はある(p121)
・メタンハイドレートがガス化するとき、160倍のメタンガスと、ほぼ同量の水ができる(p127)
・関西広域連合とは、地方自治体法に基づいて正式に設立されている、日本最大の地方公共団体である。人口2100万人(東京より750万人多い)、名目GDPは80兆円、滋賀・京都・大阪・兵庫・和歌山・徳島・鳥取に加えて、京都市・大阪市・堺市・神戸市がメンバー(p215)
2016(皇紀2676)年11月27日作成