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2017年の読み納め。
最果タヒさんが頭の中で考えていることをそのまま文章にしたという印象。
こんなに鋭い感性で物事を捉えて言葉にし文字に起こせるなんて羨ましいと思う。
印象に残ったのは
『きみが友達との楽しい時間のために、ひねり出した悪意について。』
『最強ですから最強です。』
『リアリティ輪廻転生』
『ノスタルジック満腹』
個人的にこの人の文章を読むとき
「あー、いい言葉だなー」
としみじみ感動することより
「わかるなー、飾らず言うとそうだよなー」
とニヤつきながら頷くことのほうが多い。
それがいい。
言われたら、わかるわかる!となることを絶妙な表現で文章化する。それがこの著者の好きなところ。
『夜空はいつでも最高密度の青色だ。』
年始の間に映画観よう
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読むのにエネルギーのいるエッセイだなって思った。何故、こんなにエネルギーがいるんだろうと考えると、1つの文が長いから、句点に辿り着くまでに何を話しているのか分からなくなってしまう。俺の読解力や感性の問題もあるのかもしれないけれど。
とても「感性度」の高い文章で、例えばこれは、土曜日の深夜2時くらいに読んだ時、心の柔らかい場所を刺激して、自分だけの感性がジンワリと滲み出てくるんだろうなと思った。
詩とエッセイとの狭間にある本だなと感じた。いつも目に届くところに置いておいて、夜の静かな時間に読見返してみたくなる本だった。
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言葉の言い回しや視点が面白くて、最果タヒさんのエッセンスがいたるところに散らばっている。
この本を読んで、より好きになった。
みんなと違う感覚やコンプレックスを自分に感じる瞬間のことや嫌いという感情について、読み終わるとそのすべてが尊いような気がしてくる。
ふと何度も読みたくなる本です。
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小説家の文章の綴りかたとは違って、
詩的な、読むひとによって解釈がかなり異なりそうなエッセイ。
最果さん独自の表現方法かも?
彼女の言っていることの、おそらく8割くらいは共感。
文字で見て、わたしもそうだよ?ふつうじゃないの??と、
まず来るのが、あえて言語化することの不思議さ。
つぎに、言語化すると、こんな風にひとに伝わるのか!という面白さ。
照れくささとかも。
こんなにもじぶんを客観的にみる感覚が味わえる作品、初めてでした!笑
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共感されたくて文章を書いたことなんて一度もなかった。友達はいらない。共有したいという感情が、ずっとずっと邪魔だった。主張に責任をもてないのか、主張しないことに自己嫌悪する。相手を不快にしないように、それを第一に考えて対応する。それは優しさでもなんでもなく、相手の不快から逃れる手段でしかない。わかるよわかる。なんてね。十代に共感する奴はみんな嘘つきということだ。言葉が研ぎ澄まされるこの作者の詩はどんなんだろう?読んでみようかな。
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友人から借りて、初めて筆者の本を読了。
読み始めた瞬間から好きだ、と思った。
日頃、自分と他者はこんなにも違って、理解出来ないことがあるのが当たり前で、それを悲しくも愛しくも思う瞬間がある。
タヒさんの、人は何を考えているかわからないし、わからなくていい、という考え。だからこそ他者を尊敬出来るのだと、少しずつ自分も分かるようになってきた。
一度読みだとなかなか読み込めない文章も多いのでまた読みたいです。他の作品もきになるな。
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初の最果タヒさんの本。
詩の本じゃなくてエッセイ的なそれからのスタート。
図書館で借りましたとさ。
へー!面白い。
自分の自意識過剰なそれ、心の底に悶々と持ってたそれを、「こんな感じよねー?」って言葉にしてくれた感じ。
タヒさんはそんなことしないだろうけど。
今まで思ってたことをすこーし話すと、「は?」みたいなそれではないけど、「何言ってんの?」オーラと共に反応されてきた風に感じてるけど、
そうじゃなく思ってくれる人もいるかもしれんし、自分ばかりが特別じゃないよなーって
思えましたとさ。
いつまで経ってもカッコつけた風に考える気持ち悪い自分がいるなぁ、自分がどんなふうに考えても「ぶってる」だけだよなーっ」のを再確認させられもしました。
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深夜にものを書くとどうしてこういうくだらない話になるのか。それはテレビがろくにやってなくて、喫茶店もやってなくて、ただ冷蔵庫の重低音を聞きながら書いているからに違いなくて、自分の言葉を投げて反射させるための、外の音がないから。雑音が言葉を持っているかどうかってとても大事なんだな、って思う。言葉は言葉にしか反射しない。どこまでも投げていけるなら、跳ね返ってこないのならば、それは言葉を捨てているにすぎなくて、だからなにかとぶつかって反射するこの場所で書くことが大切だ。(p.60)
言葉というのは物質でない分、直接読み手の心臓につながっている気がするんですよね。それを引っ張って、並べていくのが楽しかったんじゃないかなあ。料理とか作る時、一人で食べるんだとやる気しないじゃないですか?でも他人が食べてくれるのなら、あの子はあの味が好きで、この子はこの野菜が好きで、ってひっぱってくるじゃないですか。っていうか「おいしい!」って言われたいからがんばるんじゃないですか?それと同じなのです。(p.66)
言葉は、気持ちや事実を伝えるために生まれた道具だ。人によってちょっとずつ違うものを、簡略化して、互いに理解できる形に変える。そういう、とても大切な道具。とても、危なっかしい道具。言葉にするだけで、簡単にいろんなことが切り捨てられていく。その人だけの、ささいなこと、あいまいなことが、四捨五入みたいに消えていくんだ。どこまでも意味と紐づいているからこそ、使うだけで、言葉はその人だけの感情を押しつぶして少しずつ消していく。そして、それでも私は、言葉を書く仕事をしている。(p.89)
私は詩人です。小説や新聞の言葉が、物語や情報を伝えるために書かれるのに対し、詩にはそうした目的がない。そして、だからこそ私は、言葉によって切り捨てられてきたものを、詩の言葉でならすくいだせると信じている。死の言葉は、理解されることを必要としていない。人によっては意味不明に見えるだろうけれど、でも、だからこそその人にしか出てこない言葉がそのまま、生き延びている。私はそうした言葉がかわいくて仕方がなかった。わからない言葉であればあるほど、その人はその人だけの人生を生きてきたんだと、はっきりと知ることができるから。(中略)人が、自分とはまったく違う人生を過ごしてきたんだということを、大切にしていたい。100%の理解なんていらないし、したくもないんだ。きっと人は、ちょっとわからないぐらいがちょうどいい。(p.90)
実際食べてみて分かったのは、冬のアイスはおいしい。こたつに入ってアイスの蓋を開けたらちょっと待ってみる。こたつの天板からじんわりとアイスへ伝わる熱は確かにあって、夏よりもゆっくりと、たぶん丁寧に、アイスが溶けていく。夏のアイスは溶けるとベタついて不快なものだけれど、でも冬は違う。冬のアイスは溶けると「どうもクリームです」という顔をするんだ。ああ、クリーム。冬の溶けたアイスには、癒ししかない。アイスが好きな食べ物だと設定した途端、そんな他人に話したってどうしようもないことを、世間話の代わりにだらだら話すことが増えていった。そしてその言い訳を重ねることで、確実に、私の中でアイスへの愛情が育っていたんだ。好きな食べ物だと決めた途端、その食べ物が本当の「好きな食べ物」に変容していく感覚。アイスを食べる機会も確実に増えて、結果的に好みのアイスを見つけ出す精度がぐんぐんと上がった。本末転倒とも思うけど、人はこうやって偏っていくものなのかもしれない。(pp.101-102)
言葉をつむぐということと、伝えるということはまったく別物なのかもしれなくって、気づいてみれば酷く当たり前の話だな、とも思う。同時進行でその二つをやろうとしているっていうだけで、別にこの二つは同じどころか似てもいない。もしかしたら正反対、だったりして。みんな複雑なことをやろうとしているんだなあ、と私は友達の愚痴という濁流にのまれながらぼんやりと考えていて、そしてたぶんこの5分後に叱られる。(p.126)
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自分の中にもやもやしていた言語化できない違和感みたいなものが文章になっている……!って感じるくらいの共感があった。
共感できないところももちろんあったけど、ふふ、そうなのね、それちょっとかわいいね、みたいな、人間らしさ、愛おしさが感じられてよい。
感化されてなにか内面を文章にしたためたくなる。
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渇望を知っている人というのは、人間としてやはりどこまでも「生」を感じる。
だからわたしは好きな人が好きだな〜と思う。貪欲さがすきなんだろうな
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とてもとても優しいエッセイ。孤独とかセンチメンタルとかノスタルジーとか、そういうものに浸って気持ち良くなっている人をも肯定してくれるかんじ。出席番号前後の子と必死で会話しようとしてた10代のころの自分に読ませたいよ。
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共感してほしくて書いてあるわけではないけど、色々共感できることがあって面白いし言語化されてる文章を見ると本当に凄いなあと思う。頭で使って考えるより息をするように大量に言葉を書きたくなるというその考えによって、疾走感のある早口のような最果さん特有の文章になるんだなーと思った。
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こんなにも寛容な言葉ってないね。
遠い世界で育まれた言葉。なのにどうにも近しくて、たぶん、救われている。
透過性がきっと凄くて、フィルムに透かして私を見てる。
もっともっと、見たいなあ
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感想をまとめたもの
https://note.com/tasogare_owl/n/n22e099b5bae5
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2017年の読み納め。 こんなに鋭い感性で物事を捉えて言葉にし文字に起こせるなんて羨ましいと思う。 印象に残ったのは 『きみが友達との楽しい時間のために、ひねり出した悪意について。』 『最強ですから最強です。』 『リアリティ輪廻転生』 『ノスタルジック満腹』 個人的には、この人の文章を読むとき しみじみ感動するよりも ニヤつきながら頷くことのほうが多い。それがいい。 言われたら、わかるわかる!となることを絶妙な表現で文章化する。それがこの著者の好きなところ。